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「女性国際戦犯法廷」、今から14年前を顧(かえり)みる

性奴隷=天皇制を画策した国際的大陰謀

正式名称は「日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷」

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「河野談話」が発表されたのが平成5年、その8年後に「女性国際戦犯法廷」が、首都のしかも皇居と靖国神社に隣接する九段会館で開かれた。慰安婦強制連行が世界に向かって発信された記念碑となる政治集会であった。開催の中心的人物で、最も精力的に活躍したのが元朝日新聞の編集員であった松井やより、彼女は「河野談話」を世界に定着させ、同時に「性奴隷」を天皇制の一構成部分であると喧伝した。彼女はおよそ8年を費やして、「女性国際戦犯法廷」を成功させた。

その時点で、日本国家と民族を貶める松井やよりの目的はほぼ達成したのであった。

以下本文、なお小見出しは主権回復を目指す会による。


 

昭和天皇「戦犯」視の国際的謀略

『國民新聞』(平成13年2月25日)より

「国際的大陰謀」の女性国際戦犯法廷が、白昼堂々と皇都・東京のど真ん中でひらかれた。畏くも昭和天皇を戦犯として有罪確定した内外の反日派の狙いについて、東京大学の酒井信彦教授に本紙・山田恵久主幹が聞いた。

【慰安婦強制連行と天皇を裁く模擬法廷】

山田: 新春早々ですので、穏やかな話題について対談を行いたかったのですが、最近、日本を貶めようとする国際的陰謀があからさまに表れてきましたので、それを検証してみたいと思います。
内外の反日運動家が十二月八日から五日間、東京・九段会館で「日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷」を開き畏くも昭和天皇について「軍の犯罪行為を知っていたか知るべき立場にあり、性暴力をやめさせる手段を講じるべきだったのに怠った」と決めつけました。
酒井: 東京裁判では、天皇陛下と慰安婦問題が裁かれなかったからとして、東京裁判のやり直しを企てた。
山田: いくら民間団体による模擬法廷だから法的拘束力がないといっても、事実に反する事を基にして、天皇陛下と我が民族を精神的に追い落とそうとしています。
天皇の他に東條英機、板垣征四郎、南次郎、松井石根、梅津美次郎ら軍幹部二十五人も有罪としました。しかも慰安婦制度、初めて「制度」という言葉も使い始めました。
酒井: 主催者は松井やよりさん(六六)が代表を務める「戦争と女性への暴力・日本ネットワーク」(VAWW-NET JAPAN)が呼びかけたもので、女性法廷の国際実行委員会は、加害国として、日本からVAWW―NET JAPAN、被害国の韓国は挺身隊問題対策協議会、フィリピン・女性の人権アジアセンター、中国・上海慰安婦研究センター、台湾から台北市婦女救援社会福祉事業基金会、北朝鮮・従軍慰安婦太平洋戦争補償対策委員会とインドネシア女性連合が。国際諮問委員会には十一カ国十一人と法律顧問としてオランダ・ユーストリヒト大学のテオ・ファン・ボーベン教授、ニューヨーク市立大学のロンダ・カプロン教授が中心になって開催しました。
