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トンデモ国家・北朝鮮を存続させている国際構造

  • Posted by: 中の人
  • 2011年12月23日 00:10
  • 時評
111223.jpg 北朝鮮の金正日総書記が、12月17日に急死し、それが19日に公表された。たちまち日本でも大騒ぎになって、マスコミは新聞もテレビも大報道に明け暮れている。しかし私には、それほどの大事件とも思われない。そもそも金正日は、国民の命を軽んずる我がまま男かも知れないが、強力な独裁者なのであろうか。その父親・金日成ですら、本物の独裁者、ヒトラー・スターリン・毛沢東などには、遥かに及ばない存在であったのだから、金正日などさしたる独裁者ではないであろう。

 現在の世界において最も不幸なのは、亡国の運命に陥っているチベット人やウイグル人であるが、自前の国家を持ちながら悲惨な状況にあるのが、北朝鮮の国民である。その国家が、大量の餓死者が発生する「この世の地獄」国家であるからである。そしてこのようなトンデモ国家が出現するに当たっては、諸外国が関係した、それなりの歴史的な経緯があることを、知っておかなければならない。
 北朝鮮は、第二次大戦後の朝鮮半島の分断によって成立した。すなわちソ連が占領した所が北朝鮮に、アメリカが占領した所が韓国になったわけである。ちょうどヨーロッパにおける、東西ドイツの分断と同じである。この朝鮮半島の分断の責任を日本の統治に求める、驚くべき歴史解釈をする日本人がいるが、ソ連が不可侵条約を破って参戦しなければ、分断など起こりえなかったのであり、したがってソ連に参戦を求めたアメリカにも相応の責任がある。
 そして韓国・北朝鮮両国が成立して間もなく、朝鮮戦争が勃発した。北朝鮮が韓国を併合しようと、軍事行動を起こしたのである。北朝鮮軍の快進撃によって、韓国は消滅の危機に直面したが、アメリカを中心とする国連軍が盛り返し、今度は逆に北朝鮮が追い詰められて、消滅寸前となる。このとき国境を越えて、中共軍が参戦して、結局以前とほぼ同様な分断状態に戻った。つまりこの時、中共軍が参戦していなかったら、北朝鮮は消滅しており、今日の北朝鮮問題は存在していなかったことになる。その意味で中共の責任は巨大である。
 朝鮮戦争に関しては、忘れられがちな事実であるが、今でも休戦状態が続いているのであり、完全に終結しているわけではない。またこの戦争によって、朝鮮民族同士が殺し合い、南北あわせて400万人と言う多大な死者を出した。これは当時の朝鮮人の人口3000万人の一割を超える莫大な犠牲であり、朝鮮民族の歴史上、最大の悲劇である。朝鮮人が、日本の統治時代を執拗に追及し続けるのは、この悲劇から目をそらせる意味もあるのであろう。
 そして今から20年前、ソ連の衛星国であった東欧諸国が民主化され、ソ連自体も崩壊して15の国家に分裂し、共産主義の支配が終焉した。それに伴って東アジアにおけるソ連の衛星国であったモンゴルは、民主化を遂げた。しかし同じ東アジアでも、冷戦体制の崩壊と言いながら、北朝鮮は共産主義支配が続き民主化できなかった。それは北朝鮮が中共の属国であって、中共の共産主義支配が続いていたからである。したがって北朝鮮という「この世地獄」国家が存続している、最大の責任は中共にあることは、極めて明らかである。
 朝鮮戦争で北朝鮮がまさに滅亡しようとしたとき、それを救った命の恩人は中共であるから、北朝鮮としては中共に頭が挙がらないのは当然である。以後も、北朝鮮に対してエネルギーや食料を供給しているのだから、生殺与奪の権を握っていると言って間違いない。したがって、北朝鮮の核兵器開発は、基本的に日本などの外国に対する脅迫の手段であると言わなければならない。真に独自の核兵器の保有など、ご主人様の中共が容認するはずがないからである。
 ソ連の崩壊後、北朝鮮の庇護者である中共の存続を容認し、しかもその急速な経済成長に協力したのはアメリカである。つまりアメリカもまた、北朝鮮の延命に手を貸していることになる。北朝鮮を巡る「六者協議」は、その米中癒着の見事な産物と言うことができる。
 要するに、北朝鮮に対する中共を主役とする、国際管理の体制は既に出来上がっているわけである。したがって「独裁者」金正日が死亡したところで、基本的構造が揺らぐはずもない。現在しきりに心配されている、政権崩壊による日本への大量難民の漂着といった事態は、起こらないに違いない。
 ただし北朝鮮もこのままではどうしようもないのであるから、変化させて行かざるを得ない。変化の方向は、「中共化」と言うことになるであろう。それは共産主義政権のままで、経済を一定程度自由化することである。すでに金正日の時代にその方向への動きが見られていた。つまり今後、核の放棄を最大の切り札として、アメリカ・日本などと正式な国交を成立させ、経済開放が促進されると考えられる。日本は、植民地支配の償いとして、巨額な経済援助を提供することになるだろう。
 そればかりではない。その時、拉致被害者は帰って来るかもしれないが、日本人妻とその親類縁者の多数が帰国するだろう。更には不法難民ならぬ合法移民が、大量にやってくるであろう。つまり、北朝鮮問題が解決しからと言って、我が国にとって喜んでいられない状態になることは、充分に覚悟しておかなければならない。目先のことにガタガタ騒でいる暇があったら、キチンと歴史を回顧して、今後の行く末を見極めることが大切である。

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