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国家権力に虐殺される大和魂

國民新聞 平成15年10月25日

 

2年前、大阪の池田小学校で、8人の児童を虐殺する事件を起こした宅間被告の死刑判決が、9月末、本人の控訴取り下げにより確定した。

 現在の日本では真に愚かなことに、マスコミに於いて「気違い」と言う言葉が禁止用語になっているらしいが、この事件こそ昔からの諺である「気違いに刃物」の、ものの見事な具体例であることは、余りにも明白であろう。

しかし、諺と言えば、もう1つ「ペンは剣より強し」と言うのもあることを忘れてはならない。これは武器より言論の方が強力だとの意味で、肯定的に使われるのが一般的だが、そうとばかりは言えないのではないか。

 試みに以上の2つの諺を重ね合わせるとどうなるだろうか。ペンは刃物より強いのだから、「気違いにペン」は、気違いに刃物よりもずっと危険であり恐ろしいということになる。では何がどのように恐ろしいのかと言えば、刃物は生物としての人間を殺すことが出来るだけだが、ペンによる言論は、つまり情報は人間の精神も殺すことが出来る点にあると考えるべきである。 

 言論の危険性については、放送が発達した現代では、さらに「気違いに電波」と言う表現も付け加える必要があるだろう。

 現在の日本では、戦前・戦中に精神主義を強調し過ぎた反動もあってか、精神的価値に極めて鈍感になっており、反対に戦争の反省を口実にした生命尊重主義が大流行である。

 しかし人間はただ生物として生きている訳ではない。人間は精神的動物なのであり、日本人は日本人としての自覚を持って生きなければ、生きている意味はない。ところが現在の我が国では、この至極当然なことが全くなおざりにされている。本紙の読者は既に御存じのように、それを端的に示しているのが、歴史教育の実態である。

 そこでは、日本をことさらに貶めた虐日教科書が使用され、児童生徒の日本人としての精神が、意図的に抹殺されているのである。つまり、現在の教科書は情報の毒が混入された毒入り教科書と言うべきものであり、これも殆ど使われない言葉になってしまったが、日本精神すなわち「大和魂」が、教育現場で日々虐殺されているのである。

 和歌山の毒入りカレー事件のように、学校給食に毒が入れられて死者が出たら、池田小事件と同様、大騒ぎになるだろう。しかし精神が殺されても、全く無自覚、無頓着なのである。まことに恐るべき現状と言わなければならない。

 こうなったのは、気違いすなわち狂者が言論界、学界のみならず、政界、官界の中枢にまで入り込み、甚大な影響を与えているからである。すなわち、「気違いに権力」のレベルまで既に達している訳である。

 ではこの狂者は、一体何に狂っているのか。それは端的に言って、偽善に狂っているのである。人間には色欲、金銭欲、権力欲など色々な欲望があるが、その中に自分を立派に見せたいと言う欲望がある。女性の美しくなりたいという外見的美的願望と似ているかもしれない。その欲望自体は向上心にも繋がるから一概に悪いと言えない。

 しかし自己を美化するために最も簡単な方法は、比較対象として劣位の他者を設定し、それを差別して優越意識を抱き、さらには迫害、攻撃することである。

 つまり、人間というのはあさましいもので、他人の悪口を言うと、自分が偉くなったように錯覚するのである。これは現在、歴史問題を利用してシナ人、朝鮮人が、日本に対して盛んにやっていることであり、とくに北朝鮮の対日態度に最も良く表れている。

 それと全く同じことを日本人偽善者達も、日本を対象にやっているにすぎない。ただし、対象が同胞であるために、彼ら自身がそう思い込んでいるだけでなく、外見的には反省的、良心的に見えてしまうのである。しかしこれは国家、民族の規模における、身内、同胞に対する精神的なドメスティック・バイオレンスだと考えれば、その本質を簡単に理解できる。

 私は昭和40年代の大学紛争を実体験したが、そこから得た教訓は2つある。1つは、人間は実に簡単に狂うものだということ。もう1つは、人間は自己の過ちを絶対に反省などしないということである。

 東大のごく普通の学生が林文学部長の監禁という犯罪行為にのめり込んでいったし、左翼勢力の先端分子は一般庶民を爆弾で虐殺して得意になっていた。大学紛争で大学の財産(国立大学なら国有財産)を大量に破壊した人間には、いまや高額所得者が沢山いるだろうに、弁償したという話は勿論、反省しているという話すら聞いたことがない。

 大学紛争だけではない。戦後日本における歴史的判断において、トンチンカンな錯誤を犯した人間は、数限り無く存在する。自己の犯した過ちを反省出来ないような人間が、日本人は過去に対する反省が足りないなどと、同胞を差別し迫害するのは、酷悪極まりない偽善であり、卑劣極まりない精神的テロ行為である。

現在、大和魂に対する虐殺行為は、朝日・岩波的偽善者のみならず、国家権力自身によって連綿と続けられている。

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