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真実を隠蔽した「日中歴史共同研究」

『月刊日本』2010年3月号 羅針盤 2010年2月22日

 一月三十一日、以前から行われていた、日本と中共の学者による、「日中歴史共同研究」の報告書が発表された。二月一日の産経新聞によれば、この共同研究は、日本の方からわざわざ言い出したものだという。〇五年四月というから、例の中共による官製虐日暴動が起こされた時期だが、訪中した当時の町村外務大臣が提案した。ついで翌〇六年十月、誕生早々の安倍首相が訪中し、今度も日本側から提起して正式に合意し、十二月にスタートしたものである。つまり自民党でも右よりの政治家が推進したのである。

 この共同研究は、古代中世史分科会と近現代史分科会に、大きき二分され、それぞれ両国の数人の学者で構成されている。一月二十九日の朝日に載っている、日本側座長である北岡伸一氏の談話によると、共同研究のその後の経緯は、中共側は途中から合意に反して、討議の要旨を公表しないように要求してきて、やむなくそれを了承した。すると今度は、論文すべてを公表したくないといい始めたが、さすがにこれは拒否した。更に中共側は戦後の現代史の部分は、公表から削除することを求め、日本側はそれに屈服した、というのである。今回の共同研究の最大の注目点は、この現代史の殊更な隠蔽である。
 それはこの現代史にこそ、今回の共同研究では取り上げられなかったであろうが、中共の最大の弱点が含まれているからである。その弱点とは、文化大革命や第二天安門事件だと、一般に予想されるかもしれないが、実はそんな生易しい事柄ではない。すなわちシナ現代史の最大の弱点・アキレス腱とは、中共が現実の侵略国家であり、シナ人が侵略現行犯民族であるという、簡単明瞭な事実である。
 シナ人による南モンゴル・東トルキスタン・チベットに対する支配が、侵略であることは、世界の歴史に照らして、全く疑いようの無い、真実そのものである。これら三民族の土地だけで、五百万平方キロメートルに達するから、中共の面積九百六十万平方キロメートルの半分以上になる。シナ人は、中華人民共和国の領土は清帝国の版図を継承すると称して、その成立時にこれらの地域を侵略・併合した。
 ただしチベットや東トルキスタンが、清帝国に入ったのは、十八世紀の中ごろのことで、イギリスの産業革命の時期であり、歴史としてはかなり新しい。その支配も、本土である省の部分(「シナ本部十八省」)とは区別して、「藩部」と称して間接的な統治を行っていたに過ぎず、実質的な独立状態であった。だからチベットでは、統治者としてのダライ・ラマが存在し続けたのである。その清帝国も一九一一年の辛亥革命によって滅亡して解体した。
 しかしそんな議論より以前に、そもそも多民族を包含した帝国が解体され、その中の民族が独立を獲得するのは、歴史の流れとして至極当然のことなのだ。だから第一次世界大戦で、オーストリア帝国やオスマントルコ帝国が解体し、第二次大戦では敗戦国である我が大日本帝国だけでなく、戦勝国である大英帝国も解体したのである。それが世界の歴史の進歩の方向であり、歴史の必然であるからだ。すなわち歴史の進歩の法則としての、民族自決・民族独立である。最近は、高校の歴史教科書として圧倒的な部数を誇る、山川出版の歴史教科書が、一般向けに改編されて売り出されて好評のようである。民族独立については、この世界史の本を読めばちゃんと書いてあり、世界史の常識のなかの常識である。
 ところがシナ人は、第二次世界大戦後の、アジア・アフリカにおける民族独立の時代の真っ只中で、その歴史の流れに全く逆行して、チベット・ウイグル・モンゴル三民族の領土を侵略・併合した。旧外蒙古・現モンゴル国は、ソ連の衛星国となりソ連の軍隊がいたので、併合を免れた。つまりシナ人は、全く時代錯誤の帝国再建を行ったのである。
 チベットではその侵略支配のために、人口の五分の一である、百二十万人が命を奪われたとされる。文字通りのチベット大虐殺である。ちなみに日本の歴史上最大の悲劇とされる、第二次大戦の犠牲者は三百万人であるから、当時の人口を九千万人と考えれば、三十分の一ほどになる。
 さらにシナ人は、これらの地域に対する侵略を完璧なものにするために、大量のシナ人を送り込み、本来の住民を吸収同化して、実質的に絶滅させることを企てている。したがって現代のシナ人がやっていることは、ナチスドイツがやったことと、基本的に代わりがない。つまり侵略と虐殺である。別にガス室を使わなくとも、ジェノサイドはできるのである。現在はそれ自体を疑問視する議論も出ているようだが、旧ユーゴスラビアの民族浄化において、ガス室は使われていなかった。
 今回の日中歴史共同研究の結果は、全く隠蔽されてしまったので、何が取り上げられたのか分からないが、この中華人民共和国成立時の侵略問題こそ、日本側が絶対に取り上げなければならない、最も重要なテーマである。なぜなら日本は過去の歴史を反省して、今後良好な日中関係を築き上げるために、この日中歴史共同研究を開始したのである。日本の過去の反省とは、端的に言って、侵略の反省に他ならない。つまり日本人が自らの侵略の過去を本気で反省しているのなら、シナ人が現在進行形で行っている、正真正銘の侵略行為を、批判し糾弾しなければならない。それができなければ、本気で反省などしていません、と言っているのと同じである。
 それだけではない。侵略国家・侵略民族と無闇に仲良くすることは、侵略の共犯者になることなのだ。かつてアパルトヘイト・人種差別政策が公然と実施されていた時代、南アフリカとは貿易をすべきで無いとの議論すらあった。シナ人は侵略・虐殺という大罪を犯し続けているのだから、忠告してその犯罪を一日も早く止めさせることこそ、シナ人に対する日本人の最大の友情に他ならない。それこそが、真の日中友好、正確に言えば日支友好である。

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