- 2013年2月28日 20:10
- 時評
2月12日のIOC理事会で、2020年のオリンピックから、日本が大いに得意なレスリングが外されたと言うので、このところ大きな騒ぎになっている。除外対象の種目は、レスリング・近代五種・ホッケー・カヌー・テコンドーの五競技であったが、レスリングが指定されたのである。レスリングの除外は、まだ最終決定ではないらしいが、注目されるのは韓国の、国際スポーツの世界における政治力である。
15日の朝日新聞によると、理事の一人は、世界テコンドー連盟の倫理委員長であり、1月には大韓体育会長が理事の多いヨーロッパを、残留を支持するようにロビー活動をした。また「韓国紙・文化日報は、投票した14理事のうち3人が韓国で名誉博士号を得るなど『半分が親韓派』と報じた」という。
同じようなことは何年も前に在った。それは日本開催が決定していた、2002年のサッカー・ワールドカップの開催地に、後から韓国が強引に割り込んできて、共同開催にしてしまったことである。その裏ではかなり実弾、すなわち金銭が飛び交ったことであろうが、韓国がこのような国際スポーツの場において、政治力が日本よりはるかに長けているのは、以前からすでに明らかなことである。
それはスポーツだけでなく、純粋な国際政治の現場においても同じである。実際に、国際連合の事務総長には、2007年から韓国人のパン・ギムン(潘基文)が成っており、一時は疑問視された二期目も継続している。このような韓国人の政治能力・外交能力は、シナとの冊封関係と言う隷属的な外交関係や、権謀術数に明け暮れた、王朝の宮廷政治の中で、養われたものかもしれない。
この国際的な政治力は、同時に対外宣伝力でもある。近年、日本はこの韓国の対外宣伝力に、一方的にやられ続けている。例えば、日本海の名称を韓国中心の「東海」に改称させようとして、執拗に運動している。その理屈自体が完璧に非論理的であるにも拘わらず、採用する国も出てきているようである。なぜ論理的に破産しているかと言えば、東海とは韓国から見た名称であって、これはあくまでも「東の方の海」という普通名詞であり、世界の人々が使う、地名としての固有名詞になっていないからである。英語訳すれば、「イースト・シー」であって、こんなことをしていたら、世界中に東海がいくらでもできてしまい、とても区別がつかなくなる。
こんな簡単なことが分からないのが韓国人であるが、それが多少とはいえ通用してしまうのは、今の世界が、特に欧米先進国と言われている国々のものの考え方が、かなりいい加減になっているからである。この点、日本人は欧米先進国を信じすぎる傾向があるから、十分注意しなければならない。
この欧米先進国もコロッと騙されている、韓国人のウソと言ったら、それは何と言っても慰安婦問題である。六年前の2007年、先の安倍内閣の時、首相の訪米に合わせるように米国議会に慰安婦決議が出されて、結局採択された。また同年にはオランダ・カナダ・EUの議会でも同様な慰安婦決議が行われた。そしてその後も、慰安婦関係では韓国の外交攻勢は、ますますエスカレートするばかりである。
また韓国では、歴史問題について研究し、対外発信をする国家組織を、2006年に作っている。この東北アジア歴史財団は、はじめ中共からの歴史攻勢に対抗するために作られたものであるが、現在は日本に対する攻撃を行う組織となっている。中共は高句麗や渤海を「中国」の地方政権とする歴史研究を「東北工程」として行った。韓国はこの二つの王朝とも、朝鮮人の王朝であるとしているから、脅威を感じてこれに反撃するために設けたものであるが、今や対日の方が中心であり、竹島問題で「独島研究所」という付属研究所を持ち、「東海」名称の普及活動も行っている。なお中共自身では、古くからこの種のシンクタンクとして、中国社会科学院がある。
日本が決定的に欠けているのは、この中共・韓国の歴史を利用した、卑劣な攻撃に対抗する組織が全くないことである。もう一つは、そこで研究されたものを、対外に発信する能力である。その点においても、日本の外務省の怠惰と無能は、まさに亡国的である。尖閣諸島をめぐる、日本と中共の紛争においては、中共の報道官が日本のニュースに表れて、中共の一方的な主張を日本の国民に、ひたすら垂れ流す。それによって日本国民は、直接中共政府によって洗脳教育されているわけである。
積年にわたる外務省の怠惰・無能は、それを許してきた自民党政治の責任である。さらに言えば、それを傍観してきた保守運動の責任でもある。安倍首相がやらなければならないのは、遅まきながらではあるが、外務省に積極的に日本の主張を発信さることと、中共や韓国にならって、歴史問題のシンクタンクを設立することである。
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