Home > 寄稿 > | 月刊日本 > 中国に一方的に利用され、最大の敵国に育てた愚かな日本

中国に一方的に利用され、最大の敵国に育てた愚かな日本

『月刊日本』2022年1月号 酒井信彦の偽善主義を斬る   2021年12月22日

 12月1日、安倍元首相は台湾のシンクタンクが主催する、シンポジウムにオンライン参加した講演で、「台湾の有事は日本の有事であり、日米同盟の有事でもある」と、明確に発言した。2日の産経の記事によると、「台湾各紙は同日、電子版などで安倍氏の講演の詳細を大きく伝えた」とある。同日の朝日の記事の末尾には、「安倍氏の発言を受けて、中国外務省報道官は1日の定例会見で『強烈な不満と断固たる反対』を表明。『外交ルートを通じ厳正な申し入れをした』と、強く反発した」とあって、産経と朝日の報道姿勢の違いがよく出ている。

 中国が安倍氏の講演に対して、神経をとがらせたは、台湾をめぐる国際情勢の各種の変化が原因であることは言うまでもない。その代表的なものが、アメリカ議会議員による台湾訪問である。それについては、12月3日の朝日新聞朝刊が、総合面と国際面の両方で報道している。そこには訪台議員の中心人物である、マイク・タカノ民主党下院議員に対する、朝日新聞のインタビューが載っている。同氏による、民主党と共和党では訪問目的が違い、民主党は民主主義で共和党は軍事だとの説を紹介するが、そのすぐ後で、台湾に対するいじめや不公平な競争に反対する点では一致していると書かれているから、結局はおなじである。

 この記事には朝日らしく、中国側の言い分が比較的詳しく述べられている。その朝日でさえ、アメリカは台湾を軍事防衛することを明言しない曖昧戦略をとってきたが、「米国の台湾防衛は『公然の秘密』となっているのが実情だ」と書かざるを得ないのは注目すべきである。

 さらにアメリカは12月9日・10日に、オンライン形式による民主主義サミットを計画している。このサミットの具体的な成果については、本稿の作成時点では確認できないが、世界の110の国と地域が参加する予定で、台湾は招待されているが、中国・ロシアは招かれていないところがポイントである。

 中国はこのサミットに対応して、その開催の直前4日に「中国の民主」という白書を公表した。そこには民主主義は普遍的なものではなく、各国の状況に応じて多様なものであるとの主張がなされている。さらに翌5日には、白書「アメリカの民主状況」を出して、アメリカそのものが民主的でないことを指摘することによって反論としている。

 もっともアメリカが民主的でないことに関しては、私も大いに賛成である。ただしアメリカが民主的でないと私が考える最大の根拠は、アメリカがこの三十年間、中国の経済発展を援助し、さらに軍事的膨張のみならず、悲惨な人権状況に、目をつぶってきたからである。最近はその非情極まる状態に、やっと転換を始めたに過ぎない。本当ならば三十年以前にソ連が崩壊した時点で、次は中国を崩壊させなければならなかったのである。しかしアメリカはその本来の使命を忘れて、中東のテロ対策にのめりこんでいった。

 そのために中国は、現代におけるネオナチ国家に成長してしまった。以前から指摘したように、中国は赤色ファシズム国家であり、チベット・ウイグルなどを侵略し続けている侵略国家であり、大量虐殺であるジェノサイドを実践している国家であるから、三拍子そろったナチズム国家である、客観的にナチズム国家であるのに、世界がまるでその事実を認識していないだけである。中国はさらに世界中にコロナウイルスをばらまいて、バイオテロ国家の新たな「勲章」を獲得するに至った。

 中国の犯罪的な台頭に協力した民主主義国家は、アメリカばかりではない。ヨーロッパの中でも、特にドイツである。メルケル政権時代の十数年間で、同首相は12回も訪中した。日本に来たのはホンのわずかに過ぎない。経済的に密接な関係を築き、一帯一路、陸上のシルクロードの終点はドイツであった。メルケルの中国重視政策の失敗はそれだけではない。中国が台頭することによって、せっかく曲がりなりにも民主化していたロシアが、プーチンの時代に中国と蜜月関係になり、旧ソ連に先祖返りしてしまい、ヨーロッパで脅威となったのである。

 ところで我が日本はどうか。ドイツのように中国と密接な経済関係ができたが、日本は中国に一方的に利用されるだけで、ドイツのような自国の経済成長には結びつけられなかった。それだけでなく、日本領土の尖閣諸島に侵略宣言されるなど、最大の敵国を育ててしまったのであるから、最も愚かであったと言わなければならない。

 要するに民主主義国家がなすべきことは、台湾を独立国として、明確に承認することであり、全力を挙げて守り抜くことである。

 

sakai-book01.jpg ← 酒井信彦 著『虐日偽善に狂う朝日新聞―偏見と差別の朝日的思考と精神構造』(日新報道 2013/08出版)


Home > 寄稿 > | 月刊日本 > 中国に一方的に利用され、最大の敵国に育てた愚かな日本

検索
Nationalism_botをフォローしましょう

Twitterをお楽しみの方は、
Followしてください。

リンク集
フィード購読リンク
QRコード
 
QR_Code.jpg

このブログを携帯でご覧になれます

ページのトップに戻る