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朝鮮戦争の真実が明らかにされるべきである

  • Posted by: 中の人
  • 2010年6月30日 00:28
  • 時評
100630.jpg 6月25日は、朝鮮戦争が勃発してから、ちょうど60年になる日であった。つまりそれは、1950年6月25日に、北朝鮮が韓国に攻め込んだことから始まった。しかし昔は日本の左翼の人間も、韓国とアメリカ軍が北朝鮮に攻め込んだと、正反対のことを主張していたが、今ではそんなことを言う人間もいなくなったようだ。朝鮮戦争とベトナム戦争とは、第二次世界大戦の後に、アジアで起きた二つの大戦争であり、したがって「冷戦体制」あるいは「冷戦構造」と言う用語は、アジアにおいては本当は当てはまらないのであるが、それについては別の機会に述べることにしよう。

 この戦後のアジアにおける二大戦争、朝鮮戦争とベトナム戦争とは、似ているところと異なっているところがあって、比較してみると興味深い。共通しているのは、戦後の東西対立、共産主義陣営と自由主義陣営との対立が基盤にあることである。戦後、朝鮮半島とベトナムには、南北に分断された二つの国家が成立した。共に北が共産主義で南が自由主義である。違うのは、北ベトナムが比較的自主的に共産化したが、北朝鮮はソ連が占領したところが共産主義化したのであり、これはヨーロッパの東欧諸国の共産化と全く同一の現象である。ヨーロッパでは、チトーによるユーゴースラビアの共産化は、独自のものであるとされる。民族分断国家の北の共産主義側が、民族統一のために、南に侵入したことも同一であるが、ベトナムの場合は、あくまでも南ベトナムの共産主義者・ベトコンが立ち上がった、という建前になっていた。
 両者の相違する点は多々あるが、まず最もわかり易いのは、戦争の期間であろう。朝鮮戦争の場合、実際に戦争が行われたのは、かなり短期間である。50年6月25日に北朝鮮の南進に始まって、同年の8月半ばには国連軍側は朝鮮半島の東端の部分に追い詰められる。そこでマッカサーが仁川敵前上陸を敢行して、形勢を一変させ11月末には、北朝鮮軍を中朝国境近くまで追い詰める。しかしこの時、中共軍が義勇軍として参戦してきて、国連軍を押し戻し、結局開戦以前と似た勢力範囲となる。そして51年7月には休戦会談が開始され、53年7月27日には、休戦協定が成立している。短期間ではあるが、朝鮮半島のほぼ全土が地上戦の戦場となり、軍人と民間人を併せて多大な被害を出した。
 一方、ベトナム戦争の方は、戦後の植民地宗主国・フランスとの戦争に始まり、アメリカが参戦するなど、休戦と戦闘を繰り返しながら延々と続き、75年4月のサイゴン陥落で一応終結し、76年7月には統一を宣言する。しかしベトナム戦争には、インドシナ全域が巻き込まれ、ラオス内戦やカンボジアの大虐殺を引き起こし、79年には中越戦争まで勃発する。カンボジア問題が最終的に解決するのは、90年代になってからである。
 ところで朝鮮戦争は、実際に戦争をしている期間は短かったが、戦争そのものは正式には未だに終わっていない。現在もあくまでも休戦状態であるに過ぎない。板門店では休戦会談が、ずっと続けられているのである。そのためもあってか、朝鮮戦争の真実は、未だに明らかにされていないことが、極めて多いようである。例えば、戦争であるなら軍隊による民間人の虐殺事件の存在などは、容易に想像できる。なにしろ朝鮮全土で、沖縄戦のような地上戦が展開されたのである。現時点では米軍によるものなど一部が明らかにされているようだが、まだまだ数多くあるに違いない。もちろん中共軍による虐殺事件もあるであろう。
 私が以前から強く感じているのだが、韓国・北朝鮮の人々が、日本の統治時代を執拗に批難・攻撃するのは、同一民族が血を流し合った、朝鮮戦争の巨大な悲劇から目を背ける意図があるのではないかということである。とすれば、朝鮮戦争の真実がもっともっと明らかにされれば、韓国・北朝鮮の人々としても、歴史をより客観的に冷静に理解しようとする態度が、多少なりとも養われるのではないだろうか。

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