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最も世界秩序に反する中国

『月刊日本』2015年12月号 羅針盤 2015年11月22日

劉傑著『中国人の歴史観』なる本(文春新書、一九九九年)の冒頭近くに、以下の記述がある。

「アヘン戦争以来の百五十年間、中国は『弱国』の立場を甘受してきた。中国は第二次世界大戦の戦勝国の一員となったものの、『弱国』としての立場は変わらなかった。そればかりではない。『弱国意識』がそのまま『被害者意識』につながった。八〇年代以来、歴史認識をめぐって煩雑に見られた日本への批判は、このような意識と無関係ではない。しかも、中国の指導層は、今日でもこの意識から抜け出せないでいる。なにしろ、百五十年間の歴史のなかで形成された意識である。これを変えることは、短時間で実現できるほど簡単なものではない。」

これはシナ人が、ことあるごとに主張してきた理屈である。しかしごく最近、これが極めて欺瞞に満ちたものであることが、明らかになってしまった。それは習近平の十月初旬における英国公式訪問である。習近平は、アヘン戦を仕掛けて「中国」の屈辱の歴史の幕を開いた、当のイギリスに乗り込みながら、イギリスによる侵略の歴史を少しも、批判・糾弾しなかったのである。

ではこの時歴史問題を持ち出さなかったかと言えば、そうではない。イギリスにおいても、日本に対する歴史批判を展開したのである。産経新聞(十月二十二日)によれば、「中国の指導者として初めて行った英議会の演説に続き、公式晩餐会のあいさつでも第二次大戦における『日本の残虐性』に言及した」という。

日本に対する歴史批判は、九月の訪米の時にも行われた。九月二十九日の朝日によると、「国連総会に初めて出席している中国の習近平国家主席は28日午前(日本時間28日夜)、一般討論演説をし、『反ファシズム戦争』勝利の意義を強調したうえで『歴史を記憶することは恨みのためではない』と述べた。」「習氏は第2次大戦の連合国側の勝利が現在の世界秩序の根底にあるとして、戦勝国としての中国の立場を強調。海洋問題などを巡る国際社会の懸念を念頭に、『中国は永遠に覇権を唱えない』とし、相互利益を目指す外交理念として、『新型国際関係』を提唱した」とある。

これは真に歪曲した歴史解釈であると言わざるを得ない。全くのデタラメをぬけぬけと言っている。そもそも第二次大戦が「反ファシズム戦争」であるということ自体が、大いなる間違いである。ナチスドイツはファシズムとしても、その打倒に大きく貢献したソ連は、共産主義という赤色ファシズム国家であった。しかも大戦の初期には、ナチスドイツと結託して、東ヨーロッパを侵略して、ヴェルサイユ体制を否定した。それはヒトラーが目指したことと、何ら変わりがない。しかもソ連の占領地に共産主義政権を成立させ、赤色ファシズム国家をさらに増加させた。ヨーロッパにおいては、第二次大戦によって、歴史の進歩はかえって後退したのである。

だから第二次大戦終結から間もなく東西対立が始まり、いわゆる冷戦体制になったのである。そこに存在した歴史の逆流がようやく解消されたのが、一九九〇年を中心とする、東欧諸国の民主化と、ソ連の解体に伴う民族の独立であった。

したがって第二次世界大戦の歴史的な意義は、アジアの戦争においてこそ存在した。それは民族自決・民族独立の原則が広く世界に及ぼされ、五〇〇年に渡る西欧帝国主義勢力による、アジア・アフリカの植民地支配体制が崩壊したことである。それによって世界の独立国の数は、一挙に増加した。これこそが「現在の世界秩序の根底」に他ならない。

この現在の世界秩序に最も違反している国こそ、習近平が国家元首である中華人民共和国であるのは、まことにグロテスクな皮肉である。中共はいまだに共産主義という、国民の人権を侵害し続けている赤色ファシズム国家である。さらに第二次大戦後の民族独立の時代の真只中で、南モンゴル・東トルキスタン・チベットを軍事侵略して成立した侵略国家である。そのファシズム国家、侵略国家の上に更にジェノサイド国家という性格まである。つまり現在に生きるナチズム国家・悪の帝国の国家元首が、国連でこのような演説することこそ、現代における最大の茶番劇だと言わざるを得ない。

三年半ぶりに開催された、日中韓三国の首脳会談では、「歴史を直視して未来に向かう」と共同宣言で謳われたようだが、不条理極まる現実を直視しないことこそ、現代世界の腐敗・堕落の根源である。

 

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sakai-book01.jpg ← 酒井信彦 著『虐日偽善に狂う朝日新聞―偏見と差別の朝日的思考と精神構造』(日新報道 2013/08出版)


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