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2002年1月 Archive
戦国時代の朝廷 朝廷の「式微」は真実か
『日本及び日本人』1643号 平成14年(2002)1月
1、 はじめに
朝廷の研究はその重要性にもかかわらず、日本史の研究の中では戦前・戦後を通じて、比較的遅れている分野であるといわざるを得ない。その理由として考えられるのは、戦前の場合は、皇室尊崇の立場から、客観的に研究することを惧れ多いと憚る雰囲気があったこと、戦後の場合は全く反対に、左翼史観の影響で、反動的対象を研究すること自体が反動的だと決めつける空気が存在したからであろう。(ただし近年左翼史観の凋落に伴って、タブー視も漸薄れてきた傾向はある。)さらにそれだけではなく、戦前・戦後を通じて、朝廷研究が低調であった理由として、権力中心史観が考えられる。すなわち権力なき存在は重要な存在ではなく、従って研究するに値しないという発想である。つまり古代律令時代はともかく、権力を失った中世以後の朝廷の研究は、重要性がないと判断するのである。しかしこのような史観は、とりわけ朝廷の研究において、全く不適切だと私は思う。朝廷の存在の意味は、権力喪失の状況にこそ却明瞭に現れていると考えるからである。そこで本稿では、一般に朝廷が最も衰微したとされる戦国時代の朝廷を取り上げ、以上の点を具体的に説明することにしたい。
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