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日本にはびこる「精神的中国人」

『月刊日本』2018年5月号 酒井信彦の偽善主義を斬る 2018年4月21日

 3月21日の産経新聞に、北京の三塚聖平特派員による、実に興味深い記事が出ている。その見出しに「旧日本軍賞賛『精日』が話題に」「「王外相『中国人のくず』」。記事の冒頭は、「旧日本軍の軍服を着て『日本軍国主義』など日本を称賛するような行動をとる『精日』(精神的日本人)と呼ばれる中国人の存在が、20日に閉幕した全国人民代表大会で話題になった。閣僚が『中国人のくず』と非難したほか、『精日』の処罰を求める意見も出た」とある。

 この記事によると、ことの発端は、2月に南京で旧日本軍の軍服を着た人間が写真を撮り、それをインターネット上で公開したことで、「精神的日本人」であると、批判が集中していたらしい。

 それがさらに大きな話題になったのは、3月8日の全人代閉幕後の王毅外相の記者会見で、この件について質問を受けた同外相が、怒りをあらわにして「中国人のくず」だと罵ったからである。

 この問題については、翌日3月22日の産経新聞でも取り上げられている。それは「石平のチャイナウオッチ」欄で、最初の問題発生の状況および事件の経緯を、比較的詳しく説明しているので、紹介しておく。

 「2月20日、2人の若者がネット上にアップした1枚の写真が波紋を呼んだ。四川省出身の唐さん(25)と南京市在住の宗さん(22)が、南京市内の山中にある日中戦争遺跡のトーチカをバックに撮った記念写真である。そのとき2人は、旧日本軍の軍服を身につけ、オモチャの軍刀と小銃を手に持ち、日の丸の旗を掲げていた。それがネットで公開されると、2人は直ちに『悪質な精日』だと認定され、『日本の侵略戦争に対する賛美だ!』『民族感情を踏みにじった卑劣行為!』との批判の声が全国的に広がった。そして22日、2人の身元は警察によって割り出され、拘束される憂き目にあったのである。」

 また産経では、別にデジタル版(3月23日)で北京の西見由章記者がこの問題について解説している。この記事では、王毅外相による記者会見の様子が詳しい。「『中国人のクズだ!』3月8日、全国人民代表大会(全人代)に合わせて北京で開かれた王毅外相の記者会見。約2時間の会見を終えて立ち上がった王氏が人さし指を振り上げ、怒気を帯びた声で言った。国営新華社通信傘下で南京に拠点を置く商業紙『現代快報』の記者が『このごろ、精日分子が絶えず民族の最低ラインを挑発している行為をどう思いますか』と王氏に問いかけたのだ。中国人記者の間では『シナリオ通り』のやり取りと見る向きもある」と述べられている。

 この西見記者の記事では、精日問題は以前から問題視されており、ネット上でも議論されていることが比較的詳しく紹介されている。また精日分子を追及する、「精日ハンター」の存在にも言及されている。

 ところでこの中国の精日問題を、産経メディアが熱心に報道しているが、8日の王毅外相の会見から、十日以上たってからの報道である。ただし他の主要新聞各紙に至っては、4月8日現在において、全く報道がないようである。

 日中間に発生する問題として、これほど興味深い問題は、めったにないにも拘わらず、この無報道状態は真に異常というしかない。王毅外相が記者会見の場で、烈火のように怒ったというのだから、天下周知の事実である。それを報道できないということは、この事実が中共にとって不名誉きわまることであり、しかもそれが日本と直接的に関係する問題であるからなのであろう。

 つまり日本が関係する、中共の不名誉な事実は、日本人の読者には知らせたくない、と判断していると理解せざるを得ない。まことに素晴らしい思いやりであり、究極の忖度と言うべきであろう。

 また忖度と言えば、習近平終身国家主席を決めた全人代が閉幕した直後の、「習政権2期目 社会の変化は阻めない」と題する、朝日の社説は、習主席の権力強化は進行したが、他方で国民の自由を求める声も強まっているとし、「習政権が市民のネットでのやりとりを監視したり、街頭に監視カメラを並べたりするのは、社会の力量が増したことへの警戒感のためでもあろう」と、終身独裁者に対して、驚くほどの同情と理解を示すのである。

 中共に対してこれほどの忖度をやる人間は、日本人であっても「精神的中国人」と呼ぶべきであり、日本における文字通りの「精中」分子である。中共で精日分子がどれくらいいるか知らないが、日本においては精中分子が、限りなく存在している。しかもそれは同胞虐待に熱狂する虐日日本人であるから、それこそ「日本人のくず」である。

 

sakai-book01.jpg ← 酒井信彦 著『虐日偽善に狂う朝日新聞―偏見と差別の朝日的思考と精神構造』(日新報道 2013/08出版)


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