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「悪の大帝国」を育てたアメリカ

『月刊日本』2020年7月号  酒井信彦の偽善主義を斬る   2020年6月22日

 今回のコロナウィルスによる世界的感染問題、つまりバイオハザードは、前回指摘したように、明らかな中国によるバイオテロなのであるが、現時点で見る限り、これは大成功を収めていると言える。

 5月18日にWHOの総会が行われたが、ここで中国は犯罪行為の責任追及を見事に免れた。そもそもこのバイオテロ問題の根源は、中国とWHOとの癒着・野合に存在しており、それは台湾の追放問題であった。しかしこの総会で台湾は招待されず、台湾招致は先送りになった。以前は、台湾もオブザーバー参加をしていた時期もあるが、台湾の政権の交代で再び追放したのである。これこそ健康問題に政治を強引に持ち込んだ、甚だしい人権侵害の横車である。

 もう一つ最重要な問題である、中国の初動体制の調査問題も、これこそ現在討議しなければならないのに、これまた先送りされた。この調査問題の先送りは、EUが主導して提出されたもので、EUの親中体質がよく表れている。日本政府もそれに乗ったようだが、習近平訪日にこだわった、安倍政権の親中派の影響によるものであろう。

 そして中国を積極的に批判する、トランプ政権のアメリカに、実に大きなダメージを与えることが出来たことが極めて重大である。。トランプ政権は経済問題において関税攻勢によって、中国を追いつめていた。そのアメリカに対して、経済的に弱体化させることが出来たのである。当然アメリカの軍事力も弱体化するから、そのどさくさ紛れに南シナ海・東シナ海への膨張を強めている。中国自身の軍事予算は減らすどころか、かえって増加させている。

 またアメリカではもともとトランプ大統領に批判的なメディアが、アメリカにおける感染爆発の責任を、もっぱら大統領の対処のまずさに求めて、国内が一致するどころか、国内の分断をあおっている。いわゆるリベラル・メディアは、バイオハザード問題において、トランプ叩きに励んでいるのである。このあたりの状況は日本も同じで、安倍政権の施策に、主流メディアは片っ端からイチャモンを付けて回っている。

 アメリカにおいて、この状況の中で発生したのが、ミネアポリスの黒人死亡事件である。これに対する抗議デモがあったという間に、アメリカ全土に拡大した。バイオテロによってアメリカだけで約11万人、世界では40万人が殺されているのに(5月8日時点)、一人の死亡でこの爆発的な拡大ぶりは、あまりにも不自然である。

 今回の急速な黒人の経済的窮乏は、直接的にはバイオハザードが原因であって、トランプ大統領の責任とは言えない、さらにその背景としての人種差別は、歴史的に根深いものであり、アメリカ全体の責任である。今回の抗議デモは、世界に拡大して、イギリスやフランスでも大規模デモが行われているが、デモ参加者は、イギリスやフランスが、かつて奴隷貿易に励んでいた歴史を、ほとんど知らないであろう。

 アメリカでも、イギリス・フランスでも、テレビの映像で見ると、デモ行進は完全な密集状態で行われているから、感染は確実に拡大するに違いない。つまりバイオテロの効果は、いっそう増進するわけである。日本でも6月7日に大阪で、密集のデモ行進をしていた様であるが、知事はこれを許可したのであろうか。アメリカの人種差別にこれだけ抗議するのなら、中国の凄まじい民族差別、民族絶滅政策に、ぜひとも抗議してもらいたいものである。

 世界全体、すなわち人類全体を苦しめ続けている、バイオテロの犯人は、国家としては中華人民共和国、個人としては習近平であることは言うまでもない。現実に存在する、赤色ファシズム国家、侵略国家、ジェノサイド国家という三拍子そろったナチズム国家が、バイオテロ国家と言う第四の「勲章」を獲得したわけである。ただし、バイオハザード・バイオテロの根源的な責任は、この旧ソ連などは及びもつかない「悪の大帝国」を育て上げた存在にある。それは明らかにアメリカである。

 ソ連の崩壊後、唯一の超大国になったアメリカは、中華人民共和国の、解体・消滅と言う最大の使命を果たさなかった。日本に対するジャパンバッシングによって、日本経済を叩き潰し、何万人もの自殺者を生み出したのとは全く逆に、あらゆる手段で中国経済を急成長させ、世界第二の経済大国にさせた。中国はその経済的成果を軍備に投入して、世界第二の軍事大国になりおおせた。

 この間のアメリカの歴代政権の過ちは、実に甚大である。アメリカはずっと以前から、真のリーダーシップを発揮してこなかった。遅まきながらトランプは、それを取り戻そうとしているだけである。

 

sakai-book01.jpg ← 酒井信彦 著『虐日偽善に狂う朝日新聞―偏見と差別の朝日的思考と精神構造』(日新報道 2013/08出版)


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