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論語読みの論語知らず

『月刊日本』2018年4月号 酒井信彦の偽善主義を斬る 2018年3月22日

 小川栄太郎氏の朝日批判の著作が気に食わないとして、提訴している朝日新聞だが、ケント・ギルバート氏の本に対しても、よく売れていることに対してイチャモンを付けている。それは3月6日朝刊の、「ケント・ギルバート氏の中韓本 売れる理由は」という記事である。ギルバート氏の『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』と言う本が、昨年の新書・ノンフィクション部門で47万部とトップだったという。

 儒教と言えば思い出すのは、東アジアの経済成長を説明する理屈として、儒教文化圏なる概念が使われたことがあった。またこれと関連して、東アジア共同体の構想もあった。しかし中共の覇権主義の顕在化によって、昨今で儒教文化圏も東アジア共同体も、とんと聞かれなくなった。

 儒教に対する親近感は、シナ文化を長く受容してきた日本には基本的に存在し、それは現在でも結構継続していて、児童も含めた論語の根強い流行はその表れてあろう。ギルバート氏の本の特徴は、いままでプラス価値として説明されてきた儒教をマイナス価値として、説明したことにあるのではないか。その意味で、ギルバート氏の主張は日本人にとって、新鮮であったのだろう。

 ところで、私はギルバート氏の本を読んでいないので、具体的にどのように説明しているか知らないが、この本のタイトルや朝日の記事から見るかぎり、ギルバート氏の儒教に対する捉え方には、かなり誤解があるのではないかと思われる。タイトルは「儒教に支配される悲劇」であり、記事には「中韓では『儒教精神から道徳心や倫理観が失われ』『自分中心主義が現れて』きたと指摘」とあるが、儒教は本来、道徳心や倫理観についての教えであったはずである。すなわちシナ人や朝鮮人の悲劇は、儒教そのものに原因があるのではなく、逆に儒教の教えを全く理解せず、ましてや実践できないことにあると言うべきなのである。

 例えば、孔子は論語の中で、儒教の中核概念を「恕」と言っている。さらに具体的に、「己の欲せざるところは、人に施すこと勿れ」と説明している。これは他人に対する「思いやり」である。「仁」と言っても同じである。この思いやりこそ、まことに皮肉なことに、シナ人・朝鮮人に最も欠如しているものである。

 シナや朝鮮には科挙があり、この試験に合格することによって、支配階級の官僚になった。そのため死に物狂いで受験勉強に励んだのだが、そのテキストに当然論語も入っていた。つまり他人に対する思いやりを十分学んでも、全く身につかなかったのであり、反対に陰惨な権力闘争に明け暮れた。

 現在、シナ人は侵略された歴史を強調して、「中華民族の偉大な復興」を、声高に唱えているが、中華人民共和国はその成立時から、まぎれもない侵略国家である。さらに覇権主義路線を驀進している。

 実は日本人は、この欺瞞的状況を見事に言い表した、素晴らしいコトワザを発明している。それがすなわち「論語読みの論語しらず」である。シナ人・朝鮮人の思想の真髄は、「思いやり」とは全く逆の、「水に落ちた犬は打て」である。

 ただしギルバート氏の本が売れた根本的原因は、先に説明したような、儒教の負の側面への注目といった、穏やかなものでは決してないだろう。記事の説明では、講談社でこの本を担当した編集者は、「東京・新橋の居酒屋で、周りの客が中国人や韓国人への違和感を語っているのを聞き、企画を思いついた」という。

 ではなぜ平均的な日本人が、シナ人・朝鮮人に違和感を抱くのか。そこには明らかに歴史認識問題が存在している。歴史問題の本質とは1980年代からはじまった、中韓両国による卑劣極まりないジャパン・バッシングであり、両国の国家元首は、世界中で日本へのヘイトスピーチを、やりまくってきた。それによって日本国民の、中韓両国に対する積年の恨みは蓄積されており、それが時に出現するのは当然のことである。朝日の記事にもあるが、2014年には、室谷克実氏の『呆韓論』がベストセラーになっている。嫌中・嫌韓と言っても、それは全く根拠ある嫌中・嫌韓であるのだ。

 ただし歴史問題は、根本的に日本発である。教科書問題も慰安婦問題も、日本のメディアが騒ぎ立て、それを中韓両国が利用して日本政府を攻撃し、政府がそれに屈服するという、基本的なメカニズムで展開してきた。このメディアの主役が、誰でもない朝日新聞である。つまり正常な日中・日韓関係を破壊した張本人である。したがってギルバート氏の本をベストセラーした、最大の功労者は朝日新聞自身である。朝日は、こんな簡単なことに気が付かないほど、ボケてしまったらしい。

 

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sakai-book01.jpg ← 酒井信彦 著『虐日偽善に狂う朝日新聞―偏見と差別の朝日的思考と精神構造』(日新報道 2013/08出版)


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