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さらに国際化した「報道の自由」問題

『月刊日本』2016年6月号 羅針盤 2016年5月22日

最初に述べておく。先月号の拙稿のタイトル「高市発言・真の問題はメディアの自己規制だ」は、編集者によるものであり、私の本意は「高市発言批判は、支離滅裂だ」である。

ところで高市発言に関連した、報道の自由問題は、更に一段と国際化した。それには二つあり、一つは国連人権委員会の特別報告者の来日で、もう一つは「国境なき記者団」による「報道の自由度ランキング」の発表である。特別報告者デビット・ケイなる人物は、四月十一日来日して調査し、十九日に外国特派員協会で記者会見を行った。まさにそれに合わせるように、四月二十日にランキングが発表された。共に日本の報道の自由について危惧を表明するもので、朝日新聞は二十日朝刊と同夕刊で、個々に取り上げるだけでなく、二十四日には両方を合わせて、「メディアタイムズ」欄で、「報道の自由 海外から警鐘」「国連が調査 NGO『世界72位』」と、大喜びで取り上げている。

この記事には記者会見でケイが指摘した六つの点が一覧表になっている。放送法第4条の廃止、自民党の憲法草案への危惧、特定秘密保護法への恐れ、朝日植村記者への脅迫問題、沖縄の反基地運動の規制を懸念、などが挙げられており、これらは朝日新聞の主張そのままである。ただし記者クラブ制度への批判は、最後に目立たないように付け加えているし、ヘイトスピーチ法に対する反対は、ここには出てこない。

「ケイ氏に面会したフリージャーナリストによると、『政府の圧力に対して強い関心を抱いていた』という」から、始めからそのような予断を持った人物なのである。各種の人間に会って調査したというから、その調査対象となった人間は、堂々と名乗り出るべきである。そうすれば調査の偏向性が明らかになるだろう。

報道の自由度ランキングについては、パリの「国境なき記者団」本部に、青柳特派員が直接取材したらしい。それによると、「ランキングづくりにあたっては、各国の記者やブロガーらに『記者は何を恐れて自主規制するか』など87項目の質問に答えてもらい、指数化している」という。したがって日本人協力者がいるのだから、自己の見解に自身があるのなら、これも堂々と名乗り出るべきである。

この本部は、「多くのメディアが自主規制している。とりわけ首相に対してだ」と断言し、ランクが2010年の11位から下がり続け、「安倍政権となってからの順位低下が著しい」と言ったという。ところでこのランキングの変化については、この文章のすぐ上に、御丁寧にも02年から16年に至る経年変化が、折れ線グラフとして掲げられている。これをみると、野田政権の初期の22位から安倍政権の最初期の53位に急降下している。つまり野田政権の時代に著しく低下しているのであって、記事の文章と完全に矛盾している。これは記事の方が、安倍首相を貶めるために、意図的に歪曲したものと考える外ない。

またこのランキングに関しては、五月四日の天声人語が取り上げている。まず香港のメディアに対する、中共による徹底した言論弾圧を述べた上で次のように言う。「驚いたことに先日発表された国際調査では、そんな香港よりも、日本の方が『報道の自由』度が低いと判定された。世界180の国と地域を調べた国際NGO『国境なき記者団』が、香港を69位、日本を72位とした。(中略)西欧中心の見方ではないかと思うものの、72位という順位には記者として自責の念を抑えがたい。報道の将来を思うと、焦燥感がこみ上げる」。そして評判を落とした責任を自民党の政治家になすり付ける。しかしこの日本を香港より下位にした事実こそ、このランキングがいかに欺瞞に満ちたものであるか、何よりの証拠ではないか。

今回の国連と国際NPOを利用する手口は、まさにかの慰安婦問題の場合と、完全に一致している。慰安婦問題では、国連でクマラスワミ及びマクドゥーガル報告書を出させ、「日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷」を、アムネスティーが熱心に支援していた。それによりとんでもない冤罪が世界中に流布され、一旦傷つけられた日本民族の名誉と尊厳は、今に至るも容易に回復しない。今回の報道の自由の問題こそ、虐日日本人と虐日外国人との結託による、陰湿極まりない謀略である。彼らの精神の醜悪さは、例えようがない。ただ全く同じ手口でやられてしまっている、政府自民党のだらしなさも、相当なものだが。

 

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sakai-book01.jpg ← 酒井信彦 著『虐日偽善に狂う朝日新聞―偏見と差別の朝日的思考と精神構造』(日新報道 2013/08出版)


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