『月刊日本』2020年6月号 酒井信彦の偽善主義を斬る 2020年5月22日
コロナウイルス問題に関して、最近では感染の発生源が話題になっている。それが武漢の細菌研究所であるらしいことは、日本の保守系雑誌では、とっくに言及されていたが、ようやくアメリカが言い出したことで、朝日新聞も取り上げている。
朝日によると、「武漢ウイルス」と呼ぶのは、偏見・差別に当たるようだが、私は「武漢ウイルス」と呼ぶのは、まだまだ生温くて、正確には「習近平ウイルス」あるいは「近平ウイルス」と、明確に表現すべきであると考える。
欧米諸国の首脳は、今回のコロナウイルス問題を戦争と表現して、敵はコロナウイルスだと言っているが、それは正確ではない。戦争と言うより、残酷極まりない世界的に巨大なテロ、バイオテロであり、それを起こした犯罪人が明確に存在するのである。個人としての主犯は中国の習近平国家主席であり、従犯は国連の世界保健機構(WHO)のテドロス事務局長である。組織としてのレベルで言えば、主犯が中華人民共和国で、従犯がWHOである。今回のコロナウイルス問題が戦争だというのであれば、この個人と組織こそが、戦争犯罪者、つまり戦犯である。
では今回のコロナウイルス問題は、どうして世界的なバイオテロと言えるのだろうか。それは時間的な発生・拡大の経過をたどってみればよくわかるだろう。中国では武漢で最初の重態感染者が病院に担ぎこまれたのが、12月29日だとされているが、昨年の12月中にかなりの感染の拡大があったに違いない。それを懸命に隠蔽していたわけである。
重要なのは1月下旬の動向である。1月20日、人から人への感染を公式に認められる。WHOは22日と23日の二度にわたって、緊急事態宣言を見送った。23日、中国は武漢を突如として都市封鎖する。しかし封鎖直前に半数の500万人が脱出していた。ここで重要なことは、武漢封鎖が実行された後ですら、緊急事態宣言を見送ったことである。いかに中国に対する忖度・隷属が甚だしいのかよくわかるだろう。
テドロスは28日にわざわざ中国を訪問して習近平と対談して、中国の対応を称賛する。WHOは30日にようやく緊急事態宣言を出すが、しかもそれは極めてルーズなものであった。つまりテドロスは習近平にお許しを得てから、不充分な緊急事態宣言を、出すことが出来たのである。さらにパンデミック宣言を出したのは、習がやっと武漢に行った翌日、3月11日であった。
武漢封鎖の時点での、感染者数は約570人、死亡者17人が公式の発表数字である。そもそも人命の価値が驚くほど軽い中国で、この程度の死者で1千万都市の封鎖を断行するわけがない。武漢のみならず中国に広く蔓延していたに違いないのである。習近平は、それ以前に武漢どころか中国全土の封鎖をやらなければならなかったはずである。
しかし習近平は事態を重々承知しながら、春節休暇を利用した中国人観光客を世界中に送り出した。つまり武漢ウイルスを、世界中にばら撒いたわけである。したがって日本だけでも、1月の中国人の来日は、92万4800人にのぼり、問題の武漢からだけでも1万8千人が、やってきたのである。
つまり習近平のやったことは、世界の歴史にも希な巨大犯罪と言って、決して過言ではない。その意味で、習は、ヒットラー・スターリン・毛沢東にも劣らない、悪名を歴史に残すこととなった。
朝日新聞は、4月14・15・16日、三日にわたって「コロナ危機と世界 リーダーの不在」上・中・下の連載を掲載した。まことに朝日らしく、アメリカのトランプ大統領を徹底的に叩き、反対に習近平による明確な巨大犯罪行為には、全く目をつぶっている。この三回にわたる長文の記事の中で、最も重要なのは、「上」の最後の部分の次の一文であろう。
「新型ウイルスに振り回され、自国中心主義に走る米国。その姿を世界はどう見つめているかに中国は関心を寄せ、識者からは『第2次大戦後の世界をリードしてきた米国を軽視すべきではないが、感染が米国の世紀を終わらせたことは議論の余地はない』(中国人民大の王文教授)といった声も漏れる」。つまりアメリカの世紀は終わったといっているのであり、これこそがシナ人の願望であり本音である。それを朝日新聞は、読者に積極的に教育しようとするわけである。
いずれにしろ、今回のコロナウイルス問題において、習近平の中国は、バイオテロ兵器が、核兵器など及びもつかない、いかに強大な威力を発揮するかを、しっかりと学習し認識したことは間違いない。したがって今後その研究開発に、邁進するであろうことは確実である。
← 酒井信彦 著『虐日偽善に狂う朝日新聞―偏見と差別の朝日的思考と精神構造』(日新報道 2013/08出版)
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