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【新聞に喝!】朝日は「宗教的な執念」、産経は「反日思想?」 あまりに不可解な寺社への液体テロ

【新聞に喝!】産経新聞 2017.4.30 10:24

朝日は「宗教的な執念」、産経は「反日思想?」 あまりに不可解な寺社への液体テロ
元東京大学史料編纂所教授・酒井信彦

http://www.sankei.com/column/news/170430/clm1704300007-n1.html

 

液体のようなものがまかれた跡が残る重文の橋殿=9日午後、京都市左京区の下鴨神社(北崎諒子撮影)

4月上旬、下鴨神社、金峯山寺、首里城、明治神宮などで、次々と日本を代表する文化財である神社や寺院の建築物に、わざわざ液体をかけて汚染する犯罪が頻発した。容疑者は同月13日に警視庁から公表され、14日の新聞で報道された。

中国人の中年の2人組の女で、朴今玉、朴善愛−と実名も明らかにされ、建造物損壊と器物損壊容疑で逮捕状が出された。しかし、その2人が国外に出た後だったという。

この容疑者が判明する以前の段階で、個別の事件の報道ではなく、一連の事件の背景を探った総括的な記事が、4月6日の産経、7日の朝日、8日の読売に出ている。各紙が背景を探る場合に参考としたのは、2年前に連続的に起きた同種の事件であり、詳しく言及している。

それは奈良県の東大寺や千葉県成田市の新勝寺などで連続的に、油のような液体が建物にまかれた事件である。この時も犯人は特定されて、千葉県警は香取神宮の件をもとに、建造物損壊容疑で、日本国籍で米国在住の50代の医師の男の逮捕状を取っているが、男は出国したままである。

これらの記事で注目されたのは、産経と朝日の犯人像に関する論調の相違であった。産経が「反日思想?」と反日の要素を重視しているのに対して、朝日は「『宗教的な執念』か」と宗教的要素に注目しているからである。

産経は、この男が韓国系牧師が創立した教会でキリスト教に出合い、自ら集会を開催していたと指摘しているが、朝日は「この医師は集会で、液体をまく行為を『清めだ』と主張していた」とあるだけで、いかなる宗教であるかをまったく説明していない。

これは産経の解釈の方が優れている。液体をまく行為が単なる宗教的な清めなら、日本の文化財ばかりを狙う必要はない。

この場合、韓国系のキリスト教の新興宗教であることは見逃せない点であろう。日本国籍の所有者であっても、いろいろな背景の人間がいるわけであり、歴史問題に関連した反日思想の所有者である可能性は十分に考えられる。

今回の事件の容疑者判明を報じた新聞各社の記事の扱いは、産経、読売、日経が大きく、朝日、毎日、東京はそれより地味だった。これは歴史問題が関係していることを暗に反映しているのではないのか。

2年前の事件も、今回の事件も、容疑者が特定されて逮捕状が出されていながら、国外に逃げられてしまったことは奇妙に共通している。

犯罪人の引き渡し条約で捕まえることはできないのか。また、逮捕状がでている日本国籍医師の実名を新聞が書かないのはなぜなのか。液体による文化財テロ事件には、あまりにも不可解な点が多い。

 


【プロフィル】酒井信彦

さかい・のぶひこ 昭和18年、川崎市生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京大学史料編纂所で『大日本史料』の編纂に従事。


 

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sakai-book01.jpg ← 酒井信彦 著『虐日偽善に狂う朝日新聞―偏見と差別の朝日的思考と精神構造』(日新報道 2013/08出版)


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