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朝日の中共報道から日本人が学ぶべきこと

  • Posted by: 中の人
  • 2010年2月21日 23:22
  • 時評
 朝日新聞を読んでいると、中華人民共和国の暗部に関して、比較的踏み込んだ報道が見られるようになってきた印象を受ける。例えば少し以前になるが、国際面にある「世界発 2010」という欄に、連続して注目される記事が掲載された。一つは1月22日の、「幼児誘拐、中国覆う」「貧しい家庭被害 2000人保護」という、幼児誘拐に関するもの。もう一つは2月4日の、「13人殺害 貧村の惨事」「中国 出稼ぎ帰りの容疑者」という大量殺人に関するもので、両者ともかなり長文の記事である。

 幼児誘拐は、中共でも最も貧しい省といわれる貴州省の話で、同省の奥地にいた家族が省都の貴陽に出稼ぎに出てきた。そこで2007年の10月に、男の子三人を一度に人攫いにさらわれた。子供が遊んでいるところを、二人が二台のバイクで連れ去った。結局その後三人とも発見されたのだが、一番下の子供は誘拐犯の組織の内部で四回転売された後、1400キロ離れた福建省の家庭に売られているのが発見され、二年後に家族の下に帰った。この子供を買ったのは子宝に恵まれなかった夫婦で、3万元(約39万円)で買った。
 この記事の注釈によれば、中共では貧困者の子供をさらって、子供のいない金持ちに売りつける誘拐事件が多発していた。ようやく昨年4月から政府が撲滅キャンペーンを始めて、11月までに1840件を摘発し、子供2169人を保護したという。短期間に摘発された件数がこれだけあるのだから、実際は膨大な数の誘拐事件が起こっているのだろう。
 大量殺人事件は、貴州省のとなり湖南省の山間僻地で起こった。省でも最も貧しい村の一つで、やっと10年ほど前に電気が通じたというところである。昨年の12月12日に34歳の男が父親と口論となり、父親を殺してから近隣の住居を襲撃して、13人を殺害し6軒を全焼させて捕まった。この男は18歳で沿岸地方の広東省東莞市に出稼ぎに出て働き続け、身も心もボロボロになって帰郷したばかりだった。
 農村出身の出稼ぎ労働者は、都市の戸籍を持たないため、就職・教育・住宅問題などあらゆる面で、過酷な差別を受ける。この事件について、中共のマスコミは「出稼ぎ労働者は都会で差別を受け、社会を憎むようになる。故郷に戻ると、小さなことで極端な行為に走りがちだ」と報じ、学者は「出稼ぎで受けた不公正さ、被差別感といった小さな怒りが積み重なって大きな恨みを生み出すのではないか」と解説している。大量殺人犯について、近所の人間は気が狂ってしまったというが、警察は精神を病んでいると疑う余地は無いという。
 二つの記事、二つの事件の根底に共通して存在するのは、絶対的な貧困、極端な貧富の差、過酷な出稼ぎ労働といった問題である。これこそ中共が抱える最大の問題なのだが、朝日もようやくまじめに取り組む気になったらしい。この二つの記事で注目されるのは、誘拐事件では奥寺淳、殺人事件では古谷浩一といった特派員が、交通不便な現地に行って、関係者から直接取材していることである。誘拐事件では、買い手の女性にも取材している。
 それでは中共政権に媚へつらう、朝日の従来からの報道姿勢は改善されたのだろうか。それはそうでは無いだろう。それはあくまでも中共側の変化に対応しているに過ぎないのではないか。中共政権もかなり自信をつけてきて、ある程度は情報を解禁してきており、中共のメディアが報道し、朝日もそれに基づいて独自取材を展開しているだけなのである。
 朝日の記事を読んで私が最も強く感じるのは、過酷な運命に鍛えられたシナ人の神経の図太さである。反対に現在の日本人は、安楽な生活で精神が極端に虚弱になってしまった。中共で差別され続けている出稼ぎ労働者は、今後続々に日本を目指してやってくるだろう。最初は日本を天国と感ずるかもしれないが、すぐにそれになれて強烈な自己主張を始めるに違いない。両者が対立したとき、その勝敗はあまりにも明らかである。残留孤児は日本に帰ってきて、待遇が悪いと訴訟を起こし、日本政府は簡単に屈服した。

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