『月刊日本』2018年2月号 酒井信彦の偽善主義を斬る 2018年1月22日
10月に出版された小川栄太郎氏の著書「徹底検証『森友・加計事件』 朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」に対して、朝日新聞はかねてから謝罪と損害賠償を要求していたが、12月5日に至って東京地裁に提訴するに至った。それは著書の内容が事実無根の誹謗中傷であり朝日の名誉が毀損されたとして、同氏と出版社に、謝罪広告と5千万円の賠償を求めるものであった。
言論に対しては言論で対応すべきであるのに、言論の戦いを拒否し、国家権力を利用して、言論を封殺しようとするものであり、言論機関として決して許されない境地に突き進んだわけである。そもそも言論としての戦いであっても、朝日は何百万もの発行部数を誇る、巨大なメディア権力であるのに、他方は弱小な個人と出版社であるから、圧倒的に有利な立場であるのに、朝日が提訴に踏み切ったのは、よほど批判がこたえたからなのか。
核爆弾とミサイルの開発に驀進する北朝鮮に対しては、対話の必要を強調してやまない朝日新聞が、作家と出版社相手では、対話を拒否するありさまは支離滅裂で、滑稽極まりないと言わざるを得ない。
ところで対話と言えば、元旦の朝日新聞には、とても興味深い全面広告が載っていた。それは岩波書店による年頭に掲載されるメッセージ的な広告で、広辞苑と岩波新書の宣伝だが、共通する見出しとして、巨大な活字で「もっと対話を」と大きくうたっている。この広告は、朝日だけに載ったようだ。
両書の説明の冒頭部分は、広辞苑は、「『分断』と『壁』が、いつの間にか、時代の言葉になりました。『壁』の両側で人は『壁』を超えられず、超えようともせず、閉塞し、ただ感情的にお互いを罵りあっています。その対立は、ときとして、暴力や紛争を引き起こします。不足しているのは、対話です。コミュニケーションです。コミュニケーションは、言葉です。いま、世界に圧倒的に足りないのは、言葉です」とある。
岩波新書は、「対話は、平和と希望を呼び寄せる道となることでしょう。『戦争・暴力の反対語は、平和ではなく『対話』です』――これは、昨年刊行した岩波新書『対話する社会へ』(暉峻淑子著)の重要なキーワードでした。」とあり、全体の末尾に「もっと対話を。岩波書店の二〇一八年への呼びかけです」とある。
朝日と岩波は、その言論の傾向が極めて類似する、お友達言論機関であるが、朝日新聞は、この岩波書店の呼びかけに対して、どう答えるのか。反対に、岩波書店は今回の朝日新聞の暴挙に対して、いかに批判・糾弾するのか。今後の動向によって、朝日・岩波的言論の虚妄性が、より一層明らかになるだろう。
書店による年頭のメッセージ広告では、もう一つ極めて注目すべき広告が出現した。宝島社による、朝日・読売・毎日三紙に1月5日に掲載された、見開き二面全面広告で、右面をフランス俳優のアラン・ドロンとジャン=ポール・ベルモンドのカラー影像が、大きく占めている。メッセ―ジのタイトルは、「世界は、日本を待っている」である。
以下、紹介すると、「『私がどうしても滅びてほしくない民族があります。それは日本人です』。1921年から27年にかけて駐日フランス大使を務め、劇作家、詩人でもあったポール・クローデルは、先の大戦時、戦火のパリでそう語ったという。四方を海に囲まれた東方の島国、ニッポン。自然を崇拝し、自然と調和しながら独自の文化を築き上げた国、ニッポン。(中略、日本文化のフランス文化への影響を指摘)誠実、勤勉、礼節、友愛を尊び、異文化を取り入れて新しい文化を生み出す技術と感性。一筋の皺にも美と喜びを見出す繊細さ。細部に命を宿らすモノづくりへの拘りは、世界に誇れる無形文化だといえよう。しかし昨今、その誇りを自ら傷つけ、萎縮してしまってはいないだろうか。」
更に末尾で、フランス俳優二人は、日本人にメッセージを寄せている。
アラン・ドロン「ジャポンは、自信をもって世界をリードすればいいのに。ジャポンが元気だとみんなが刺激を受けるよ。もちろん僕たちもね」。
ジャン=ポール・ベルモンド「その深くて大きい精神性にも、美意識にも、私は誉と友情を感じている。ともに胸を張って進もう!」。
最も重要なのは、「しかし昨今、その誇りを自ら傷つけ、萎縮してしまっていないだろうか」の一文である。この自らを傷つけている張本人こそ、朝日・岩波に代表される、同胞迫害に熱狂する、虐日日本人に他ならない。これらの人間がのさばり返っている惨状では、俳優両氏の期待にはとても応えられないどころか、クローデルの願いを完全に裏切って、亡国の運命に陥るに違いない。
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← 酒井信彦 著『虐日偽善に狂う朝日新聞―偏見と差別の朝日的思考と精神構造』(日新報道 2013/08出版)
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