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デタラメばかりの バイデン大統領の対中政策

『月刊日本』2021年6月号 酒井信彦の偽善主義を斬る   2021年5月22日

 バイデン大統領は、就任100日を迎える前日に、やっと4月28日に施政方針演説を行った。他の大統領の場合、とっくに行われていたものである。その評判は良好のようだが、アメリカメディアは大統領選のときから、明らかにバイデン支持であり、したがってその高評価は完全に予想できた。日本のメディアはアメリカメディアの受け売りであるから、日本での高評価も当然である。

 バイデン演説で最も注目されたのは、中国に対する厳しい姿勢を貫くという点であり、日本の保守派も安心しているようであるが、私にはとても楽観的に見てゆくことはできない。それはこの演説以前から、中国へ厳しい姿勢をとることは逆に、あたかもその代償のように、気候変動問題とコロナ問題の二つについては、中国と協調して行く方針が言明されていたからである。

 しかしこれは全く筋の通らないことである。中国の二酸化炭素の排出量は、世界全体の約三分一で、第二位のアメリカの二倍、日本の十倍である。コロナ問題については、単にウイルスの発生源であるだけでなく、それを意図的に世界中にばら撒いたのであるから、完全な人災を超越した、習近平によるテロ行為である。

 気候変動問題については、早くからケリー特使が中国に派遣されて、秘密で交渉が行われていた。そして4月22・23日、アメリカの主導によって、オンラインによるサミットが開催されて、我が菅首相が参加しただけでなく、習近平とプーチンもアメリカの招待によって参加した。排出制限については、日本は不利な約束をさせられたようだが、肝心な中国については、一向に明確な約束が説明されない、極めて怪しげなものであった。

 コロナ問題については、アメリカと中国との間で、いかなる交渉が行われているのか、気候変動問題以上に、一向に聞こえてこない。バイデン大統領が先の演説で、最も強調して自慢したのは、ワクチン接種による感染の抑え込みに成功を収めていることであった。しかしアメリカにおけるワクチン開発は、トランプ大統領の主導のもとに、急速に進められたものであり、トランプ大統領の功績を、丸々盗んだものであると言って良い。反トランプのアメリカメディアは、この点も全く無視するようである。

 そもそもコロナ問題が起きなければ、トランプ大統領が間違いなく再選されていたのである。民主党とアメリカメディアは、トランプ再選を阻むために、アメリカにおける大流行の責任を、トランプに押し付けるという作戦に出た。私は選挙を巡る例の陰謀論について、あまり興味がないが、コロナを利用した反トランプキャンペーンが、アメリカ主流メディアによって、大々的に行われたのは、間違いない事実である。

 当選がコロナのおかげだと言っても、中国との協力関係を打ち出したのは、あまりにも卑屈であり、世界の指導者を自任する資格は全くない。何しろアメリカだけでも、大戦の犠牲者を上回る死者を生み出しているのであり、全世界では5月上旬の時点で、犠牲者は320万人に達するのである。それだけではない、コロナと言うバイオテロによって、全世界で膨大な人々の生活を破壊され、それは現在でも大々的に、進行中なのである。

 しかしバイオテロの張本人である習近平は、世界に向かって一度も謝罪すらしたことがない。かえってそれを利用した、マスク外交やワクチン外交を展開する始末である。アメリカがコロナ問題でやらなければならいのは、中国と協調することではなく、習近平の犯罪を告発して糾弾することである。

 ところでこのところバイデンは何を血迷ったのか、4月月26日に声明を出して、急にトルコによるアルメニア大虐殺を、ジェノサイド言い出した。極めて愚かな行為と、言わざるを得ない。これで大喜びしたのは、中国に他ならない。トランプを継承した、バイデン政権最大の売り物である、ウイグルへのジェノサイド認定が、まったくインパクトを失い、骨抜きになってしまった。

 トルコによるアルメニア虐殺が、たとえ事実であったとしても、それは100年以上前の出来事であり、現在進行中の事実である、中国によるウイグルに対するジェノサイドと、まったく比較にならない。近代の世界には、実に数々のジェノサイドが存在している。それはナチスにとどまらず、ソ連のスターリンによる血の粛清、中国の文化大虐殺など、典型的なものである。バイデンはそれも虐殺認定しなければ、まったく辻褄が合わないことになる。アルメニア問題のジェノサイド認定によって、バイデン大統領のデタラメぶりは、ますますあきらかになった。

 

sakai-book01.jpg ← 酒井信彦 著『虐日偽善に狂う朝日新聞―偏見と差別の朝日的思考と精神構造』(日新報道 2013/08出版)


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