- 2014年12月21日 11:14
- 月刊日本 羅針盤
『月刊日本』2015年1月号 羅針盤 2014年12月22日
朝日による慰安婦の記事取消問題を巡って、週刊誌・月刊誌など雑誌媒体に、夥しい情報が現れた。それをすべて見ることなどできないが、管見に及んだ中で、私が特に注目したのは、メディア研究者・山本武利が『新潮45』十一月号に書いた、「朝日新聞の歴史を貫く七つの『ブラック綱領』」である。
ブラック綱領とは聞きなれない言葉だが、冒頭の説明では「ブラック・プロパガンダ研究でいう隠された送り手の存在と意図を解明する手法を使って、朝日がこの間に示した編集、経営上の隠れた手法や行動のポリシー、つまり『ブラック綱領』を歴史的に浮き彫りにしようと思う」とある。つまり朝日新聞は、立派なブラック企業なのである。
その七つの綱領、つまり原則とは、以下のものである。1、取消は不要である・2、平時はリベラリズム戦時は帝国主義・3、一時しのぎの謝罪ならよかろう・4、権力者詣では欠かすな・5、テレビを巧みに取り込め・6、情報公開は避けよ・7、読者はバカである。
朝日の百三十五年の歴史について、この綱領を説明するのだが、本稿では6の「情報公開は避けよ」だけを紹介することにする。これは朝日が戦争中、一九三九年正月より上海で発行していた「大陸新報」に関することである。
今は無き雑誌『諸君!』の二〇〇四年十一月号に、山本による「朝日新聞の中国侵略」という、素晴らしいタイトルの論文が掲載された。これは『朝日新聞社史』で初めて簡略に明らかにされた「大陸新報」について、山本がさらに詳しく調査したもので、特に陸軍の特務機関との密接な関係が解明されている。
ただしその末尾に山本は次のように記した。「この小論の筆者は今まで自分で集めた資料でその不足を克服しようとしたが、社外の個人の力ではやはり限界がある。(中略)さらなる客観的な研究になるためにも、新聞社側の『包み隠さない』情報公開の姿勢と行動が待たれる」。
この論文は山本により、大幅にその後の研究成果が盛り込まれて、二〇一一年二月、同じタイトルの単行本として、文芸春秋から刊行された。そのあとがきには、山本の情報公開要求に対して、朝日がいかに対応したかが述べられている。
「朝日側からの直接的回答はすぐにはなかったが、2006年の秋の頃であったか、朝日の『新聞と戦争』取材班の松本一弥デスクの来訪を受け、2007年春から連載する『新聞と戦争』はあなたの情報公開要求への本紙の回答であると告げられた」。
しかし『新聞と戦争』でも、その続編の『新聞と昭和』でも、大陸新報について記載がなかったために、山本は更に独自調査を継続して、単行本を刊行したのだという。確かに、この両書の巻末の索引を見てみると、「大陸新報」という言葉は、全く出てこない。
今回の『新潮45』の第六綱領「情報公開を避けよ」は、この大陸新報についての、朝日による明確な約束違反を、再度指摘したものである。松本一弥は『新聞と戦争』の「あとがきに代えて」を書いている、このプロジェクトの最高幹部であり、その幹部が明らかなウソをついたのであるから、「噓つき朝日」と呼ばれても仕方がないだろう。大陸新報は朝日にとって、大いなる「特定秘密」であるらしい。
『新潮45』の論文にはさらに、大陸新報について、全く新しい極めて重大な指摘もある。それは「摩訶不思議といえば『朝日新聞の中国侵略』について1頁の大書評を掲載した『環球時報』(『人民日報』の国際版)のデータベースからいつの間にかその部分が消されたことである。その評者も首をひねっている。同書が中国に好意的な朝日のイメージを悪くするとの判断がどこかにあったと思われる」との記述である。
つまり日本のシナ侵略の過去を、国家元首が先頭に立って非難して止まない中共が、朝日の侵略については、懸命に隠そうとするのである。すなわち中共・シナ人と朝日は完全にグル・仲間・同志だから、こうゆう奇怪な現象が出現するのだ。これは旭日旗に類似したデザインなら、なんでも偏執狂的に糾弾する韓国人が、旭日旗そのものの朝日の社旗を問題にしないのと、全く同一の現象である。
そうなるのは、シナ人も朝鮮人もそして朝日も、日本を誹謗・中傷することによって、精神的優越感に浸る、虐日偽善の精神構造においては、完璧に同体質であるからである。
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← 酒井信彦 著『虐日偽善に狂う朝日新聞―偏見と差別の朝日的思考と精神構造』(日新報道 2013/08出版)
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