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今の自民党に必要なのは、過去の所業に対する徹底的な自己批判である

  • Posted by: 中の人
  • 2010年12月 7日 13:24
  • 時評
101207.jpg このところ尖閣事件がすっかり忘れられている。国際的には北朝鮮による韓国砲撃があり、ウィキリークスの問題があり、国内的には実にくだらない、海老蔵を巡る暴力事件がマスコミを賑わせているが、ビデオ流出で一時的に盛り上がった尖閣問題のほうは、全くのご無沙汰と言う感じである。とくにウィキリークスの問題の出現によって、尖閣のビデオ流出はもちろん、警察による公安情報の流出問題まで、影が霞んでしまったのは、まことに皮肉だと言わざるを得ない。

 しかし尖閣事件で提起された問題は、全く解決していないのではないか。ビデオにしてもその全容は公開されていない。那覇地検が船長の釈放を決定した経緯も、全く明らかにされていない。このままでは、尖閣事件はうやむやの内に風化してしまうであろう。
 それにしても今回の尖閣事件で明らかになったのは、民主党政治のデタラメさはもちろんであるが、何と言っても野党自民党の驚くべき無能さであると、言わなければならない。昨年の政権交代以来、デタラメ政治を展開してきた民主党が、尖閣事件で歴史的な大失策を犯したのであるから、今こそ絶好の政権奪還の機会であるはずである。しかし世論調査によれば、民主党と自民党の支持率は殆ど同じである。国民によって、自民党の無能さは見抜かれているのである。
 ところで自民党などの野党は、仙石官房長官の一連の対応を取り上げて、参議院では11月26日に問責決議案の可決に成功した。翌27日の産経新聞には、「仙石官房長官の失言・迷言」と題するリストが出ている。そこには6月16日から11月22日に到る期間の、19の発言が掲載されている。しかしこのリストには、私が仙石官房長官の発言の内、最も重要だと考えるものは含まれていない。あらかじめ言っておけば、私はこの仙石発言に対して、100パーセント賛成である。これほど素晴らしい発言は、日本の政治家の発言として滅多に無い。
 ただしそれは公的に発言されたものではない。10月18日の参議院決算委員会で、自民党の丸山和也議員は、尖閣事件で船長を釈放したのは、APECを無事に開催するためだと、仙石官房長官が釈放直後に電話で話したことを暴露した。また丸山氏がその時、こんなことをしていると、日本は中共の属国になってしまうと言うと、仙石氏は、属国化は今に始まったことではない、と答えたと言う。この「属国化は今に始まったことではない」と言う認識は、事実認識としてまことに正当な認識である。しかし仙石氏は委員会の席では、全く記憶にないとはぐらかした上に、翌日の記者会見で、「いい加減な人のいい加減な発言については、全く関与するつもりはない」と述べた。それに対して丸山氏は、この発言によって侮辱されたとし、11月30日に、仙石氏と国を相手にして3千万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求める訴訟を起こした。仙石氏は否定する必要の無い発言を否定し、実際にやっていることは、中共に対する格段の属国化である。
 自民党はこの最も重大な仙石発言の追及には熱心ではないようである。この発言を完璧に否定することは困難である上に、日本の中共への属国化が今に始まったことではないとすれば、それは直ちに自民党政権時代の責任となるからである。自民党が真に生まれ変わるためには、過去の自民党政治に対する、徹底的な検証と自己批判が必要であり、その上でその失政を国民に謝罪するべきである。それができなければ、再び政権の座に返り咲いても、元の木阿弥になるだけである。しかし現在の自民党首脳部の顔ぶれをみていると、その再生の可能性は全く期待できないようだ。

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