- 2011年2月28日 16:29
- 時評
この記事は4ページの「政治」欄に出ているもので、この記事の次にニュージーランド地震の被災者家族を、政府専用機に乗せなかったことを、前原外相が陳謝した記事が載せられている。これも同じ25日の記者会見で述べたことであるが、両方の記事とも無署名である。
ところが同じ朝日新聞26日の朝刊には、前原外相の記者会見での発言が、もう一つ出てくる。それは9ページの「国際」欄のもので、見出しは「中国の民主化『国民が判断』 前原外相」で、記事本文は、「中国国内のインターネット上で民主化を求めるデモが呼びかけられていることについて、前原誠司外相は25日の会見で『基本的人権の尊重や国民主権といった考え方が、他国でも共有されることが望ましい』としつつも、『その国々の状況に応じた判断を国民が行うということで、他国から押しつけられるものであってはいけない』と、中国国民が判断すべき問題だとの認識を示した。 前原氏は、インターネットの規制については、『有害情報以外は担保されるべきで、ネットの意見交換や意思の表現が遮断されることは好ましくない』と懸念を示した。」というものである。なおこの記事には、「山口博敬」の署名がある。
外務大臣による、ものの見事なダブル・スタンダードである。リビアに対する態度と、中共に対する態度とでは、天と地ほども違いがある。カダフィには、「人道上絶対許されない」「残虐な行為を即時止めよ」と居丈高にすごんでいるが、中共政府は、人道上絶対許されない残虐な行為を、これまで幾らでもやり続けてきているのである。近年の、チベットや東トルキスタンの独立運動弾圧を見れば、それは一目瞭然ではないか。それを根本的に批判せず、「他国から押し付けられるものであってはいけない」とは、中共政府の言い分そのものである。そこでネット規制を批判してお茶を濁しているが、言論・表現の自由が全くない国が、ネットを規制するのは、当然中の当然であろう。
この前原外相の、外務大臣としては犯罪的なダブル・スタンダードを、朝日新聞は積極的に援助している。そもそも同一の記者会見の記事が、わざわざ分離して掲載されるのも変である。しかも内容的に全く無関係のものではなく、極めて連関している。中共のデモの呼びかけは、明らかにリビアなどの情勢に触発されたものである。つまり一つの記事でまとめて書けば、前原氏のダブル・スタンダード、そして中共への腰抜けぶりは一目で分かる。朝日新聞がそうしないのは、前原外相と同類・同体質であるからである。
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