- 2011年1月12日 11:20
- 時評
ただし私が本書の中で、最も興味を引かれたのは、別なことである。第四章の「神田神保町から古地図が消えた怪」という項目で、西尾氏は次のように発言している。少し長くなるが引用してみよう。(214~215ページ)
「さて、尖閣問題で話をする前に、恐るべきことを最後に私はお伝えしなければいけないと思うのです。
中国人は、はなはだ個人主義的で、国のことなど考えない連中だと長年の偏見があり、他方、中国人が、ある事項においては驚くほど共通の感情と、愛国心とはいえないのかもしれませんが、ある国家意識に基づく、統一行動を取るということについて、私はいまだにどちらが本当の姿なのかという謎があって、中国通の人に会うたびにその質問をするわけです。
たとえば石平さんや宮崎正弘さんは、中国人には自己同一的な国家観などはないのだと言います。そうかと思うと杏林大学の平松茂雄教授は、中国人はきわめて優秀な民族で、国家統一行動をするときには、すごいパワーを発揮するということを言います。どちらが正しいか。この謎は解けずに、私の中にいまでもあります。関係する識者に会う人ごとに聞いているのですけれど、尖閣の問題が起こって、どうも彼らの集団意思はただごとではないと思い出しました。皆さんに最後にどうしても伝えておきたいのは、日本の国内において、この点で恐ろしいことが起こっているのです。
日本から古地図を買いあさり、尖閣諸島と竹島の証拠隠滅を図っている中国人、朝鮮人が多数いるようです。それも彼らは計画的に行動している。この問題を、ここで皆さんにお話しておかなければならない。」
すなわちシナ人には、強固な国家意識・民族意識があるのかないのか、保守的言論人の中で、大きく異なる二つの見方があるというのである。西尾氏は、未だにどちらが本当の姿なのか謎だと言っているのであるが、この一連の西尾氏の発言自体を見てみれば、どちらが正しいのかは、おのずから示されていると言わなければならない。すなわち、シナ人や朝鮮人は、自国・自民族の利益のために、日本の古地図を買い占めているのであって、強固な国家意識・民族意識がなければ、そんなことをするはずがないのである。
つまり保守的言論人の意見としては、平松茂雄氏が正しくて、石平・宮崎正弘両氏は完全に間違っているのである。もちろん私はずっと以前から、平松氏のように考えてきたが、以下、私なりの視点からこの問題を説明したいと思う。
アメリカには、日本系のアメリカ人とシナ系のアメリカ人がいる。この両者を比較してみると、驚くほどの相違がある。シナ系の人間はシナ人としての民族意識を保持しているのに対して、日系人は日本人としての民族意識を喪失しているのである。だから、アイリス・チャンは南京事件の本を書いて、日本を貶める活動に熱中するが、日系の国会議員であるマイク・ホンダは、日本を呪詛する慰安婦決議に熱中するのである。日本に居住する正真正銘の日本人さえ、民族意識を喪失しているのであるから、在外日系人に民族意識を求めるのは、無理な注文かも知れないが。
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