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中共の原発推進は止まらない

『月刊日本』2011年7月号 羅針盤 2011年6月22日

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六月六日、ドイツ政府が二〇二〇年までに、十七基ある原発を全て閉鎖することを決定して、世界中から注目されている。これは我が国の福島原発の事故が原因だが、私がこの報道について一番いぶかしく思うのは、自国の原発を廃止したとしても、原発の危険から逃れることはできないと言う点が、全く言及されていないことである。旧ソ連のチェルノブイリ原発の事故からも明らかなように、原発事故の被害は国境を越えるのである。ドイツ人は、まだそこまで頭が回らないのかも知れないが、ドイツのすぐ隣は世界第二位の原発大国であるフランスが存在するのであり、したがってドイツ人は更に、フランスの原発廃止運動に乗り出さなければ、辻褄が合わない。

このことは、日本の場合も全く同じである。日本に一番近い国・韓国には二十一基の原発があるが、十五基は東海岸にあり日本海に面している。とくに古里原発は釜山から約三十キロの近距離にあるというから、我が国の対馬からも遠くない距離である。古里原発には五基あるが更に一基建造中であり、韓国全体としては、二〇二四年までに三十四基として、総発電量の半分を賄う計画だという。(朝日四月十八日)
更に注目されるのは、中共の原発である。それは中共が現在の世界で、原発の建造に最も熱心な国だからである。中共で稼動中の原発は現在十三基であるが、その二倍以上に当たる二十八基が建設中である。そして二〇二〇年までに、約六十基にまで増設する計画であるという。二〇二五年までの、世界の原発の新規需要予測(朝日四月十五日)に拠れば、中共が六十三・五兆円、欧州が二十六兆円、ロシア十七・九兆円、インド十六・六兆円、アメリカ十五・五兆円、中東十一・六兆円、東南アジア八・八兆円、日本七・七兆円であるから、中共の原発建造計画が、いかに飛びぬけて巨大なものであるか分かるだろう。しかも中共は、更に二億キロワットを原発で賄う構想を有していて、それは一基一〇〇万キロワットで計算すると二〇〇基にもなるから、現在最大の原発大国であるアメリカ一〇四基の、実に2倍の規模となる。
では中共の原発建造計画は、福島原発の事故の後、変更があったのであろうか。福島原発の事故が発生した直後の三月十六日に、中共政府は新規の原発建造計画の審査と承認を、一時的に凍結する措置をとった。朝日新聞は四月四日の「ワールドけいざい」欄で、「中国原発 急ブレーキ」と題する大型記事(吉岡桂子記者)を掲載して、これを針小棒大に報じている。しかし現実には急ブレーキなど全く掛からなかった。四月十四日に中共の三亞で開催されたBRICS首脳会議の共同声明で、ロシア・インドなどと共に、中共は今後の原発推進を明確に宣言した。そして五月中旬に至って、「中国原子力産業協会」の複数の幹部が相次いで、二〇二〇年までに原子力発電能力を、現在の七倍、七千万キロワットにする当初計画に変更がないことを明らかにしたのである。さらに六月中旬には、福島の事故以後としては世界で最初に、深圳の新規原発が稼動することも明らかになった。なお朝日新聞は、世界の反原発の動きについては極めて熱心に報道するが、中共による原発推進の動きについては、驚くほど遠慮がちである。ここに朝日新聞の隷中体質が、実に良く表れている。
つまり中共が福島の事故にも拘わらず、今後も原発推進路線を驀進することは間違いない。私は本誌四月号の「中共に掠め取られる日本の技術」で、日本の原発技術が中共に巻き上げられることを予言しておいたが、それは今回の大震災で一挙に早まったようである。福島の事故のために、今後の日本の原子力産業は、停滞・縮小せざるを得ないだろう。そうすれば東芝・日立・三菱と三社もある原子力企業の一つくらいは、中共によって買収されるかも知れない。そうでなくとも、職にあぶれた原発技術者が大量に生み出され、現在既に色々の分野で見られるように、中共や韓国から高給によって雇われることになるだろう。
すなわち中共もそして韓国も、日本とは異なって原子力産業が隆盛を極めることになる。中共や韓国に原子力発電所が続々と建設されるだけでなく、この両国は原子力発電所の輸出にも積極的に取り組むに違いない。韓国は既にその輸出に成功しているし、高速鉄道の輸出を目論む中共が原発輸出を考えないわけがない。とくに中共は国策として安価な原発を大量に製造して、世界中の後進国に売りまくるであろう。エネルギーによって、それらの国を支配するためである。かくしてドイツによる原発全廃など関係なく、世界中に原発は満ち溢れることになる。
もちろん日本に直接的な影響を与えるのは、中共そして韓国の原発である。両国に多くの原発が建造されたら、「絶対安全」はありえないのだから、必ず事故は発生するだろう。それも今回の福島の事故を遥かに凌駕する、重大事故が発生することは、極めて高い確率で「想定」できる。そうなれば中共の黄砂が日本に来襲するように、放射能も偏西風に乗って日本列島に降り積もるに違いない。要するに、原発の危険性を日本国内の視野だけで論じていても、どう仕様もないのである。