このインチキ法廷は十二月八日から始まったのですけれど、その日は大東亜開戦の日で、会場は終戦まで軍人会館と呼ばれた九段会館で開かれました。九段会館の隣は皇居ですし前には靖国神社があります。その辺りを意識して場所を設定したのは間違いありません。
山田: 法廷クライマックスの最終日十二日の会場は、明治神宮外苑にある戦前の日本青年団を引き継いだ日本青年館で開催したところから考えても、開催者は天皇陛下や大東亜戦争など由緒ある場所を設定しており、決して偶然ではありませんね。九段会館を運営している日本遺族会(中井澄子会長)は何も反日団体に貸すことはなかった。損害賠償請求で訴えられても良いからキャンセルすべきだった。大ホールと宿泊施設なだを貸して約三千万円の売り上げがあったと喜んだり、持参したキムチを部屋で食べるから、臭いがとれなくて困ったなどと言っていますが、それどころではないでしょう。仰々、この女性法廷はベトナム戦争時の「ラッセル法廷」を真似たものでしょう。
酒井: 一九六七年にスウエーデン、デンマークで開かれバートランド・ラッセルの呼びかけで、ジャンポール・サルトルが議長になって米軍のベトナム戦争を裁いたのです。
山田: その時の判決が、ベトナム反戦運動に強く影響を与えたことは周知の通りです。従って女性法廷と雖も侮ってはいけませんね。彼らは平成九年十月に東京で「戦争と女性への暴力・国際会議」を開いたのを皮切りに、計画してきたらしい。
酒井: いや、ずっと以前から準備していました。初めは平成六年三月に早稲田奉仕園で開いた「女性の人権・アジア法廷」でしょう。
これも裁判形式で、タイの少女買春などの現実的な問題触れたものでしたが、既にこの時に、意図的に所謂従軍慰安婦を加えていました。その後慰安婦問題を中心にして本格化したわけです。
山田: 主催者の発表によると、今回、中国、韓国、北朝鮮、フィリピン、インドネシア、東ティモール、オランダ、台湾の八カ国・地域が元慰安婦七十五人、計三十カ国から約三百人、毎日、千人以上が会場につめかけたといいます。
酒井: その内、韓国の関係者が約二百人参加していたようです。
サンケイの桑原聡記者が取材の為参加を申し込んだんですが、断られてしまった。傍聴券(六日間、一万五千五百円)の入手は困難だったと聞いています。更に傍聴の条件に、女性法廷を妨害したり、写真・ビデオ撮りをしませんという誓約書を入れ、審査を受けなければならない。
しかし、法廷憲章第十二条・十五条には審理と判決は公開すると明確に謳っている。自分で決めた憲章を自分自身で破っているのです。十一月に行われた現代の強姦事件を扱ったプレゼンテーションの行事は、主催者にとってはそれ程重要な課題でもないというのか、当日申し込みいいというので入れたらしい。国民新聞はどうでしたか。
山田: 「週間金曜日」にこの「女性法廷」開催の予告が出ており、事前に知っていましたが、たかが女性が主体になってやる裁判ごっこだから大したことはないだろう、無視しておこうと。
酒井: それではいけないんです。嘘を百遍言うと本当になってしまうことと同じで、相手は既成事実をつくってしまおうという目論見があるのです。我々が黙すればそれを認めてしまうことになります。何が何でも反論をしなければなりません。

