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中華民族イデオロギーの犯罪性

『月刊日本』2015年4月号 羅針盤 2015年3月22日

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日本ではイスラム国による、日本人人質虐殺問題で騒いでいた二月に、ミャンマーでは国軍と少数民族との武力衝突が発生した。日本ではほとんど関心がもたれていない事件であるが、これは今後においても重大な意味を持つ事件であると判断される。

それは十七あるミャンマーの少数民族の一つであるコーカン族と、ミャンマー軍隊との武力衝突が二月九日に発生して、数日のうちに国軍側に何十人もの死者を出した。そのため同十七日には戒厳令が布告されたが、これは二〇一一年の民政開始後では初めてのものだという。ミャンマーでは多数の少数民族がいて、長年独立運動を行ってきたが、近年民族統合が進められているとされてきた。今度のコーカン族問題は、その流れに反するだけでなく、国内問題にとどまらず、国際問題に発展する要素を強く持っていることが、最大の特徴である。

その原因はコーカン族なる民族の性格であり、それはミャンマーの他の少数民族とは異なって、漢民族・シナ人であるとされることにある。彼らは数百年前、明王朝の滅亡の際に雲南省から逃れてきた人々の末裔で、シナ語を話し漢字では「果敢族」と表記される。シャン州のコーカン地区で自治を行い、独自の軍隊であるミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)を有している。今から六年前、二〇〇九年にも武力衝突があり、何万人もの人間が中共に流入する事件があった。今回はそれが再発したわけである。

今回の事件で最も注目されるのは、ミャンマー国軍側が、コーカン軍には中共の元軍人が参加していると主張していることであろう。二月二十四日の朝日によれば、二十一日のネピドーでの国防省による記者会見で、「ミャトゥンウー中将はコーカン武装組織には中国人の雇われ兵がいると主張した」という。

さらに二月二十四日の産経の記事では、矢板北京特派員がシナ側の動向を詳しく紹介していて、極めて参考になる。例えば、「コーカン族のリーダー、フォン・キャ・シン(彭家声)氏(85)が2月上旬、世界中の中国人と華僑に向けて『コーカン地区は古来の中華の領土。海外に捨てられた同胞を助けてほしい』と中国への復帰を示唆する声明を発表し、中国国内でコーカン族支援の機運が一気に高まった」とある。

また「インターネット上では、『コーカン地区は中国にとってのクリミアで、中国もロシアに見習って併合すべきだ』といった書き込みが多く寄せられている」とある。

この背景には矢板特派員を言うように、習近平の進める民族主義の高揚、すなわち「中華民族の復興」路線があるに違いない。この中華民族概念には、シナ人以外の中共の五十五の民族も含まれるのだが、コーカン族はシナ人そのものであるとされるのだから、連帯意識は一層強固なものになる。

中共側はミャンマーの主張を懸命に否定しているようである。しかし現在はそうであっても、今後中共はこのコーカン問題を積極的に利用してくるであろう。民政移管後のミャンマー現政権が、中共離れを加速して行けば、クリミアのような併合まではゆかないとしても、ミャンマーを脅迫・牽制する道具として、極めて有効であるからである。

そもそもコーカン族はシナ人だとしても、中共の少数民族と同一の民族は、ミャンマーだけでなく、ベトナム・ラオス・タイなど、東南アジア諸国にいくらでも存在する。それらの人々も中華民族であると認定すれば、中華民族の居住するところは中華の土地であるから、中共領土であると主張できるわけである。今後のシナ人による侵略は、この「中華民族の論理」によって遂行されるであろう。

しかしそれは東南アジアだけの話ではない。中華民族には「朝鮮族」がふくまれるのだから、朝鮮半島でも全く同じこと可能なのだ。しかし韓国・朝鮮人はこの簡単なカラクリを全く理解できていないようだ。

さらにこれは私が以前から指摘していることだが、日本人も「大和族」として中華民族に編入されれば、シナ人は日本侵略を正当化できるのである。

平和ボケした現在の日本人は、シナ人の東シナ海上における、我が国に対する侵略行動にすら極めて鈍感であるから、ミャンマーでの事件など、全く関心が無いのかもしれない。しかし平和が大切だと言うのなら、習近平が呼号する、中華民族イデオロギーの犯罪性を、もっと真面目に考えるべきである。

 

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sakai-book01.jpg ← 酒井信彦 著『虐日偽善に狂う朝日新聞―偏見と差別の朝日的思考と精神構造』(日新報道 2013/08出版)


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