- 2011年3月 6日 02:07
- 時評
このブログで以前にも指摘したことであるが、朝日新聞は中共の軍事情報の報道には極めて熱心であり、今回も例の峯村健司記者が大活躍をしている。4日夕刊の軍事予算の記事と解説も峯村記者によるものであるし、5日の朝刊には「時々刻々」欄に、「中国軍外洋へ膨張 国防費12.7%増」という、大型記事も書いている。更に同日朝刊には、強硬派の論客であるという、中国軍事科学学会副秘書長・羅援少将に対するインタビュー記事まで載せている。このインタビューは3日の夜に行われたと言うから、4日の全人代報道官による記者会見以前であり、ずいぶんと手回しの良いものである。
この羅少将のインタビュー記事に典型的に現れているように、朝日の中共軍事報道の記事は、中共側の主張を一方的に垂れ流すものであり、これも以前に指摘しておいたことであるが、完全に中共サイドに立っている。そもそも強硬派の論客にご意見拝聴に伺うこと自体が、精神的に隷属している証拠である。朝日新聞の基本的体質から考えて、極めて自然なことではあるが。
ところで朝日新聞は、5日の社説で早速この問題をとりあげている。タイトルは「中国国防費 不透明さが懸念を呼ぶ」と題しているが、要するに中共を弁護している内容である。中共の軍事予算は、「中身は相変わらず不透明なままで、近隣諸国の懸念はつのるばかりだ」と一応は言うものの、中共では「軍と民の関係は日本では考えられないほど強いのだ」と指摘し、結局「そんな国民感情を背景に、右肩上がりの経済成長をバネとして、中国の国防費は当面伸び続けるだろう」と臆面もなく主張するのである。
それにしても中共の軍事予算が「不透明」であると言う表現は、いかにも変である。日本では兵器一個あたりの価格まで公表しているらしいが(4日夕刊の峯村記者の解説)、細かい使途など分からなくても、中共の軍事予算の中身は、極めて明確であると言える。航空母艦も作っているし、ステルス戦闘機も作っているのである。つまり中共は富国強兵の軍国主義路線を驀進しているのであり、その中身も意図も明確であると言わざるを得ない。不透明であるという表現自体、真実を誤魔化した、中共におもねった表現なのである。
そして朝日の社説の結論部分は、次のようになっている。「中国の目覚しい発展は、平和な周辺環境があってのことだ。軍事力強化はそんな環境を台無しにし、結局は不利益を招きかねない。地域の大国としてその大局を見通してほしい」ここに朝日新聞論説委員の、現実を理解できず未来を予測できない、甚だしい低脳振りがよく現れている。中共の今までの発展のためには、平和な周辺環境が必要だったかもしれないが、これからはそうではない。これからの中共は膨大な軍事力によって、周辺地域に覇権をとなえ、あわよくば侵略併合しようと企んでいるに違いないのである。中共は紛れも無く、現実の侵略国家であって、その侵略国家が更なる侵略に乗り出すことは、私が以前から指摘しているように、必然中の必然である。
朝日は中共に対する提灯記事・提灯社説を、麗々しく載せる前に、読者に対してしなければならないことがある。それは今まで日本と中共の軍備に関して、自分が行ってきた報道に対する、心からの反省と謝罪である。朝日は日本の軍備増強が話題になるたびに、それは必ず軍備拡大の競争になるからいけないと、主張し続けてきた。私は、そういった内容の朝日の社説を、何度も何度も読まされた記憶がある。しかし日本が軍部増強をしなくとも、中共は凄まじいばかりの軍備増強を続けてきた。朝日の主張は完全に間違っていたことが、ものの見事に証明されてしまっているのである。朝日新聞が犯した数ある報道犯罪のなかでも、ひときわ目覚しいものと言える。
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