【法廷に協力した虐日タレントと進歩的知識人】

山田: 七日、公開された前夜祭に参加した桑原記者の話によると「(ビデオ上映で)元慰安婦という老女が『日本の責任者を処罰しろ』と叫ぶシーンや、ソウルの日本大使館前で抗議するシーンがこれでもかこれでもかといった調子で流され、最後には木に縛り付けられた昭和天皇とおぼしき男性に、朝鮮の民族衣装を着た女性がピストルを向けている絵が映し出された」という。その法廷では日本政府・軍に弁護人をつけないという暗黒裁判そのもので、こんなのまともに見る必要はないと思いましたよ。ただ十日に、八十歳の二人の元日本兵が、慰安婦に対する性暴力を認める証言をしたというので、真相を知りたく注目しました。
それにルワンダや旧ユーゴ国際戦犯法廷の前所長、ガブリエル・K・マクドナルド氏らが裁判官に就任しており、元日本兵は北支方面軍の金子安次元伍長と鈴木良雄元曹長といい、本ものか偽ものかを見極め、彼らに取材したいと思います。
酒井: 鈴木良雄氏はこの法廷の協力・賛同者に名を連ねている「中国帰還者連絡会」のメンバーではないでしょうか。
山田: 「神戸新聞」記事によると元伍長は、「上官には女を見たら殺せ、と言われていた。どうせ殺すなら暴行しようと思った」と告白。元曹長は「体験を話さないと戦争の実態が出てこない。恥をしのんで証言する」と、軍隊が組織的に関与したという。
よく、上官に殴られたことを恨み、戦後、反軍的になり、根も葉もないことを言い出す元兵士もいますからね。しかし、賛同人の中には、南京虐殺肯定派も結構います。笠原一九司、藤原彰、吉見義明や吉田裕、新井信一、田中信尚、他に小田実、中山千夏、イーデス・ハンソン、参院議員の福島瑞穂、辻本清美らもいます。
酒井: ほかに高橋哲哉、辛淑玉、ノーマ・フィールド、林博史、山田朗がいます。
山田: ここに韓国の「中央日報」がありますが、まことに読むに耐えないものです。判決文は「天皇裕仁は人間の奴隷化、拷問、殺人、人種差別を始めとする人道に関する罪を犯した」と明示し、その有罪根拠として、二つ挙げています。一つは「天皇が単なる権力の操り人形ではなく、陸・海軍相の報告を受けて政策決定を下した最高統帥権者だった」と言い、もう一つは、当時の文書と証言に照らして、日本軍による南京大虐殺事件と慰安所の設置について知らない筈がないと言っている。
さらに日本の国家責任に対して「日本軍が戦時に女性を性の奴隷として動員し、あたかも軍需物資のように取り扱いながら拷問と強姦を行った行為は、当時日本が批准・加入していた人身売買禁止条約や強制労働禁止条約などの国際法に違反している」とし、また、「日本政府は戦後、慰安婦関連文書を消却するなど事実を隠蔽してきたことから、国際法の正義に照らして当然果たすべき法的責任を避けてきた」と決めつけ、個人に対する補償が必要だと曰う。
酒井: また「判決」については一般紙より「赤旗」の報道が詳しく、それによると、裁判官による勧告は、日本政府に対して(一)完全で誠実な謝罪を行うこと。慰安婦に対し許しを請い、法的責任を認め二度と繰り返さない保証をすること。(二)法的措置をとり、生存者へ補償すること。その金額は加害行為の別に適切なものとすること。(三)適切な情報を出すこと。(四)人的な資源と機構をもって調査を行うこと。(五)生存者の尊厳を回復し、図書館、博物館、碑を建てること。(六)公式、非公式の教育制度を確立すること。教科書に記述すること。奨学金を保障し、若者に不法行為の事実を伝えること。(七)性の平等性を確率すること。
元連合国に対して、東京裁判で昭和天皇が訴追されなかった理由を述べ、全ての文書を公開すること。
に対しては、必要な方策を講じ、日本政府が補償すること-を勧告するという。
山田: また、東京裁判で抜け落ちていた項目として、「反人道犯罪」を挙げている。韓国紙の「朝鮮日報」一三日付は次のように解説しています。
「反人道犯罪は一九四五年にナチスドイツの戦犯行為を処罰する為に設置されたニュールンベルク国際軍事裁判で戦犯の断罪に適用された罪目だ。ナチス裁判の法的根拠となったニュールンベルク裁判所の憲章は、六条で反人道犯罪を『戦前または戦後あらゆる民間人に行われた殺人、残滅、奴隷化、追放及びその他非人道的行為、または政治的・人種的・宗教的理由による迫害行為』と規定している。一九四六年、日本の戦争責任を問う極東国際軍事裁判ではこの項目が抜けていた」と。要するに東京裁判の判決だけでは物足りないということなんです。