 

このことは、日本の場合も全く同じである。日本に一番近い国・韓国には二十一基の原発があるが、十五基は東海岸にあり日本海に面している。とくに古里原発は釜山から約三十キロの近距離にあるというから、我が国の対馬からも遠くない距離である。古里原発には五基あるが更に一基建造中であり、韓国全体としては、二〇二四年までに三十四基として、総発電量の半分を賄う計画だという。(朝日四月十八日)

更に注目されるのは、中共の原発である。それは中共が現在の世界で、原発の建造に最も熱心な国だからである。中共で稼動中の原発は現在十三基であるが、その二倍以上に当たる二十八基が建設中である。そして二〇二〇年までに、約六十基にまで増設する計画であるという。二〇二五年までの、世界の原発の新規需要予測(朝日四月十五日)に拠れば、中共が六十三・五兆円、欧州が二十六兆円、ロシア十七・九兆円、インド十六・六兆円、アメリカ十五・五兆円、中東十一・六兆円、東南アジア八・八兆円、日本七・七兆円であるから、中共の原発建造計画が、いかに飛びぬけて巨大なものであるか分かるだろう。しかも中共は、更に二億キロワットを原発で賄う構想を有していて、それは一基一〇〇万キロワットで計算すると二〇〇基にもなるから、現在最大の原発大国であるアメリカ一〇四基の、実に2倍の規模となる。

では中共の原発建造計画は、福島原発の事故の後、変更があったのであろうか。福島原発の事故が発生した直後の三月十六日に、中共政府は新規の原発建造計画の審査と承認を、一時的に凍結する措置をとった。朝日新聞は四月四日の「ワールドけいざい」欄で、「中国原発 急ブレーキ」と題する大型記事(吉岡桂子記者)を掲載して、これを針小棒大に報じている。しかし現実には急ブレーキなど全く掛からなかった。四月十四日に中共の三亞で開催されたBRICS首脳会議の共同声明で、ロシア・インドなどと共に、中共は今後の原発推進を明確に宣言した。そして五月中旬に至って、「中国原子力産業協会」の複数の幹部が相次いで、二〇二〇年までに原子力発電能力を、現在の七倍、七千万キロワットにする当初計画に変更がないことを明らかにしたのである。さらに六月中旬には、福島の事故以後としては世界で最初に、深圳の新規原発が稼動することも明らかになった。なお朝日新聞は、世界の反原発の動きについては極めて熱心に報道するが、中共による原発推進の動きについては、驚くほど遠慮がちである。ここに朝日新聞の隷中体質が、実に良く表れている。

つまり中共が福島の事故にも拘わらず、今後も原発推進路線を驀進することは間違いない。私は本誌四月号の「中共に掠め取られる日本の技術」で、日本の原発技術が中共に巻き上げられることを予言しておいたが、それは今回の大震災で一挙に早まったようである。福島の事故のために、今後の日本の原子力産業は、停滞・縮小せざるを得ないだろう。そうすれば東芝・日立・三菱と三社もある原子力企業の一つくらいは、中共によって買収されるかも知れない。そうでなくとも、職にあぶれた原発技術者が大量に生み出され、現在既に色々の分野で見られるように、中共や韓国から高給によって雇われることになるだろう。

すなわち中共もそして韓国も、日本とは異なって原子力産業が隆盛を極めることになる。中共や韓国に原子力発電所が続々と建設されるだけでなく、この両国は原子力発電所の輸出にも積極的に取り組むに違いない。韓国は既にその輸出に成功しているし、高速鉄道の輸出を目論む中共が原発輸出を考えないわけがない。とくに中共は国策として安価な原発を大量に製造して、世界中の後進国に売りまくるであろう。エネルギーによって、それらの国を支配するためである。かくしてドイツによる原発全廃など関係なく、世界中に原発は満ち溢れることになる。

もちろん日本に直接的な影響を与えるのは、中共そして韓国の原発である。両国に多くの原発が建造されたら、「絶対安全」はありえないのだから、必ず事故は発生するだろう。それも今回の福島の事故を遥かに凌駕する、重大事故が発生することは、極めて高い確率で「想定」できる。そうなれば中共の黄砂が日本に来襲するように、放射能も偏西風に乗って日本列島に降り積もるに違いない。要するに、原発の危険性を日本国内の視野だけで論じていても、どう仕様もないのである。

 

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