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【新聞に喝!】朝日新聞の無神経な「ビキニ水着」

【新聞に喝!】産経新聞 2017.8.13 10:45

朝日新聞の無神経な「ビキニ水着」 元東京大学史料編纂所教授・酒井信彦
http://www.sankei.com/column/news/170813/clm1708130008-n1.html

 

毎年8月になると6日の広島、9日の長崎−と原爆に関する報道がなされる。ただし、日本に関する核の被害としてはもう一つ、マグロはえ縄漁船「第五福竜丸」(静岡県焼津市)の問題がある。それは63年前、昭和29年3月1日、第五福竜丸が太平洋のビキニ環礁付近で、アメリカの水爆実験に遭遇した乗組員たちが被曝(ひばく)し、無線長の久保山愛吉さんが半年後に亡くなった−という事件である。

最近の朝日新聞でも、7月14日に朝刊の1面と社会面で比較的大きく報じている。第五福竜丸の実物は現在、東京都江東区の夢の島公園にある展示館で保存されているが、7月13日に内部が特別に公開されたという記事で船体と船内のカラー写真が目を引く。

用語解説には「『ビキニ事件』『第五福竜丸事件』と呼ばれ、広島、長崎への原爆投下に次いで原水爆禁止運動の原点になった」とあるから、死者は1人であっても、社会に与えた影響は大きかったことがわかる。だから船体の永久保存が図られたのであろう。

ところで、このビキニ事件に関連して、私が以前からとても気になっていた言葉に「ビキニの水着」がある。朝日新聞には第五福竜丸の記事の2日前、7月12日の夕刊「あのとき、それから」欄に「1968年(昭和43年) 東京・銀座の街頭で水着ショー」という記事が出ている。

日本の女性用水着の歴史を紹介した記事だが、昭和27年の水着コンテストでは出場者は皆ワンピース型だったと指摘し、「一方、海外では胸と腰とに分かれた『セパレーツ』の流行が始まった。46年(昭和21年)に米国がビキニ環礁で行った原爆実験の衝撃にちなんで『ビキニ』と名付けられた水着が登場」と述べている。

つまり、セパレーツの形が原爆のキノコ雲を連想させたのか否かはともかく、ビキニの語源が核兵器実験場のビキニ環礁に由来することは間違いない。そうだとすれば、われわれが日常的に使っている「ビキニの水着」という表現はずいぶん無神経な言葉ではないのか。

欧米で作られた言葉であろうが、核の被害に遭った日本人が軽々しく使うべき言葉ではないはずだ。すでに「セパレート」という表現があるのだから、わざわざ「ビキニ」と言わなければならない必要はない。不都合な言葉は改められるべきで、かつて、トルコ人青年の要請で「トルコ風呂」という言葉は使われなくなった。

朝日新聞は核の問題についてとりわけ熱心で、極めて頻繁に関連記事を掲載している。しかし「ビキニの水着」を許容しているようだと、その反核の本気度は疑わしくなってくる。

 


【プロフィル】酒井信彦

さかい・のぶひこ 昭和18年、川崎市生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京大学史料編纂所で『大日本史料』の編纂に従事。


 

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sakai-book01.jpg ← 酒井信彦 著『虐日偽善に狂う朝日新聞―偏見と差別の朝日的思考と精神構造』(日新報道 2013/08出版)


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