【東京裁判不十分史観と性奴隷被害者】

酒井: この女性法廷はパンフレットによると表向きには、(一)日本軍慰安婦に正義と尊厳を、(二)戦時・性暴力不処罰の循環を断ち切るために、(三)国境を越えた女性の力で開く民間法廷-と謳い、その意義を前面に出しています。
彼らには「東京裁判不充分史観」というべきものがあります。究極の目的は、東京裁判で天皇は戦犯を免れたのでその汚名を着せることです。日本人に濡れ衣を着せ負い目を感じさせて、精神の奴隷化を徹底しようとしています。彼らが性奴隷を「セクシャル・スレイブリー」というのなら、これは「メンタル・スレイブリー」と規定できます。「日本人はまだまだ反省が足りない」と言い続け、世界にアピールしようということなんです。
山田: ドイツは反省、謝罪したのに、日本はしていないという。しかも、東京裁判はニュールンベルク裁判より甘かったと。
酒井: ネオ・ナチがトルコ人など外国人を襲っているにも拘わらず、ドイツは反省を済ませたと。ところが日本人は全然、反省していないと言っています。
山田: これは日本人を差別する偏見です。連中は所謂戦犯を、日本人の手によって誰も罰していないと言い、さらに日本軍をナチと同一視しています。
酒井: またVAWW-NET JAPANは、その目的を(一)日本による性奴隷被害者の名誉と正義の回復を求め、日本の戦争・戦後責任を果たす。(二)沖縄からの基地の撤去。(三)世界各地の戦時・武力紛争下の女性への暴力の実態と背景を知り、被害者の痛みを分かち合い、暴力をなくすための連帯行動をとる。(四)女性への人権侵害に対する活動への連帯-と打ち出しているところからみると、極めて左翼的で、特定の政治目標が紛れ込んでいますね。特に反戦反基地の運動には、非常に注意する必要があります。
山田: 十一日に開かれた公聴会に、ベトナム、グアテマラ、ブルンジ、コソボなど各国の女性が、紛争下における女性に対する暴力を証言しましたが、日本では、高校二年生の頃、沖縄で米兵三人にレイプされたが警察には届けなかったという女性が登場して、最後に「自衛隊を含めた基地をなくして悲しみの鎖を断ち切りたい」と締め括った。このように反自衛隊、反米軍を前面に打ち出しています。
連中は次のように言っている。「日本軍の性暴力が東京裁判で取り上げられず、日本政府も責任を否定しているから、二十世紀中に被害女性の正義を回復し、現在も繰り返される戦時下の性暴力をやめさせる狙いがあった」と女性法廷は主張しています。これは論理に矛盾がありますね。
酒井: 慰安婦問題は今世紀最大規模の戦争犯罪と訴えていますが、これは基本的に認識が間違っています。
例えば、今回、主席検事役のパトリシア・V・セラーズさんは月刊誌「世界」一二月号の松井やよりさんとの対談の中で、こう語っています。「慰安婦制度は旧ユーゴやルワンダでの性暴力とは比べものにならないほど大規模で組織的でしたから」「私は『慰安婦』制度について、法律家として、そして同時に奴隷の子孫として、奴隷制の歴史と関連づけてとらえたわけです」「この『慰安婦』制度の真相を明らかにすることがどんなに大事かということです。とにかく『慰安所』の事実だけで十分過ぎるほど恐ろしいのです。誇張する必要など全くないぐらい恐ろしい。起訴状を書くために各国からの資料を読んでこまかなことを知れば知るほど改めて恐怖感を持ちました」「性行為のあと膣を洗う規則とか、何曜日に性病検査をどういう風にやるとか、人間にとって到底耐えがたい状況だったことがわかるのです。事実をそのまま『法廷』で出せばよいのです」と言い、慰安婦問題で政府・軍の責任者が罰せられなかったから、現在でも性犯罪が起きていると言う。
こんなピントはずれで出鱈目な論理はありません。
山田: かつて私は、多くの旧軍元兵士から直接、事実を聞きました。
慰安婦は、仰々、貧困ゆえに両親に売られたケースが90%以上です。本人にすれば不本意でしょうが、家族の生計の為に、それしかなかったのが真実でしょう。大変気の毒だと思います。中には悪質な女衒に騙されて、慰安所に連れて来られた女性がいたことも確かです。
韓国・朝鮮は儒教思想が強いので、親を怨むわけには参りません。当たるところがないから、日本政府にぶつけようということなのです。
日本軍としては、戦地という治安の不安定な所で働く女性に、場所や交通手段を配慮せざるを得ないでしょうし、兵士に性病がうつったら困るので、性病検査など、女性をある程度管理、指導するのは当然です。
軍や官憲が率先して売春宿を経営することはなかった。総理府の外政審議室が二度に亘って発表した公式の慰安婦調査の結果を見れば、問題がないことが分かります。これについて、終戦間際に米軍情報局も詳細に調べ上げて、そういった強制などの事実はないということが全て判明しています。
それに、慰安婦は奴隷だったというのなら、いくらでも逃げ出せることができたのに、誰も脱走していない。金儲け、商売だから。

