『月刊日本』2021年3月号 酒井信彦の偽善主義を斬る 2021年2月22日
1月末から、やっとWHOの調査団が武漢で調査を始めている。メディアはそれによって発生源が判明するかもしれないと報道しているが。判明するようなことは、絶対にあるはずがない。そこでメディアも中国側の対応次第だと、お茶を濁しているわけである。
そもそもコロナウイルス問題の、この一年間の経緯を客観的に振り返ってみれば、WHOは完璧に中国側の支配下に置かれてきたことは、あまりにも明らかである。去年の1月23日、中国は1000万人都市武漢を封鎖したが、この時同時にスイスのWHO本部では、緊急事態宣言を出すべきか否かを協議していた。しかし22日の会議でも翌23日の会議でも、意見はかなり対立していたが、結局両日とも見送られた。
原因は武漢封鎖が断行されていたにもかかわらず、中国側が強行に反対したからである。その理由は緊急事態宣言に基づいて、中国との人や物の移動を規制する勧告が行われると、中国の経済に大打撃を与え、中国の威信が傷つくからであった。なおこの時、委員会の委員長がフランス人であったので、習近平はフランスのマクロン大統領と電話会談して、配慮を求めた。結局、WHOによる緊急事態宣言は、1月30日になってやっと出されることになった。
ただし、ここで驚くべき犯罪的な宣言が出されたのである。それは宣言が出されたのは出されたのであるが、中国が恐れていた人と物の移動を規制する勧告は、なされたかったのである。つまり緊急事態宣言は、まったくの骨抜きだったのである。この直前1月28には、テドロスは習近平に呼びつけられて北京に行き、習と会談しているから、習から命令された結果であることは、疑問の余地がない。以上の事実は、朝日新聞が1か月後の去年2月23日に報じているが、雑誌『Hanada』4月号に載った遠藤誉論文によると、電話会談の相手はドイツのメルケル首相も含まれていた。
したがって、この宣言以後も中国からの春節観光客は、世界中に出て行って、コロナウイルスをまき散らした。WHOがパンディミック宣言を出したのは、さらにずっと後の3月11日であり、習近平が封鎖後初めて武漢を訪れた、3月10の翌日であったのは、中国をパンディミックの地としないための、あまりにも露骨なやり方であった。
以上の、コロナウイルス問題の経緯に関しては、私は本論で何度も取り上げて説明しておいた。大事なことは、何度でも繰り返して周知されるべきである。日本ではコロナウイルスによる災害を、「コロナ禍」と表現しているが、太陽のコロナが原因ではないから不適切である。実は今回のコロナウイルスによる災害を、明確に表現する言葉がある。それは「バイオハザード」である。英語の由来するカタカナ語であるが、「ロックダウン」や「ソーシャルディスタンス」など、無理やり使われている。バイオハザードなら、映画の題名として知られているし、遥かに適切である。「生物災害」としても良い。
ただし今回の事態は、バイオハザードの次元をはるかに超えている。それは自然の災害ではなく、意図的に生み出された災害、人災だからである。WHOの調査団が武漢に入って調査しているようだが、その病原が自然なものか、生物兵器として培養されたものかは、実はたいした問題ではない。巨大な被害を引き起こすと判明した段階で、それを生物兵器として使おうと考えた人間が存在したことが、根本問題なのである。それは習近平であり、だからこそ1月28日のテドロスへの命令になったわけである。
つまり今回のコロナウイルス問題は、バイオハザードではなく、明確なバイオテロであり、その張本人こそ習近平である。したがってコロナウイルスを、「中国ウイルス」「武漢ウイルス」と呼ぶのさえ、あまりにも生温くピント外れなのであり、正しくは「習近平ウイルス」、あるいは短く「近平ウイルス」と呼ぶべきものである。
しかし全世界で膨大な死者を出しているコロナウイルス問題の本質が、バイオテロであることは、世界的に驚くほど理解されていない。最大の犠牲者を出しているアメリカで、その責任をトランプに押しつけているのは、まったく愚かしく滑稽というしかない。またかなりの犠牲者を出している、ドイツとフランスで、メルケル首相もマクロン大統領も、習近平のバイオテロに協力・加担していたのである。アメリカのバイデン政権は、WHOに復帰するという。中国による国連利用を許し、中国のWHO支配を黙認してきた自らの過ちを反省し、国連の根本的改革に努めるべきだが、まったく期待できないだろう。
← 酒井信彦 著『虐日偽善に狂う朝日新聞―偏見と差別の朝日的思考と精神構造』(日新報道 2013/08出版)
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