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朝日・岩波は虐日隷中路線を止めよ

『月刊日本』2014年9月号 羅針盤 2014年8月22日

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楊海英とうい人物がいる。一九六四年中共内蒙古自治区オルドス生まれのモンゴル人で、モンゴル名はオーノス・チョトク、八九年来日して国立民族学博物館などで文化人類学の研究を行い、現在は帰化して日本名を大野旭といい、静岡大学人文学部教授である。

同氏によるモンゴル関係の著作は多いが、とくに文革期の内蒙古における虐殺の調査研究として、膨大な『モンゴル人ジェノサイドに関する基礎資料』(風響社)を二〇〇九年から刊行中であり、現在は第六巻まで出ている。その研究を一般向けにまとめたものが、『墓標なき草原』上下・続(二〇〇九年・二〇一一年)で、極めて優れた内容であり、二〇一〇年の司馬遼太郎賞を受賞している。ただしその内容があまりにも衝撃的なためか、かえって無視されているようである。

楊氏は中共の支配にはもちろん批判的で、最近では『文芸春秋』一月号に「叛乱テロ続出 中華帝国戦慄の内幕」、『Will』二月号に「中国はモンゴルに何をしたか」と題する文章を書いている。

ところで先の『墓表なき草原』の著作は、岩波書店から刊行されている。これは正直に言って、奇妙に感ぜられる。なぜなら岩波の言論・出版の特質は、朝日新聞のそれと並んで、日本を貶め反対に中共の悲惨な現実には目を瞑る、虐日・隷中言論の代表的存在と言えるからである。

ただしこれには背景があって、同書の「あとがき」によれば、岩波書店の編集者・馬場公彦との個人的関係によるものであるらしい。岩波書店からは、二〇一三年に、『中国とモンゴルとのはざまで』と題する、ウラーンフーの伝記も出版している。

注目されるのは、岩波書店発行の雑誌にも寄稿するようになったことである。まず『思想』二〇一二年八月号には、「殖民地支配と大量虐殺、そして文化的ジェノサイド―中国の民族問題研究への新視座―」で、「殖民地体制は一九六〇年代に終結したものではない。社会主義殖民地あるいは中国流殖民地はむしろ一九六〇年以降に強固な体制として確立されてきた」と重大な指摘をしている。

そして「『サルベージ流』に『滅びゆく伝統文化』に拘りつづけ、『滅ぼす暴力』にひたすら目をつぶることほど、殖民地的状況に加担する行為はなかろう」と、日本の文化人類学の在り方を強烈に批判する。

今年になると、楊氏は岩波書店の看板雑誌である『世界』にも登場するようになる。一月号に「ウイグルのレジスタンスは何を発信したのか 『諸民族の大家庭』のための民族自決権」、七月号に「共に歴史に背を向ける日本と中国」である。

一月号の方は、ウイグル問題の真の解決のためには、マヤカシの地域自治ではなく民族自決権が認められなければならないとするもの。七月号の方は、表題からすると楊氏の従来の主張に矛盾するようで、私も一瞬我が目を疑ったが、中身を読んでみて疑問は氷解した。

「共に歴史に背を向ける日本と中国」なるタイトルは、これを素直に読めば、日本が日本の歴史に、「中国」が「中国」の歴史に背を向けているように理解されるが、実は二重の意味で重大な誤魔化しがある。

まず「日本」である。この日本とは朝日流の安倍政権を指しているのではない。逆に安倍政権を批判する、いわゆる「リベラル」の歴史観が批判されているのである。もう一つは「歴史」である。この歴史はあくまでも「中国の歴史」であって、日本の歴史ではない。

つまりこの論文は『思想』の論文で人類学者を批判した観点を、更に拡大したものである。楊氏は、「日本は社会主義の赤色テロの暴虐から免れた。『日中友好人士』たちは日本の近代史を批判してきたが、その同じ視点で、中国による周辺国家への帝国主義的拡張とモンゴルやウイグル、それにチベットに対する侵略行為にも、ぜひ注目してほしい」と注文しているのである。

楊氏のような論考を岩波の雑誌が載せるようになったのは、偽善的な虐日隷中路線は健在であるが、このままではまずいと考えているからであろう。しかし楊氏が批判しているのは、まさに朝日岩波的言論なのだから、岩波自身が正面から批判されているのである。したがって岩波は、特に楊氏の論考を掲載した『世界』は、楊氏の批判に対して真摯に応えなければならない。『世界』編集長・清宮美稚子さんにその覚悟があるのだろうか。内容を捻じ曲げた表題を平気でつけるようでは、とても期待することはできないが。

 

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sakai-book01.jpg ← 酒井信彦 著『虐日偽善に狂う朝日新聞―偏見と差別の朝日的思考と精神構造』(日新報道 2013/08出版)


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