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朝日こそ最大の公害企業だ

『月刊日本』2009年6月号 羅針盤

 今からちょうど二十年前、一九八九年・平成元年はいろいろ重要な出来事のあった年だった。年初に昭和天皇の崩御があり、六月に天安門事件があり、後半には東ヨーロッパの共産主義体制が崩壊して、多くの国の民主化が実現した。ところでその年の四月二十日に何が起きたか、覚えている人はどれくらいいるだろうか。

  それは朝日新聞のサンゴ事件である。当日の夕刊一面に大きな写真入りで、「サンゴ汚したK・Yってだれだ」という記事が掲載された。沖縄西表島の崎山湾の巨大サンゴを損傷して、「K・Y」というイニシアルが掘り込まれていたというのである。写真はイニシアルを、クローズアップしていた。その記事の末尾は、次のようにセンセーショナルに結ばれていた。「日本人は、落書きにかけては今や世界に冠たる民族かもしれない。だけどこれは、将来の人たちが見たら、80年代日本人の記念碑になるに違いない。100年単位で育ってきたものを、瞬時に傷つけて恥じない、精神の貧しさの、すさんだ心の......。 にしても、一体『K・Y』ってだれだ」
 地元では記事掲載当初から、サンゴ損傷は取材者自身によるものではないかと疑われていた。その疑問に対してようやく5月16日に成って、朝日は回答する。それはカメラマンが、もとあったイニシアルを、撮影効果を上げるためにさらに拡大したものであって、取材の行き過ぎだと説明した。ところがその後すぐ、5月20日には、傷は元から存在したものを拡大したのではなく、最初からの偽造であったことを、告白するのである。すなわち、完璧な捏造報道であり、これ以上の無い虚報であった。そして爾後の処理として、張本人である本田善郎本社写真部員を退社処分とし、その他関係者も処罰した。カメラマン一人に責任を押し付けた、明らかなトカゲの尻尾切である。
 しかし殆ど注目されていないが、このサンゴ事件は、カメラマン個人の犯罪というよりも、朝日新聞という報道機関の、根本的体質から生じたものなのである。それは例の記事の末尾の文章に明確に表れている。この文章の最大のポイントは、サンゴ損傷を特定の不心得ものの所業ではなく、日本人全体の問題にしていることである。それによって日本全体を悪者として貶め、反対に自らを良心的な糾弾者として、正義の立場に祭り上げることができるのである。このような、同胞である日本人を貶めることによって成立する、極度に偽善的な思考方法を、私は「虐日偽善主義」と呼ぶことにしている。これこそが朝日新聞社の、根本的体質、基本的な編集方針・経営方針なのである。本田写真部員は、それを良く理解していたからこそ、完全な捏造までして、会社からの期待に応えたのである。したがって同人こそ、実は朝日社員の鑑なのである。
 つまり朝日新聞の記事は、すべて基本的にサンゴ事件と同一の発想・方針のもとに製作されているのである。サンゴ事件は、そのカラクリが余りにも単純かつ杜撰だったために、すぐにバレテしまっただけなのである。しかし殆どの場合は、朝日製作の虚報は大手を振って罷り通り、社会に害毒を流し続けている。それは南京問題や慰安婦問題など、一連の歴史問題の報道を考えてみれば、すぐに分かるだろ。したがって朝日こそ、最大の公害企業だと言わなければならない。
 代表的な公害である水俣病の発生源であるチッソは、有用な農薬を生産する副産物として有害物質を垂れ流したのであるが、朝日の場合はさらにその上を行っていて、主たる生産物そのものが有害情報なのであるから、紛れも無く公害企業のチャンピオンなのである。現在の日本は、食品の安全性については、極めて敏感になっている。しかし情報の安全性については、反対に極めえて鈍感であると言わなければならない。有毒食物を食べれば体を悪くするように、有毒情報を摂取すれば頭が悪くなる。悪くなるどころか、現状では脳死状態といっても良いだろう。
 サンゴ事件は、その朝日の犯罪的本質が、誰にでも分かるように簡単明瞭に暴露された、真に記念的事件であった。つまり朝日にとって最も触れられたくない事件であった。だから朝日は、この重大事件を殆ど回顧したことがない。最近週刊新潮による虚報が問題になった、87年の阪神支局襲撃事件については、毎年律儀に回顧するのに、全く露骨な差別待遇である。例の記事では、損傷サンゴを日本人の精神の貧しさとすさんだ心の記念碑だと、日本を徹底的に貶めたのだが、損傷サンゴとその記事は、朝日の精神の貧しさ・すさんだ心の、ものの見事な記念碑であったのだ。より正確に言えば、それらを遥かに凌駕する、精神の邪悪さ・卑劣さを証明する巨大な金字塔なのだ。
 朝日新聞は、戦後日本は慰安婦など戦争被害者の救済を怠ってきたとして、それを戦後犯罪と称して糾弾するが、戦争を煽りに煽った朝日こそ、戦後は一転して日本を貶め続けるという、巨大なる戦後犯罪を犯しているのである。占領中はアメリカ占領軍の手先となり、現在のご主人様は中共のシナ人政権である。日本の過去の侵略を糾弾してやまない朝日が、現実の侵略国家・中共の最も忠実な下僕になっているのが、何よりの証拠である。つまり朝日新聞の大本営は、北京にあるのであり、私はそれを朝日の「北京大本営報道」と呼ぶことにしている。要するに、朝日は日本の歴史上最悪の犯罪組織だといっても、決して過言ではない。
 すなわち朝日新聞社は日本民族の裏切り者であり、民族の屑である。朝日の存在こそ、安全保障の反対の危険保障である。その朝日が一流紙として、存続し続けているのは、日本人としての最大の恥辱である。それにしても、この巨悪に有効な打撃一つも与えられずに、のうのうと生き延びさせているのは、我が国の保守勢力の無能さを、雄弁に物語っていると言わなければならない。

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