【シナの人権蹂躙を徹底無視するご都合主義】

酒井: そうです。女性法廷は過去のことに濡れ衣を着せるだけで、現在行われていることは殆ど追求しません。これではまずいと考えたのか、おざなりに公聴会で少しだけ発表するだけです。
現実はもっとひどいことが起きています。人権侵害が最も著しい中共と北朝鮮のことに目を瞑っています。あらゆる国際条約に違反して、中共がチベットでやったことを、主催者は知らん顔をしている。チベットを侵略した時、人民解放軍は強姦始め衆人環視の前で性的拷問をしたといいます。
山田: 今でも、チベットで行われているらしい。
昨年、アデ・タポンツァンさんが来日した際、お会いして話を伺いました。彼女もひどい拷問を受けて失神したことが何回もあり、強制不妊手術もさせられたと言っておりました。
酒井: 昨年十月にアムネスティー・インターナショナル・ジャパンが呼んだチベット尼僧のケルサン・ペモさんは、一九八八年五月十七日の反政府デモに参加した際、中共官憲に逮捕され、ひどい拷問を受けたと淡々と語っていました。
何と性器に電気ショック棒を突っ込まれたこともあると言います。
山田: 女性法廷が女性に対する暴力をメインテーマにしているのなら、このことを発表しなければならないのに、やらない。
目的は飽く迄も、所謂従軍慰安婦に関して、日本政府・軍とその最高責任者としての昭和天皇を裁こうという。
酒井先生始め「チベット自由と人権委員会」のメンバーは「女性国際戦犯法廷に意義あり」と題したビラを播くために、「日間戦地資料保存委員会」の加藤裕氏、「維新政党・新風」の西村修平さんら三十数人とともに抗議に女性法廷に押しかけたわけですね。

