- 2014年5月22日 11:08
- 月刊日本 羅針盤
『月刊日本』2014年6月号 羅針盤 2014年5月22日
集団的自衛権が緊急の政治的課題として浮上しているために、今年の憲法記念日はことのほか、憲法問題で盛り上がった。とくに朝日新聞は広大な紙面を割いて報道し、五月四日には、皇后陛下のお言葉を使って、現行憲法の擁護に大わらわであった。護憲という目的のためには、あからさまな皇室の政治利用も辞さないわけである。
憲法については膨大な言説がなされているが、根本的に大事ことは、この憲法はすでに破産しているという事実である。それはこのような憲法が作られた土台である前文の文章と、中華人民共和国という国家の存在と、突き合せて見れば良く分かる。
まず注目されるのは、中段に出てくる「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」の部分である。これに基づいて問題の戦争放棄の九条が出てくるのであるが、この認識と決意は日本の現実には全く当てはまらない。
今から四十余年前の日中国交成立以後の、歴史を振り返ってみれば良い。中共は当初、日中友好の大合唱を演出しておいて、日本から巨額のODAを引き出し、インフラの整備に努めて、経済成長の土台を作る。さらに日本は資本と技術を大量に注入するが、第一次教科書事件以後、常に歴史問題で脅迫されて、もうからない商売をし続ける。経済成長をすぐさま軍備増強に結びつけ、富国強兵路線を驀進して、世界第二の経済大国・世界第二の軍事大国になりおおせる。同時に鄧小平時代の穏健路線をかなぐり捨てて、とりわけ海洋で覇権主義を鮮明にする。
我が国に対しては、歴史問題における言葉の攻撃から、二十一世紀になると直接暴力を振るうようになり、二〇〇五年、二〇一二年には広汎な官製反日暴動を発動した。また尖閣諸島に関しては、核心的利益だと明言して、我が国の領土に対する侵略宣言を行い、侵犯行為を繰り返している。また歴史問題でも、虚偽の言説を国家元首自ら、世界に向かって発信している。つまりこんな国に「公正と信義」を期待することなど全く不可能である。
問題はそれだけではない。また前文では先の個所に続けて、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」とあるが、この認識は完全なる間違いである。そもそも中共はその成立時から、まぎれもない侵略国家であるが、偉そうな顔をしてのさばりかえっている。この中共による残虐極まりない侵略犯罪を、国際社会が告発し糾弾することは、現状において全くない。その意味で、正義は完全に踏みにじられている。
さらに前文の末尾近くに、「われらは、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはらならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる」とある。他国を無視するどころか、他国を侵略の対象としか考えない、普遍的な政治道徳の法則に、完璧に違反している国家こそ、言うまでもなく中共である。
つまりこの前文は現実の世界を全く反映していない虚偽そのものである。したがって、この前文の思想に立脚した日本国憲法は、無価値を通り越して、極度に有害であり、危険である。
本来ならば、反戦平和主義者こそ、中共という国家に最も批判的でなければならない。しかし事実は全く逆である。憲法を崇め奉る日本人ほど、中共に卑屈なまでに融和的である。つまり彼らの護憲論は、まるで本気ではないのだ。単に憲法を振りかざして、反戦平和主義を呼号することにより、自分が善人であると自己確認がしたいだけなのである。私が常々指摘する、偽善である。しかも同胞の日本人を虐めまくるのであるから、虐日偽善である。
この東アジアの現実に完全に目を瞑った、盲目的・狂信的な反戦平和主義の日本における蔓延を、「中華民族の復興」のスローガンのもとに、膨張主義を推進する中共の支配者たちは、腹を抱えて笑って眺めているに違いない。日本人の愚かさが、シナ人の侵略意欲を、ますます亢進するのである。日本国憲法は、人類の財産だと主張する人々がいるが、日本国憲法こそ、シナ人侵略主義者にとって、最高の宝物である。日本国憲法が、シナ人の日本侵略を招きよせるのだ。
←多くの皆さんに知ってもらうためにもクリックをお願いします。
← 酒井信彦 著『虐日偽善に狂う朝日新聞―偏見と差別の朝日的思考と精神構造』(日新報道 2013/08出版)
- 次の記事: 大和魂再生とニッポンの敵
- 前の記事: なぜ集団的自衛権が必要なのか