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与野党を圧倒した小池百合子の政治力

『月刊日本』2016年9月号 羅針盤 2016年8月30日

東京都知事選挙において、巨大な組織政党に個人が勝利してしまった。それも自民・公明の与党連合と、野党連合の二つに対してであり、しかも僅差の勝利ではなく、ぶっちぎりの大勝であった。すなわち、与党も野党も組織を誇る政党として、面目丸つぶれになってしまったのである。

与党の側は、自己の陣営から出馬宣言をした小池候補に対して、挨拶がなかったと言って推薦せず、やっと担ぎ出したのは真に地味な、個人的な人気はとても望めない、花のない人物に過ぎなかった。敗北に至ったマイナス要素としては、親族まで及ぶとした処罰問題やら、石原「大年増」発言などもあったかしれないが、基本的に候補者の選定で、大きく誤ったのである。

与党の側の自信のなさが顕著に表れていたのは、グリーンのイメージカラーを小池陣営に奪われてしまったために、選挙戦終盤になって、赤の鉢巻きを慌ててやりだしたことである。そんなことをしても、かえって逆効果というものである。

自民党支持者ですら、増田候補より小池候補のほうを支持した。敗戦後、石原都連会長は完敗を認めざるを得なかったわけである。そして都連幹部5人は総退陣をした。

野党の側は、与党に比較してもさらにいっそう惨めな敗北を喫した。その原因はやはり候補者選定にあった。その選定は難航を重ねて、一時は「不倫は文化」のオジサンまで登場する始末であった。すなわち、部外者として見る限り、野党陣営の真剣さ・真面目さが、丸で感じられなかった。結局、「究極の後出しジャンケン」として、「知名度抜群」のジャーナリストが、選択された。

選挙戦が始まってみると、その候補者は街頭演説を極力やらないし、さらに言っていることが実にいい加減であることが、明らかになってしまった。以前の女性スキャンダル問題も出てきたが、それよりなにより、要するにあまりにもタマが悪すぎたのである。

その人物を選定したと言われる、民進党の岡田代表は、投票前日に次期代表選への不出馬を宣言した。自分では否定したが、都知事選敗戦の責任逃れであることは、あまりにも明らかであった。したがって、身内である松原民進党都連会長ですら、岡田代表の行為を公然と批判した。

敗北の責任と言えば、参院選で一定の成果を挙げたとされる、野党統一方式を援用したのであるから、それを主導した共産党にも、多大な責任があるはずである。しかし共産党内部でその責任が問題になっているとは、寡聞にして聞こえてこない。

要するに、今回の都知事選において有力三候補と言っても、小池候補と他の候補とでは、まるで比較にならないくらい、レベルの差があったのだ。それは候補のみならず、政党の幹部と小池候補との、政治家としての能力の違いといってもよい。与党の場合党本部はともかく、都連の幹部の政治的判断は、お粗末なものだった。野党のほうは党本部そのものが、それ以上にきわめて無能だったのだ。

選挙戦というくらいだから、選挙は戦いであり、政治そのものが戦いであると言ってよい。その戦いにおいて、女性である小池候補のほうが、並み居る男の政党幹部より、政治家として、はるかに有能であったことになる。とくに精神力、すなわち気力・胆力において、雲泥の差があった。まさに男勝りの女性であるわけである。

さらに私が強く感ずるのは、今回の都知事選挙におけるきわめて大きな意義は、いわゆる「リベラル」なるものの、ばかばかしいほど劣悪な正体が、満天下に暴露されたことである。野党統一候補は、都政と関係ない安倍政権批判の言説を弄して、リベラルぶりを発揮していたが、その支離滅裂な言動に、あきれ返った人は多かったであろう。そもそも「知名度抜群」と言っても、近年はもっぱらコマーシャルで顔を売っているのが目についた。

さらに今回の選挙戦の敗者としては、マスコミがあると思う。選挙報道において、もっぱら主要三候補ばかりで、他の候補は完全に無視していたが、かなり抗議があったであろう、最後の段階でわずかに取り上げて、お茶を濁していた。またマスコミ主流は、いわゆる「リベラル」であり、したがって基本的に野党統一候補に甘かったが、その劣悪さをとても隠しきれるものではなかった。反対にマスコミは、小池候補によって巧妙に利用されて、心ならずも同候補の当選に、大いに貢献してしまったのである。

 

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sakai-book01.jpg ← 酒井信彦 著『虐日偽善に狂う朝日新聞―偏見と差別の朝日的思考と精神構造』(日新報道 2013/08出版)


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