- 2010年11月30日 16:21
- 時評
一番のポイントは、やはり中共と言う国家の存在である。北朝鮮は別に自由な意志で行動している国ではない。日本がアメリカの属国である以上に、中共の完全な属国である。そもそも北朝鮮という異常国家が存続してこられたのは、中共という存在があったからこそである。第一、朝鮮戦争で連合軍側が北朝鮮軍を北の国境に追い詰め、北朝鮮が消滅しようとしたまさにその時、中共軍が突如参戦して連合軍を押し戻し、北朝鮮は存続することができた。その後も常に中共の後ろ盾によって生存してきたのであり、それが無ければ東欧ルーマニアのチャウセスク政権のように、とっくの昔に無くなっていたはずである。その意味で、北朝鮮と言う異常国家の存続については、中共に絶大な「功績」がある。
したがって今回の韓国に対する、朝鮮戦争の休戦条約違反の行動は、全く中共の承認の元に行われたに違いないのである。新指導者の登場も関係しているようであるが、中共と北朝鮮との最高権力者の交流は、最近極めて活発であった。色々と今後の戦略を話し合っていたのであろう。
砲撃事件の発生後、北朝鮮に対して影響を持っているとして、アメリカは中共に期待する態度をあからさまに示した。それに対して中共は、六者協議の開催を提案してきている。中共としては、当然過ぎるほど当然の対応であろう。アメリカは、今の時点では慎重姿勢を崩していないようであるが、今回はともかく長期的に見れば、結局アメリカはその要求を呑むことになるだろうと、私は予想せざるを得ない。その会議の場で、北朝鮮は核兵器開発を放棄する代償として、膨大な援助を獲得することになるだろう。そして共産主義独裁支配体制はそのままに、経済は一定の自由化が行われ、外国の資本と技術を導入した経済成長が図られるだろう。それは別に珍しいことではなく、アジアにおいては中共でもベトナムでも、現実に行われていることである。
この朝鮮戦争の完全な終結を、手放しで喜ぶおめでたい日本人は沢山いるであろうが、この東アジア情勢の激変が、我が日本に何をもたらすのか、とくと考えておかなければならない。以下の予測は以前にも、「拉致被害者は遠からず帰還するのではないか?」と題して、一度述べたことであるが、再度言及しておこう。端的に言って、日本は北朝鮮と国交を結ぶことになるが、莫大な被害を蒙ることになるだろう。まず植民地支配のへの補償として、多額の金と技術を提供させられる。また拉致問題も基本的に解決して、解放された人々が帰ってくる。ただし帰ってくるのはそれだけではなく、日本人妻を含む嘗ての帰還者とその家族もそうであろう。更には、シナ人のように大量の移住者がやってくるに違いない。つまり朝鮮人による、人口侵略である。
要するに今回の砲撃事件は、東アジアの歴史的な大きな変動の一環である。つまり、尖閣事件と完全に連動している。その変動とは、いうまでも無く中共の台頭と、その半面におけるアメリカの衰退である。そしてアメリカと中共の両者は、表面の動きとは全く別に、裏では見事に結託しているはずである。その意味で今回の砲撃事件は、中共の承認によって行われただけでなく、アメリカも承知した上のことなのであろう。
- 次の記事: 今の自民党に必要なのは、過去の所業に対する徹底的な自己批判である
- 前の記事: シナ侵略主義の脅威を見過ごすな