『月刊日本』2017年11月号 酒井信彦の偽善主義を斬る 2017年10月22日
今月号より、「酒井信彦の偽善主義を斬る」との表題で、書かせていただけることになった。私は現在の日本が抱える最大の問題は精神の病であり、それこそが偽善主義の蔓延であると考えるからである。
今回の総選挙において、民進党が希望の党に身売りして、それに対する不満分子が立憲民主党を結成した。この集団をマスコミは、リベラル派と表現しているが、これは全くの誤用である。このリベラルは、保守とリベラルというように、対概念として使われているが、昔は保守と革新と言っていた。彼らリベラル派こそ、実は人権、民主主義、言論の自由など、リベラル的価値を尊重しない、似非リベラルであり、すなわち本質的な偽善主義者である。
一方、保守言論はこの「リベラル」を、共産主義を信奉する左翼が生き残っているかのように理解しているのも、大きな誤りである。もちろん共産主義信者の日本共産党のような人々もいるが、偽善主義におかされている日本人は、さらに限りなく広範に存在する。
これは私がたびたび指摘することだが、鳩山由紀夫という元首相は、母親から何億円もの小遣いを貰っていた人物であり、このような人間が左翼であるはずがない。同人は引退後も、韓国に行って土下座するなど、反日活動に勤しんでいる。
また日本のカトリック教会の最高幹部に当たる、カトリック司教団は日本の歴史問題について、なんども戦争の歴史を反省すべきとの声明を出している。またカトリック教団としては、慰安婦問題でも、靖国参拝問題でも、日本政府を非難しているし、カトリック系の学校に対して、日の丸・君が代を使用しないように要望している。日本カトリックの最高幹部が、左翼であるはずがない。その一方で、西欧カトリック教徒が世界侵略の過程で、さんざん犯した残虐行為を、同じカトリックとして反省しているとは、聞いたことがない。偽善の極みである。
つまり、偽善とは偽りの善ということだから、自分が善良な人間であること、良心的な人間であることを、装うことである。それによって精神的満足、精神的優越感を味わいたいのである。その意味で、偽善は精神の麻薬と言える。いったんそれに味を占めてしまったら、そこから抜け出すことは極めて困難である。
この偽善の精神的なメカニズムは、他者と自分を比較することによって、自己の優位性を確認するのであるから、これはいわゆる「いじめ」のメカニズムと、極めて共通するものである。大体人間は他人の悪口を言うのが大好きで、一般人の会話のかなりの部分は、悪口が占めていると言って良いだろう。悪口は相手のいないところでは陰口になるが、直接相手に対して言えば、言葉によるいじめであり、言葉による暴力なる。
もちろん、この偽善は人間の歴史と共に古くから存在し、キリストは新約聖書の中で、自分を棚に上げて、他者を批判する偽善を厳しく戒めている。つまり日本のカトリック司教団は、聖書の中身を理解していないことになる。「聖書読みの聖書知らず」である。しかし偽善は現在も世界において、あまねく存在している。歴史問題に関して言えば、中共や韓国はそれを積極的に利用して、日本人を精神的に奴隷化することに熱心である。また最近では欧米諸国も、慰安婦問題や靖国参拝問題では、自分の過去の侵略の歴史は全く棚に上げて、日本批判を展開する。それによって善良な人間であることを、誇示するわけである。
ではこれらの外国による歴史問題を巡る偽善と、日本人による偽善とはどのように異なるのであろうか。これは本誌で私が繰り返し説明してきたように、日本人による日本及び日本人に対する、いじめであり誹謗・中傷・迫害であることである。それを保守言論では自虐史観と言っているが、それは正確ではない。虐日日本人による同胞である日本人に対する、「お前たちは歴史を反省していない、悪い人間だ」とする、卑劣極まりない批難・攻撃であるから、国家的規模における家庭内暴力、ドメスティック・バイオレンスというべきものである。児童虐待の最大の加害者は母親であり、次いで父親である。ドメスティック・バイオレンスが、自虐であるわけがない。
この日本のドメスティック・バイオレンス状態は、世界的に見ても、まことに稀有の事態であろう。特に問題なのは、シナ人・朝鮮人を主体とする、日本人のアイデンティティを破壊することを目的とする、精神的侵略と完全に連動・同調して、その手先となっていることである。こんな愚かな国は、世界中を探してもどこにも存在しないに違いない。日本の歴史上、最低・最悪の時代と言わざるを得ない。
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