- 2011年3月10日 16:22
- 時評
日本で普通「中国」と言っている中華人民共和国(以下「中共」と略称する)は、本質的に侵略国家である。第二次世界大戦後、500年来の植民地支配体制が崩壊して、アジアそしてアフリカに多くの独立国が誕生した。その民族独立の輝ける時代に、シナ人に侵略・支配されてしまった民族がいる。それがチベット人であり、ウイグル人であり、南モンゴルのモンゴル人である。それは中共という国家は、歴史の流れに全く逆行して、清帝国を再建するという形で、建国されてしまったからである。これが一般に知られていない、歴史の真実である。
更に知られていない真実が、もう一つある。それはチベットの本当の範囲・領域、つまり地理的・空間的な真実である。日本でチベットと理解さているのは、中共の言い方で「西蔵自治区」という行政単位で、これを日本語では「チベット自治区」と呼んでいる。このチベット自治区だけでも、日本の面積の三・三倍の123万㎢もあるのだが、本当のチベットさらに広いのである。ではそれはどこにあるかといえば、青海省の全域、四川省の西半分、甘粛省・雲南省の一部である。
これらの地域が本来のチベットである証拠は、中共で言う「蔵族自治州」で構成されていることである。「蔵族」とはチベット人のことを言っているのであり、チベット人の自治州であることは、中共政府自身がそこはチベット人の土地であることを認めているのである。青海省の全体は殆ど六つの自治州で構成され、四川省の西半は二つの自治州から成り、甘粛省と雲南省にそれぞれ一つの自治州がある。
青海省は日本の面積の二倍の72万㎢あり、チベット自治区と他のチベット人の土地すべてを合計すると、約230万㎢に達する。これは中共の総面積960万㎢の、約四分の一に当たる広大な面積である。これに新彊ウイグル自治区166万㎢、内蒙古自治区118万㎢を加えれば514万㎢になり、中共の領土の半分を遥かに超えてしまう。
しかもチベット自治区と他のチベット人の土地は、完全に一つに纏まっていて、飛び地にはなっていない。したがってその全体を一つの自治区とすべきなのだが、チベット人の力が纏まるのを恐れて、分割して支配しているわけである。なぜ纏まっているかと言えば、この地域が平均海抜4000メートルを超える、一大高原地帯だからである。すなわちこれがチベット高原である。
四川省の西半分は、注意していないと気付かないが、チベット高原なのであって、それは省都である成都のすぐ西から始まっている。成都から南西に240㎞ほどのところにある、ミニヤ・コンカ山の標高は、7556mもある。そもそも山名自体が、チベット語である。成都は古くからシナ人が居住し、三国志の蜀の都ともなったところであるが、シナ人はチベット高原に上がってこられず、高原はずっとチベット人の世界であった。
パンダはこのチベット高原の東端の地域に生息している動物である。したがって明白にチベットの動物であると言って間違いない。最大のパンダ研究センターである臥龍研究センターは、四川省の「アパ蔵族羌族自治州」にあったが、四川地震で大きな被害を出した。チベットがシナ人に侵略支配されているので、パンダは「中国」の動物になってしまっただけである。つまり、パンダはシナ人によるチベット侵略の、紛れもない象徴である。パンダを見て、可愛い可愛いと無邪気に喜んでいるのは、シナ人のチベット侵略に協力しているのと同じであり、無自覚に侵略の共犯者になっているのである。
まして日本は、昨年の尖閣事件において、フジタ社員の拉致・監禁の脅迫によって、犯人を釈放してしまうという、巨大な辱めを受けた。明らかに尖閣事件の帳消しを狙った、中共のパンダ貸し出しであるにも拘わらず、尖閣事件の屈辱をすっかり忘れ、高額賃貸料年間8000万円まで払って、大歓迎で受け入れる日本人の馬鹿さ加減には、つくづくあきれ果てる。
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