- 2010年1月10日 10:31
- 時評
我が国は大東亜戦争で敗北し、戦後は経済の再建・成長に、そのエネルギーを集中してきた。その結果西ドイツを抜いて、アメリカに次ぐ世界第二位に躍進したのは、1968年・昭和43年のことであった。今から約40年前である。この前後に戦後の復興を象徴する、二大イベントが行われたことは、覚えている人も多いだろう。すなわち、1964年の東京オリンピックと、1970年の大阪万博である。この両者の間隔は六年あるが、中共の場合、北京オリンピックと上海万博の間隔は、わずかに二年である。
ただし約40年間維持した第二位の地位を転落し、中共に追い抜かれようとしているのは、日本の経済運営があまりにも異常だったからである。日本がしっかりして、まともな経済運営をやっていたら、こんな事態は起こらなかったのである。
朝日新聞1月1日の記事に載っている、「日米中独の名目GDP」というグラフを見ると、日本のGDPは95年頃の約5兆ドルをピークとして、以後激しく変動しながら全く増えていない。つまり十数年間、完全に停滞しているのである。この間中共は急成長しているし、ドイツも増加している。アメリカは目分量で言うと、7兆ドルから14兆ドルへ二倍に増えている。このグラフに出ていない韓国にだって、日本は遥かに劣るだろう。
以上の日本経済の停滞というより没落ぶりを、一人当たりのGDPの変遷で見てみよう。内閣府の発表する国民経済計算によると、日本の一人当たりGDPは、やはり1995年がピークで4万2千ドルを超えていたがその後減少し、1998年・2002年には、3万ドルすれすれにまでなっている。その後増加したが、2008年でも3万8千ドルであり、ピーク時を全く回復していない。
一人当たりGDPの世界ランキングの推移を見ると、日本は1988年以後、大体世界第三位あたりをキープしていた。上にいたのは、ヨーロッパの小国である、スイスとルクセンブルグだった。それが2001年から下降し始め、2004年には、ベストテンを転落、2007・2008年には19位にまでなってしまった。急速にランクが下がったのは、世界が成長しているのに、日本が全く停滞しているからである。
つまり日本経済の没落は、ずっと以前から始まっているのであって、第二の経済大国でなくなると今頃騒ぎ出すのは、全くおかしいのである。いわゆる「失われた十年」とは、1990年代のことを言い、バブルが崩壊したのが90年代の初めだが、それでもその前半は、経済成長を続けていたのである。しかし後半から完全に失速して、ずるずる現在に至り、「失われた二十年」になってしまった。
この間、1998年・平成10年には、それまでコンスタントに2万人で推移していた自殺者の数が、急に3万人台に跳ね上がり、以後昨年まで12年連続で3万人台を維持している。これは明らかに長期不況が原因であって、自殺者を減らすには、経済を立て直すしかないのである。不況のための自殺者が毎年約1万人として、12年間で12万人。これは日露戦争の戦死者や、ベトナム戦争でのアメリカの戦死者の2倍に当たる数字である。
日本の政治家と官僚、すなわち国家権力を握っている人間は、日本人の財産はもちろん生命すら守っていないのである。つまり最低の責務すら果たしていない、無能政治家・無能官僚と言わなければならない。戦後の日本が唯一の自慢とした経済すら、すでに十数年前から駄目になっているのである。問題は、この簡単な事実が意図的に隠され、国民が正確に認識していないことである。したがって大事なのは、この悲惨で愚かしい現実を、真正面から直視することである。経済問題に限らず、それが出来なければ、何事も始まらない。
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