【天皇を病的にまで敵視する松井やより】

酒井: 左翼グループが発行している「戦争責任研究」夏季号の中で、松井やよりさんは、「日本では、戦犯処罰問題は戦後一環してタブーであった。東京裁判で天皇を戦犯として裁くべきだという世論がアメリカ、イギリス、オーストラリア、中国などで強かったが、米国が冷戦下の反共戦略に日本を利用しようという占領政策から、天皇を免責にし、戦争責任はもっぱら軍部に負わせた。東京裁判のあと、日本政府は一人の戦犯を裁くことはなかった。その結果、二〇〇〇万人以上ともいわれるアジアの死者と三〇〇万人の日本人死者を出した侵略戦争に加わった旧日本軍の軍人たちは『天皇の命令だった』と言い逃れることができた。そのうえ、日本では戦争責任を問うどころか、A級戦犯を首相にし、戦争犯罪を犯した戦死者たちを英霊として靖国神社に祀って閣僚たちが公式参拝し、遺族には四十兆円にものぼる軍人恩給を払い、今や自由主義史観派があの侵略戦争そのものを正当化しているのである」と述べています。
要するに天皇を戦犯として裁こうというのです。
今回、「女性法廷憲章」第五条の「命令責任と上官の命令」には「被告人の公的地位が天皇であろうと・・・」という字句を入れ、天皇断罪を事前に決めつけていたのです。
色々、法廷における展開もシナリオが既にできており、それに沿って運んだのです。最初から天皇を狙っていたんです。
「朝日新聞」十二月十八日付の社説に「連日千人を越す人々が会場を埋めて、ゆくえを見守った」とあるのには笑ってしまいました。
山田: 検事調書や結論は最初から決めていた。文字通り茶番劇そのものですね。それにしても、法廷メンバーの裁判官に旧ユーゴ国際戦犯法廷のマクドナルド前所長(米国、女性)のほか、ロンドン大教授(英国、女性)、アルゼンチンの判事(女性)、ケニア大教授(ケニア)やインド最高裁の前長官で国連人権規約委員会副議長を務めている人物を据えています。主席検事のセラーズは旧ユーゴ・ルワンダ国際戦犯法廷ジェンダー犯罪法律顧問で、もう一人はオーストラリアのフリンダース大教授(女性)で構成されています。
酒井: なぜ、裁判長と主席検事に米国の黒人女性を就けたのか、大変、興味深いところです。
このほかに、検事として韓国から八人、北朝鮮二人、中共二人、台湾七人、フィリピン七人、インドネシア四人、東ティモール二人、オランダ一人、日本から五人などで、殆どが弁護士か国際法専攻の大学教授です。権威付けに駆使していることが窺われます。しかし、初めから日本側、所謂被告人側の弁護人を一人も立てない。問答無用ということなんです。
山田: 日本の政府関係者をこの法廷へ呼んだけれど、誰も来ない、「傲慢な態度だ」と主催者側は言っていました。
酒井: 政府は尻込みすることなく堂々と、徹底的に反論しなければいけません。相手の事実誤認、歪曲手法、論理的矛盾を突けば、どっちが本当のことを言っているかということは自明で、第三者には明確に分かります。
ただ、これでは余りにも露骨だと思ったのか、今村嗣男という弁護人風の人物を仕立てて、日本政府の見解を少しだけ代弁させたようです。
この今村弁護士はプロテスタントで、かつて津地鎮祭違憲訴訟と自衛官合祀拒否訴訟の原告側弁護人を務めていました。
山田: 今後、女性法廷の関係者は、運動をドンドン、エスカレートする勢いのようです。
酒井: 三月八日にオランダのハーグで開かれる国際女性デーに合わせて、今回の女性法廷の続きとして最終判決を出す予定です。
それまでに国連人権委員会や、各国政府に強く働きかけ、日本断罪のための運動を展開することを決めています。
山田: 元慰安婦が日本政府に補償を求めた訴訟が、これまでに八件ありますが、五件が却下され、三件が東京地裁で審理中です。これに業を煮やしているのでしょう。
それに「女性のためのアジア平和国民基金」だけでは「償い金」の資金が不足しているので、全員に補償することができない、それに、もっと立派な「詫び状」が欲しいというのが本音でしょう。要するに金目当てです。
サンフランシスコ条約や二国間条約で法的に解決して、補償は終っています。ところが、平成十年九月十七日の参院総務委員会で野中広務官房長官は、「(所謂従軍慰安婦が奴隷制や強制的売春と強姦を禁じた当時の国際法に違反し、人道に対する罪を犯していることを論証した国連人権委員会が報告した)マクドガル特別報告書のような視点があるということを私どもは謙虚に踏まえておかなくてはなりません」と答弁した。
その直後、基金による解決ができないのなら、立法による解決が必要だとして共産党は「戦時における性的強制に関わる問題の解決の促進に関する法律案」を提出している。

