- 2010年3月29日 22:30
- 時評
鳩山由紀夫の発言が終始一貫せず、いわゆるブレにブレまくっているのだが、余り何度も繰り返されるので、誰も驚かなくなっている。つまり不感症になってしまっているが、これが最大の問題であろう。鳩山由紀夫の問題発言、矛盾・撞着発言は数限りなくあるが、その頂点・ハイライトと言うべきものは、なんと言っても一月二十九日、通常国会における施政方針演説である。記者会見やぶら下がり取材の発言とは異なって、国会において自己の考えを正式に表明する、事前に十分な検討を行った上での発言であるから、ついうっかりした軽率な発言では絶対にない。
その中で、インド訪問時に訪れたガンジー慰霊碑の銘文に言及して、「慰霊碑には、ガンジー師が、八十年前に記した『七つの社会的大罪』が刻まれています。『理念なき政治』『労働なき富』『良心なき快楽』『人格なき教育』『道徳なき商業』『人間性なき科学』、そして『犠牲なき宗教』です。まさに、今の日本と世界が抱えている諸問題を、鋭く言い当てているのではないでしょうか」と、ぬけぬけと言い放った。
この七つの社会的大罪の内、後ろの五つはともかくとして、最初の二つ、「理念なき政治」「労働なき富」は、鳩山由紀夫にドンぴしゃりと当てはまる。一億人以上いる日本国民の中で、この二つの大罪に鳩山以上に当てはまる人はいない。つまり鳩山は、他人とは比較にならないほど飛びぬけた、社会的な大犯罪者なのである。「労働なき富」については、いまさら説明するまでもない。では「理念なき政治」はどうなのか。
この演説の冒頭では、「いのちを、守りたい。いのちを守りたいと、願うのです」と歌い上げ、演説の中で二十何回も繰り返したというから、鳩山の政治理念の中核は「命を守りたい」である。これを子供手当ての正当化に結びつけて行くが、実は子供の命を守るためには、鳩山が嫌いなコンクリートが必要なのである。首都圏の直下型地震は何時起こってもおかしくないが、学校の耐震化は進んでいない。このままでは四川大地震のように、児童生徒が生き埋めになるだろう。また「働くいのちを守りたい」とも言っているが、自殺者がこの十年来急増したのは、経済不況が根本原因であり、経済を回復するには、子供手当てをばら撒くより、中共政権がやっているように、コンクリートが必要な公共事業に使ったほうが遥かに有効であろう。要するに、鳩山には政治理念など全くない。施政方針演説に登場する理念らしき言葉は、すべてが空念仏である。
つまり鳩山由紀夫の発する言葉は、完全に腐っている。言葉が腐っていると言うことは、それを生み出す頭脳自体が腐っているのである。したがってそれに基づいて行われる政治も、必然的に腐ってくる。これこそが本当の腐敗政治である。一般に腐敗政治というと、権力の乱用や、金銭的スキャンダルにまみれた政治を言うが、それはまだまだ低レベルの腐敗政治に過ぎない。政治家鳩山由紀夫は、本当は一月二十九日に完全に死んでいる。しかしこの単純明快な事実が正確に認識されていないのは、日本の社会自体が腐敗してしまっているからである。
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