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日本人は精神奴隷民族になり果てた

『月刊日本』2017年9月号 羅針盤 2017年8月22日

朝日新聞は7月23日の紙面で、退位特例法の成立に合わせて、いち早く平成時代を回顧する世論調査を行っている。質問は全体で15問あるが、元号について4問、平成時代の個別の問題について6問で、最初の2問は現在の内閣と政党の支持率の調査だから、中心になるのは3問にすぎない。

その主要な3問はすべて四択で、結果はパーセントで示される。まず「平成時代を全体として、どんな時代だと思いますか」には、明るい12、どちらかと言えば明るい54、どちらかと言えば暗い26、暗い5。次いで平成時代を象徴する出来事では、地震などの大災害42、バブル崩壊などの不況12、インターネットの普及29、雇用の流動化13。さらに最も理想に近い天皇のイメージでは、親しみがある16、国民への思いやりがある65、権威がある10、神秘性がある5。以上のような具合である。

昨今の「もり・かけ」問題で、以前にもまして明らかになったように、「世論調査」とは「世論操作」であるのだから、ここには皇室問題における朝日の意向が表明されているわけである。

この調査では、平成時代全体の印象は、明るいが64、暗いが31となる。しかし私に平成時代の評価を聞かれれば、それは明らかに暗い時代、それも「真っ暗な」時代であると回答せざるを得ない。この調査では平成時代の出来事として、災害が42、不況が12となっているが、これはいかに国民が正確な認識ができないかの証拠である。災害で多くの人命が失われたかも知れないが、不況のために平成の長期間にわたって、以前より増加した分の自殺者の方が、はるかに多数である。しかもこの不況は自然現象ではなく、人為的に引き起こされたものである。それは直接的には日本の国家権力の責任であり、間接的にはアメリカの「日本バッシング」の結果である。

ところが平成時代には、もう一つ重大な日本バッシングが存在するのだが、それはこの世論調査の選択肢の中には、全く含まれていない。それこそが例の歴史問題に他ならない。アメリカによる経済攻撃が日本バッシングと表現されるのに、中共・韓国による歴史問題を利用した、日本への誹謗・中傷・迫害が、日本バッシングと認識されないのは、全くの不条理である。

もちろん経済のバッシングも、歴史問題のバッシングも、すでに昭和の末年から開始されていたのは事実である。しかしそれが本格化したのは、明らかに平成時代であると言って良い。特に慰安婦問題は、1990年代からはじまり、今に至ってもますます混迷の度を深めている。朝日がこの歴史問題を平成時代の出来事の選択肢に入れないのは、朝日自身が、このとてつもない冤罪をでっちあげた張本人だからである。

平成時代の重大な出来事は、もう一つある。中共の経済成長とそれを利用した軍備の増強、すなわち文字通りの「富国強兵」路線の驀進である。中共は我が国の領土尖閣諸島に対して、核心的利益であると、明確な侵略宣言を行い、軍事的脅威を拡大している。最近では北朝鮮も、ミサイルと核開発でその脅威は増大している。これこそ平成時代の重大な出来事なのに、朝日はこれも選択肢に入れない。広岡知男の「歴史の目撃者論」以来の、隷中路線の伝統である。

産経新聞は、歴史問題を「歴史戦」と名付けて、精神戦・情報戦と捉えている。ただしこの戦いにおいて、日本は一方的に負け続けている。経済問題における対米敗北を、「第二の敗戦」と形容した人がいるが、歴史戦においても「第三の敗戦」状態である。つまり日本人は歴史問題による、東京裁判史観の再構築によって、精神を再侵略されてしまったのである。明治世代が生きていた昭和時代は、日本罪悪史観に対して「面従腹背」であったが、平成時代は「面従服従」になった。

かくして現在の日本人は、国家意識・民族意識を完全に喪失した、幕末維新のころの日本人とは似ても似つかない、愚か極まりない精神奴隷民族になり果てた。中共・北朝鮮の軍事的脅威が、あまりにも明らかになっているのに、安保法制に大反対し、「もり・かけ」問題の馬鹿騒ぎに明け暮れている。平成時代は、日本を貶めることに熱狂する、虐日日本人、日本ヘイト日本人が、のさばり返る暗黒の世界である。民族の裏切り者、虐日メディア権力によって、日本人は騙され切っている。すなわち「大正デモクラシー」ならぬ、「平成ダマクラシー」である。

 

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sakai-book01.jpg ← 酒井信彦 著『虐日偽善に狂う朝日新聞―偏見と差別の朝日的思考と精神構造』(日新報道 2013/08出版)


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