【吉田清治=「河野談話」=クマラスワミ報告】

酒井: 慰安婦問題が国連に持ち込まれたのは、一九九二年二月に韓国挺身隊問題対策協議会が李効再代表を国連本部などへ派遣してアピールしたのが最初らしい。
山田: 当時、訪韓した宮沢喜一首相はこれを受けて、謝罪していた。昭和四十年の日韓条約で法的処理は終わっているのに。
その年の二月二七日、日弁連の戸塚悦朗弁護士が国連の人権委員会で、慰安婦問題を「人道に対する罪」と位置付け、国連の介入を求めた。
酒井: 国連は九四年にクマラスワミ女史を「女性に対する暴力に関する特別報告者」と任命し、二年後にレポートを受けることになりました。その中で、コンフォート・ウーメン(従軍慰安婦)からミリタリー・セクシャル・スラバリー(軍用性奴隷)と表現も替えられ、日本政府に対して、六項目の勧告を突きつけるわけです。
山田: そのクマラスワミ報告書は吉田清治の著書を参考にしたものです。後に、吉田の慰安婦狩りなどの話が全て出鱈目であることが分かっています。
しかし九八年八月にマクドガル報告書が発表され、クマラスワミ報告より具体的に、責任者の処罰と慰安婦への国家補償を明記しています。
そして今、女性法廷の主催者らは九八年に調印された常設の国際刑事裁判所(ICC)の発足を目指して動き出し、その中で、本格的に加害者個人を裁こうとしている。
こういった彼らを勢いつかせる背景には、河野談話が存在するわけです。平成五年八月の自民党単独政権の最終日、所謂宮沢内閣総辞職の前日に、河野洋平官房長官は談話を発表します。同時に発表した「慰安婦調査結果」の中には、旧軍による強制連行の事実は出てきません。それなのに河野は強制連行を認める発言をしてしまう。
この裏には、発表の一週間前から、韓国の自称元慰安婦らが日本キリスト教協議会(NCC)などの日本人支援者とともに、総理府、外務省に連日押しかけ、強引に「強制性」を訴えたのです。その頃、韓国政府も補償請求をしないと言ってきたものですから、辟易した宮沢首相と河野官房長官は政治決着としてこの“置き土産”をしたのです。この談話を言質として、元慰安婦と支援者は勢いを増して現在に至ったのです。
酒井: そのことについて、当時の実務者だった石原信雄官房長官が「文藝春秋」平成九年四月号で述懐し、元慰安婦側に寄り切られたことを認めています。
平成四年一月に宮沢首相が訪韓するに当たって、当時の官房長官、加藤紘一氏は、旧軍が慰安婦に関与をしたとのことで、謝罪談話をだしています。

【内外マスコミの反応】

山田: しかし、今回、マスコミの扱いは低調のようでした。
酒井: 「読売」は完黙、「サンケイ」も僅かしか報道しない。やはり、ダントツは「朝日」で、社説、特集を含め十数本の記事を載せていました。次いで「東京」で、「毎日」の記事は地味でした。
山田: 北朝鮮の「朝鮮新報」や韓国の「朝鮮日報」「東亜日報」「中央日報」はかなり詳しく掲載していました。特に、南北首脳会談の影響もあってか、朝鮮新報の十二月十三日付は「北南朝鮮、共同起訴状」の大きな見出しをつけ、「意思決定の最高責任者、昭和天皇に有罪判決」(十五日付)、「有罪判決に“マンセー”恨を晴らしたハルモニ」(同)、「あぶり出された日本軍の蛮行」(十八日付)などと、鬼の馘をとったような感じで報道しています。
酒井: 地方紙では「西日本新聞」が連載記事を載せていました。海外メディアでは、ワシントン・ポスト(米国)、ボルチモア・サン(同)、リベラシオン(仏)、フランクフルター・アルゲマイネ(独)、オーストリア・ブレッセ、メキシコ・エクセルシオル、エイシャン・ウォールストリート・ジャーナル(香港)、ディリー・インクワイアラー(比)が報じました。ほかにも多く出ていたようです。
山田: それに中国の「人民日報」。十三日付のフィリピン、シンガポール、マレーシアの華字紙の殆どが詳しく掲載しています。
しかし、主催者は日本のマスコミの取り上げ方、小さな記事扱いに不満だったようです。
酒井: でも、主催者は海外をメインにおいていますから、海外で報道されて国際世論が日本叩きに立ち上がることを期待していると思います。
その背後に欧米白人の陰がつきまとっているように感じます。特にキリスト教関連団体の参加ぶりにそれが表れています。

