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日本は中共に売り飛ばされる

『月刊日本』2011年3月号 羅針盤 2011年2月22日

110222.jpg 最近、チュニジアで長期政権が倒れ、続いてエジプトで三十年間続いたムバラク大統領に対する批判が噴出して、百万人の大規模なデモが発生した。本稿を書いている時点では、少し落ち着いてきたようだが、まだ今後の見通しはつかない状況である。私が今回の問題で、一番興味を引かれたのは、アメリカのオバマ大統領が、かなり早い段階で、ムバラク大統領に退陣を要求したことである。しかしこれは、余りにも筋が通らない話ではないのか。

 チュニジアにしても、エジプトにしても、一応選挙で選ばれている大統領なのであろう。つまりとにもかくにも民主主義に則っているのである。幾ら長期政権でも、完全な独裁政権とは違う。その大統領に対して、退陣を要求すると言うことは、逆に民主主義の否定ではないのか。エジプトでは、ムバラク大統領を擁護するデモも発生しており、それはムバラク政権によるやらせであると西側のマスコミは報道しているが、アメリカなど欧米諸国への反発もあるのであろう。そもそも、ムバラク打倒デモのほうにも、それなりの作為性は感じられる。
 世界には一応選挙によっているが、不自然な長期政権を維持している政権は外にもある。例えばロシアがその代表的な事例であろう。KGB出身のプーチンは、二〇〇〇年に大統領に当選し、二期の任期を満了すると大統領をメドベージェフにやらせて自分は首相になり、現在ではまた再び大統領に返り咲こうとしている。この間にロシアは民主化が進んだかといえば、全く反対にソ連時代にどんどん逆戻りしている。日本の北方領土に関していえば、ソ連時代より更にずっと悪質になったと言わざるを得ない。
 しかしこの反動的なロシアの長期政権に対して、アメリカを始めとする西欧先進国の態度は、極めて寛容である。昨年六月、ロシアが挙行した対独戦勝六十五周年記念式典には、英米仏の軍隊まで始めて参加した。また最近起きたモスクワ地下鉄でのテロ事件では、原因としてロシア側の残酷な独立運動弾圧があるにも拘わらず、テロを一方的に批判するだけである。
 欧米先進諸国が、異常なまでに寛容なのはロシアばかりではない。ロシアはそれでも指導者を選出する選挙をやっているのだが、本物の独裁大国がこの世には存在する。いうまでもなく、それは中華人民共和国・中共である。指導者個人には任期があるようであるが、共産党の一党独裁であり、まったく疑問の余地の無い独裁政権といわなければならない。しかも近年、中共はますますその本性を露にして、横暴を極めている。それは〇八年のチベット問題、〇九年のウイグル問題、そして昨年の尖閣問題・ノーベル平和賞問題を見れば、一目瞭然である。
 しかし、自由の国アメリカも、人権の国フランスも、議会政治の祖国イギリスも、ナチス独裁の過去を真剣には反省していると主張するドイツも、すべて中共の横暴に何も言わなくなっている。ブッシュ大統領もサルコジ大統領も、北京オリンピックの開会式に、のこのこと出席した。昨年から今年にかけては以前にも増して、中共は世界に対して積極的に、「御買い上げ」外交と言う「札びら外交」を展開している。中共と外国との首脳外交の際に、その外国の商品を大量に買い付けるのである。昨年は、フランスにもドイツにもイギリスにも、それを行った。
 そしてその極め付きが、今年一月の胡錦濤のアメリカ訪問である。その時、胡錦濤がアメリカから「御買い上げ」になった総額は四百五十億ドル、日本円にして三兆七千億円という巨額に達した。オバマ大統領は、これによってアメリカ人二十三万五千人分の雇用が確保されたと大喜びした。シナ人は、日本人と違って金の使い方が実に上手だとは言えるが、金で屈服してしまうほうも実にだらしがない。かって欧米人が日本を批判するときに言った、エコノミック・アニマルそのものではないか。欧米諸国の、自由主義・人権主義の金看板は、既に完全に潰れている。オバマ大統領が、ムバラク大統領を批判しても、何の説得力もない。
 日本の保守派の中には、最近の中共の傲慢ぶりにアメリカがようやく気がついて、再び米中対立の時代が始まると主張する人々がいるが、完全に間違っている。それは今回の胡錦濤の訪米で、一層明らかになった。したがって、極めて親米的な産経新聞さえ、首脳会談終了後の一月二十一日の社説で、中共の海洋権益の拡大について、「共同声明で詳しく触れなかったのは、極めて残念といわざるを得ない」、北朝鮮問題では、「中国側に配慮しすぎた感も否めない」と言い、結論部分では、「オバマ氏は中国に責任ある行動を求めるべきだったのではないか。アジア太平洋や世界で問題ある行動を起こしている中国は、結果としてさらなる覇権を追求しかねない」と述べざるを得なかったのである。
 要するに、こんなアメリカをひたすら信じ込んで縋り付いていても、以前から私が指摘しているように、結局は捨てられ、中共に売り飛ばされるのが落ちである。日本が完全に自立・独立しない限り、国家としての日本はもちろんのこと、民族としての日本の生存すら、護ることはできない。

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