- 2015年8月 7日 10:47
- 時評
安保法制の大騒ぎで頻りに叫ばれたのは、「憲法違反」の四文字であった。しかし反対者の主張のように今度の安保法制が憲法に違反しているとしても、それは今に始まったことではない。つまり解釈改憲はずっと以前から、憲法を作ったアメリカ占領軍自身の手によって行われていた。
それを端的に示しているのが、例の第九条であって、その条文を文字通りに素直に理解すれば、軍事力の保持も軍事同盟の締結も、両方とも九条違反だということになる。つまり自衛隊も日米安保条約も、九条に違反しているのだし、憲法に違反しているわけである。
以前においては護憲派は頻りに、「非武装中立」と叫んでいた。つまり自衛隊を廃止して、日米安保条約を廃棄することである。しかし今はそんなことはまるで言わない。
安保法制に反対する国会デモでは、「九条を壊すな」というプラカードがあった。しかし九条はとっくに壊れているのである。「九条の会」なる巨大な組織があるらしい。彼らは九条を守れとばかり言っているが、自衛隊も日米安保も廃止して、本当の九条の理念に復帰せよと言わなければならないのだ。まるで筋が通っていない。
つまり憲法九条は、解釈改憲によって壊れているのであるが、そもそも九条がその上に打ち立てられた土台自体が崩壊しているのである。憲法前文に、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」とある。この考えに基づいて九条が作られているわけである。しかしこの認識が全く成り立たないことは、すでに事実によって証明されてしまった。
それは中共の存在である。そもそも中共は侵略国家なのでありとても信用できないのだが、さらに現在では日本の領土に対して、侵略宣言をするようになった。この前文は完璧に成立しなくなったのだ。この前文という土台の上に建てられた九条は、土台がなくなったのだから、単に改築されているだけでなく、完全に倒壊しているのである。
しかしそもそもこの「憲法前文」なるものがあまりにも異常である。「憲法違反」というなら、「憲法に違反」しているのではない。「憲法の方が」違反しているのである。では何に違反しているのか。それは国家・民族の根本的な生存権である。個人に正当防衛の権利があるように、国家・民族にも外敵から自らを防衛する根本的な権利がある。憲法と言えども単なる法律に過ぎない。そんなものより、もっともっと根本に国家・民族の生存権がある。それこそがこの世の中の真理である。
アメリカ占領軍が作った「米定憲法」を、「不磨の大典」と崇め奉る護憲論者の頭の悪さは、まさに底なしに犯罪的である。
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