- 2010年1月31日 22:49
- 時評
これとは別に27日には、このシリーズの一環として、中曽根元首相と金泳三元大統領への、「私の『日韓』」というインタビュー記事も掲載されており、この中曽根へのインタビューがなかなか興味深い。この中で中曽根は、「私は民族主義者だから、韓国の民族主義も理解していた」と言っている。
この中曽根の言葉そのものについては、私も民族主義者であるから、基本的に同感である。その意味で、多くの保守主義者がそうであるような、日本の朝鮮統治を全面的に正当化する立場に、私は立つ気にならない。だから田母神論文で表明されているような、日本の朝鮮支配は欧米植民地と本質的に異なるとも考えない。もちろん異なる面もあっただろうが、その差異をことさら強調しても始まらないであろう。
実はこの問題を理解するのは、そんなに難しいことではない。日本と朝鮮と、その立場を逆転して考えてみれば良いのである。朝鮮の方が日本より早く近代化に成功し、日本列島を併合したと仮定してみよう。それによって日本の鉄道が発達したり、大学が設立されたとして、日本人はそれを積極的に評価する気になっただろうか。私は以前からチベット問題に関心を持っているが、この「近代化させてやったから、ありがたいと思え」と言う言い方は、シナ人がチベット侵略を正当化するときの論理と良く似ている。
だがそもそも、民族主義者を自称する中曽根康弘は、本物の民族主義者なのだろうか。中曽根が総理大臣時代に犯した大罪が、真の民族主義者でないことの、何より明白な証拠である。1985年8月15日、中曽根は戦後の首相としては初めてと称して、鳴り物入りで靖国への公式参拝を行った。しかし中共からの抗議を受けると、翌年からあっけなく止めてしまった。そしてこの年の検定を通過した高校教科書を、強権で書き換えさせ、それを批判した文部大臣を罷免した。
しかもその後、靖国参拝を中止したのは、中共の共産党総書記・胡耀邦の失脚を防ぐためだったと説明した。外国の要人を助けるために、国家と民族の名誉を売り渡したのである。これは明らかに真の民族主義者が出来ることではない。中曽根こそ、民族の裏切り者と言わなければならない。
この民族の裏切り者は、先の朝日のインタビューで、外国人参政権について、「僕は原則として賛成」と明言している。また中曽根は以前から東アジア共同体評議会の会長を務めているように、東アジア共同体の熱心な提唱者なのだ。まさに小沢・鳩山という民主党亡国コンビの大先輩なのである。
それにしても、中曽根のような民族の裏切り者が、殆ど批判されずに、イケシャーシャーと生息し続けていること自体が、真に異常である。それは河野談話の河野洋平、村山談話の村山富市も同じだが、この両者は中曽根ほど表に出てこない。実は彼らのような国家的・民族的な犯罪者は、ずっと以前に厳しく批判・糾弾され、社会的に抹殺されなければならなかったのである。
自民党自身がそれをしてこなかったと言うより、そもそもそうゆう発想すら全く無いのだ。河野洋平は、三権の長の一人、衆議院議長として極めて長期間在任し続けた。民主党がいかに無能でも、自民党に全く期待できない理由である。またそれは、日本の保守勢力がいかに危機意識に乏しく、いかに非力であるかの証明でもある。
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