※以下は産経新聞『夕刊フジ』掲載された記事をそのまま転載したものである。
【朝日の大罪】検証は「居直り」「開き直り」 元東京大学教授・酒井信彦氏
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産経新聞『夕刊フジ』 平成26年8月24日
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"朝日は、慰安婦報道の大誤報で |
朝日新聞が「慰安婦問題を考える」という特集記事を掲載し、自社報道の検証結果を公表して2週間以上が過ぎた。これは安倍晋三政権が行った「河野洋平官房長官談話」の検証と関係しているのだろうし、見出しに「読者の疑問に答えます」とあるから、読者の要求もあったのだろう。
今回の検証を、朝日が従来の報道を反省していると捉える人もいるようだが、それは、まったく違う。これは明らかに批判に対する、「居直り」「開き直り」以外の何物でもない。
それは、編集担当の杉浦信之氏による「慰安婦問題の本質 直視を」と題する文章に端的に示されている。そこでは「『慰安婦問題は朝日新聞の捏造だ』といういわれなき批判」とか、「元朝日新聞記者が名指しで中傷される事態」などと言っている。
確かに、従来の記事を取り消したところはある。2番目の「『済州島で連行』証言」という項では、吉田清治氏の証言について、見出しで「裏付けられず虚偽と判断」とし、末尾の「読者のみなさまへ」では、「吉田氏が済州島で慰安婦を強制連行したとする証言は虚偽だと判断し、記事を取り消します」とある。
しかし、朝日は、慰安婦問題における「強制性」をあきらめたわけでは決してない。
最初の「強制連行」の項では、見出しに「自由を奪われた強制性あった」と掲げている。また、「読者のみなさまへ」では、朝鮮・台湾などの植民地では「軍などが組織的に人さらいのように連行した資料」は見つかっていないが、インドネシアなどの占領地では確認されているとして、「共通するのは、女性たちが本人の意に反して慰安婦にされる強制性があったことです」とする。インドネシアの事例から、極端に拡大解釈をしているのである。
以上の強制性の解釈を踏まえて、「慰安婦問題の本質」なるものが主張される。それは、この項にも杉浦氏の文章にも出てくるが、「慰安婦として自由を奪われ、女性としての尊厳を踏みにじられたことが問題の本質なのです」(杉浦氏)ということである。つまりこれが朝日の主張の根幹ということになる。
ただ、いくら慰安婦問題の強制性を強調しても、一般的な戦地の売春と何が違うのか、少しも明らかではない。杉浦氏はボスニア紛争での強姦事件まで持ち出して、慰安婦問題に結びつけようとするが、極めて悪質な牽強付会(けんきょうふかい=都合の良いように無理に理屈をこじつけること)の議論である。
つまり、朝日の主張とはまったく逆に、日本人が冤罪(えんざい)をでっちあげられ、民族としての尊厳と名誉を無茶苦茶に踏みにじられていることこそが、慰安婦問題の本質である。
■酒井信彦(さかい・のぶひこ) 元東京大学教授。1943年、神奈川県生まれ。70年3月、東大大学院人文科学研究科修士課程修了。同年4月、東大史料編纂所に勤務し、「大日本史料」(11編・10編)の編纂に従事する。2006年3月、定年退職。現在、明治学院大学非常勤講師や、月刊誌でコラムを執筆。著書に『虐日偽善に狂う朝日新聞』(日新報道)など。夕刊フジで今年4、7月、『朝日新聞研究』を連載する。
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