- 2011年2月18日 18:31
- 時評
朝日新聞は2月16日にこの問題をとりあげて、「鳩山発言 『方便』とは驚きあきれる」と題する社説を掲載している。しかし私は、今更は鳩山氏の発言に驚きあきれている、朝日新聞の論説委員の知能程度に、驚きあきれてしまう。この社説で、「鳩山氏は、政治家としての言葉の軽さをこれまで繰り返し露呈してきた」と言っているが、鳩山氏の言葉は単に軽いのではない、根本的に狂っているのである。朝日社説はまず、この基本的認識において間違っている。
鳩山氏は首相に就任する以前に、既に「日本列島は日本人だけのものではない」と、素晴らしいトンデモ発言をしていたが、私が最も注目したのは、今から一年ほど前の、首相としての施政方針演説であった。その中でガンジーの「七つの社会的大罪」をあげて、「まさに、今の日本と世界が抱える諸問題を、鋭く言い当てているのではないでしょうか」と大見得を切っているのであるが、その大罪の最初の二つは、「理念なき政治」と「労働なき富」であって、鳩山氏自身が外の誰よりも当てはまるものだったのである。このことは、雑誌『月刊日本』昨年5月号のコラム「羅針盤」、「鳩山白痴政権という不幸」でとりあげておいたので、詳しくは述べない。したがって、私は鳩山氏の「方便」発言に、少しも驚かない。鳩山氏の発言としては、いやになるほど自然である。
朝日社説では、先の言葉の軽さの指摘に続けて、「氏個人の資質に最大の問題があることは言うまでもない。しかし、そこに民主党政権の抱える構造的な欠陥が凝縮して表れている側面も否定できない」と言う。変に持って回った言い方であるが、鳩山氏個人の問題でないことは、明らかであろう。ただし民主党政権の問題とするのも、まだまだことの本質を捉えない、狭すぎる見方だと言わざるをえない。
鳩山氏がいかに異常な人間だとしても、民主党が代表に選出しなければよいのであり、それは民主党の責任であろう。しかし民主党が政権をとらなければ、異常人間・鳩山由紀夫が首相になって、日本を滅茶苦茶にすることはできなかった。民主党が政権を獲得することができたのは、何と言ってもマスコミの絶大な応援があったからである。その意味で朝日新聞自身にも、きわめて大きな責任がある。朝日は自分自身の責任を、完全に誤魔化しているのである。
勿論、マスコミに簡単に踊らされてしまう国民も愚かであり、その国民にも重大な責任はある。現在の日本は、一応民主主義ではあるが、その最も堕落した形態である、完全な衆愚政治だと言わなければならない。鳩山由紀夫も菅直人も、日本の衆愚政治が生み出した、偉大なるスターである。朝日はエジプトの政変を、民主主義の勝利だ、革命だと絶賛しているが、民主主義も腐敗してしまえば、巨大な不幸をもたらすのである。それは既に自民党時代に始まっており、民主党政権によってますますその程度がひどくなっているだけである。その政治の醜態を諸外国は冷静に観察して、外交攻勢をかけてきている。最近の中共およびロシアに対する、無残なまでの外交的敗北が、まさにそれである。
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