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尖閣事件で証明された「日中友好」の完璧なる破産

  • Posted by: 中の人
  • 2010年11月19日 21:59
  • 時評
101119.jpg 現在、尖閣事件の問題は、もっぱらビデオ流出の過程ばかりに関心が集中して、重要な問題がなおざりにされている。それはビデオが公開されなかった理由であり、そしてビデオの中身の全容である。しかしそれは一向に明らかにされていない。その罪が厳しく問われるべきは、海上保安官などではなく、船長を釈放した上にビデオの公開を中止し、国家の威信を甚だしく傷つけた、首相・官房長官という最高権力者の方である。
 そのほかにも今回の尖閣事件の関連で、注目されなければならない問題は沢山あるが、その中でも重要な一つとして、いわゆる「日中友好」運動の完璧な破産があると思われる。1949年に中共が成立して以後、今までの約60年間に、中共は基本的に一貫して、「日中友好」を建前として掲げてきた。今回の事件で、中共はそれを明らかにかなぐり捨てたと言わなければなら無い。しかし日本人は、そのことが明確に認識できていないらしい。

 中共成立後、日本人の中で最も親密であったのは、日本共産党である。日本共産党は戦時中からの関係であるが、その後日中共産党の対立で疎遠になると、日本社会党に乗り換え、更に公明党や自民党の一部にまで食い込んでいった。他方、経済界とは貿易を餌として関係を深め、とくにマスコミを取材規制で脅して隷属化させた。また左翼の民間友好団体を組織させ、盛んに訪中させることにより、日本人を中共シンパに育ていった。それらの活動の成果が、1972年の日中国交成立であるが、これを中共はわざわざ「日中国交正常化」と呼んだ。
 国交成立後の10年間くらいが、日中友好運動が最も盛んであった時代であろう。日本全国の都道府県に、日中友好協会が作られた。日本政府は気前好く中共に多額のODAを供与することになった。日本の製鉄会社は、多額の損失を出しながら、中共に巨大製鉄所を作ってやった。まことにいじらしいほどの御人好し振りである。
 しかし中共は次第に牙を剥きはじめる。それが1982年の第一次教科書事件である。その年の中学歴史教科書の検定で、「侵略」を「進出」に書き換えさせたとの、完全なデマ情報がマスコミに流され、中共が公然と抗議した。臆病極まる宮沢官房長官は、「近隣諸国条項」を作ってしまった。以後歴史問題は、頻々と続発する。4年後の、第二次教科書事件、靖国参拝問題、南京事件の問題、慰安婦問題など、まことに枚挙に暇が無い。その中で唯一日本側が抵抗を見せたのが、小泉首相による靖国参拝であるが、後継の安倍首相になってそれすらできなくなった。中共による、歴史問題を利用して日本を脅しつけ、日本から金と技術を巻き上げると言う戦略は、ものの見事に大成功を納めた。
 かくて世界第二の経済大国にして、第二の軍事大国にも成りおおせた中共は、その本性を露にして、日本領土への軍事侵略も開始したわけである。つまりもう「日中友好」の偽装は必要無くなった。偽りの「日中友好」が完全に終了したことこそ、今回の尖閣事件の意味するところである。その端的な表れが、日本が船長を逮捕したことに対して、中共が採った対抗処置である。それは二つあり、一つはレアアースの輸出禁止であり、もう一つがフジタ社員の拉致・監禁である。さらに別に官製の反日デモという脅迫の手段もあったが、この方は民衆が勝手にやったことだと言い逃れができる。しかしレアアース禁輸とフジタ社員の拉致・監禁は、明白に中共の国家権力自身がやったことである。とくにフジタの問題は、拉致・監禁であるから、正真正銘の国家テロである。これほど、友好と正反対の行為はありえない。
 しかし日本で「日中友好」に努めてきた人間たちは、この最高に非友好的行為に対して、少しも怒りを表さないのは、まことに奇怪である。中共のやっていることは、友好運動を進めてきた日本人の努力を、完全に無視し否定しているのであるから、友好運動に携わって来た人間ほど、中共に対して怒らなければならないのである。これほど不当で無慈悲な仕打ちを受けて、それでも関係が悪化した責任は日本にあると考えるとしたら、それは世界の歴史でもかつて存在しなかった、最高の精神奴隷であると、言わなければならない。

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