【法廷の主力はキリスト教団体】

山田: ここに女性法廷賛同団体約三百の一覧表があります。その内、半分近くがキリスト教の団体で、特にカソリック系が目につきます。カリタス、カルメル、フランシスコ、シオン、マリア、カラレチアン、ショファイユ、ゲオルギオ、ヨゼフ、クララ、エマオ、カナ、ノートルダム、イエスズ、メルセス云々という名称を冠した修道院や教会です。
主催者代表の一人、松井やよりは朝日新聞社の編集委員を務めたバリバリの反日派として著名ですが、彼女の背景には何かありますか。
酒井: 彼女はプロテスタントで、東京・渋谷の山手教会の出身です。
山田: 日本キリスト教団の。
日本のプロテスタントの総本山ともいうべき日本キリスト協議会も賛同団体として名を連ねています。
酒井: ええ、ただ女性法廷の本部事務局は江東区(塩見二-十-十)の日本カトリック会館内のカトリック中央協議会の下部組織「日本カトリック正義と平和協議会」が担当しているようです。
山田: 天皇陛下を最も嫌っているキリスト教徒が中心になって、遂に畏れ多くも陛下に有罪の判決を下す。
酒井: 日本のカトリックのボスは白柳誠一枢機卿で、クマラスワミやマクドガルなど報告書が出された国連人権委員会に対して、積極的にロビー活動をしたといわれています。
山田: 白柳はローマ法王を選ぶ権限を持つ大物の一人です。
カトリック信徒の中にも上智大学の渡部昇一教授とか、作家の三浦朱門、曽野綾子夫妻、評論家の徳岡孝夫氏などの保守派知識人といわれている方もおります。
酒井: 女性法廷の参加者の大半が韓国・朝鮮人で占められていましたが、支那人が裏にいることは間違いありません。
山田: 中国はチベット人や民主化運動家に対して弾圧を加えていますから、今回、表に出てこられないでしょう。
酒井: それでも、作家で『ノーといえる中国』の訳者の莫邦富氏が携帯ビデオで抗議行動する我々を、熱心に撮影していました。先に出てきました黒人のセラーズさんは、国際法の権威ということで、うまく利用されている。
山田: この連中の真の狙いは何でしょう。

【日本を呪詛(じゅそ)する欧米白人】

酒井: 女性法廷で日本を敗訴させ、さらに外圧によって追いつめようとしています。日本人は歴史を反省しない、悪い民族だと蔑視する。これこそ、日本人に対する甚だしい人権侵害であり、差別です。
大東亜戦争が行われたことによって、アジア、アフリカの国々が次々に独立したことは紛れもない事実です。そしてその影響で黒人も米国人としての公民権の取得ができた。こういった歴史の真実をものの見事に擦り替えています。日本のお蔭を受けている人々が、欧米白人と一緒になって日本を呪詛しているのです。恐ろしい国際的な大陰謀があると思います。
山田: 欧米白人は、日本の大東亜戦争の意義を否定せざるを得ないのですね。そうしないと、彼らが行ってきた五百年の侵略の歴史を認めざるを得ないからです。
酒井: 黄色人種の日本だけが悪者なんだと。ですから、これは明らかに人種差別・民族差別です。黙っていれば認めたことになるのが、正真正銘のグローバル・スタンダードです。
こちらは同じことを反撃すればいい、相手の言葉、つまり用語や論法をそのまま利用できます。熨斗を付けて返せばよいのです。
根本的には外務省、政府、政治家の責任ですが、彼らは少しも反撃しない。だから我々がやるしかない。内外に積極的に働きかけたり、異議の申し立てや抗議運動をやりましょう。
山田: そうですね、やりましょう。本日はどうも有難うございました。

 

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