Home > 時評 > 岡本行夫氏の自分を忘れた日本批判

岡本行夫氏の自分を忘れた日本批判

  • Posted by: 中の人
  • 2010年8月23日 20:00
  • 時評
100823.jpg 8月13日の産経新聞に、岡本行夫氏と佐藤優氏の対談が載っている。この元外交官の両氏による対談は、以前から産経新聞で何回も行われ、確か本にもなっているはずである。今回は「65回目の終戦記念日」と言うことで行われたもので、司会は高畑昭男・論説副委員長である。
 この中で岡本氏は、「傾きつつあるニッポン」と題したパラグラフで、日本の外交的地位の凋落振りを、熱心に語っているのが注目される。司会者の「国際的地位も下がって」との誘いに対する岡本氏の発言を、少し長くなるが以下に紹介しておく。
 「冷戦後は国際経済構造も一変した。日本はグローバリゼーションの急速な進展を今も十分に理解していない。対応もしないから、どんどん地位は下がっている。国際会議に行くと如実に感じます。言及される国は、中国が50回ならインド20回、韓国2、3回。日本はゼロという感じです。深刻です。

 シンガポールの会議に出たんですが、アジアの国が日本に言及するときは『没落しつつある』とか『傾きつつある』とか、哀れみの修飾語がついてくる。『日本は欧米とアジアの橋渡しになる』なんて言ったって、失笑されるだけです。」
 「ショックだったのは外務省が米国の有識者を対象に行った意識調査です。『アジア最大のパートナーはどの国か』と有識者に聞くと90年代は8割が『日本』。中国は1割だった。
 ところが今年は中国と答えた人が56%、日本と答えた人が36%。中国が増大したこともあるが、日本が自己主張していないことも理由だ。存在感がないから認識ゾーンに入ってこない。今後、日米同盟にも重大なインパクトがあると思う。
 先月、フランスの経済会議で演壇の僕がどう紹介されたかというと、『最近とみに聞かなくなった日本の意見を聞きましょう』(笑い)日本は総内向き化で、若い人も外への関心がない。留学生の数も激減しています。
 この65年を総括すれば、日本はうわべはみんなでいたわりあって優先順位をつけられなくなった国。関心は矮小化し、外とは隔絶している。ガリヴァー旅行記のリリパット国です。日本人はリリパット人になっていないか。」
 国際会議での実体験が語られているから、諸外国の日本に対する現在の評価は、決してウソではないのだろう。しかし岡本氏の語り口は、一見悲壮感に溢れているが、どこか他人事のようによそよそしい。それは岡本氏自身の日本外交における活動が、全く言及されていないからである。
 この記事についている、外交評論家・岡本氏の経歴の紹介に拠れば、同氏は1968年に外務省に入省し、北米第一課長などを務め、91年に退官して、個人事務所を設立したようである。そして、「橋本龍太郎内閣で沖縄担当首相補佐官、小泉潤一郎内閣で内閣官房参与、首相補佐官(イラク担当)を務める」とあるから、普通の外交官などより、はるかに日本外交の中枢に関与していたのである。つまりこの間日本の国際的地位は、急激に凋落したのであるが、そのような事態を招いた責任者の一人は、明らかに岡本氏自身である。
 日本は、アメリカにも中共にも隷属する、完全に主体性なき国家に成ってしまったわけで、だからこそその他の諸外国からも、軽視され蔑視されているのである。民主党政権になって、核持込に関する公然の秘密の「密約」暴露で大騒ぎしたが、日米・日中間には更に巨大な密約が、ゴロゴロと存在するのでないのか。日本を「小人の国になった」と批判をする以前に、岡本氏は自分が関わった日本没落の外交史の真実を、自ら進んで内部告発するべきである。

人気ブログランキングへ ←多くの皆さんに知ってもらうためにもクリックをお願いします。

Home > 時評 > 岡本行夫氏の自分を忘れた日本批判

検索
Nationalism_botをフォローしましょう

Twitterをお楽しみの方は、
Followしてください。

リンク集
フィード購読リンク
QRコード
 
QR_Code.jpg

このブログを携帯でご覧になれます

ページのトップに戻る