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アメリカによる日本裏切りの象徴・アザデガン油田

  • Posted by: 中の人
  • 2011年5月 6日 22:26
  • 時評
110506.jpg 少し以前になるが4月24日の産経新聞に、イランのアザデガン油田についての、比較的長文の記事が掲載されている。ワシントンの佐々木類記者によるもので、見出しは「米、イラン制裁に二重基準 日本に撤退圧力、中国の活動容認」というものである。アザデガン油田の問題は、かなり以前からの問題であるが、今回とくに取り上げられているのは、3月29日に国務省が発表した、イラン制裁に関する制裁対象企業リストのためであるらしい。つまりそれには、制裁対象に中共の企業が含まれていなかったからである。

 アザデガン油田は、同記事で紹介しているように、推定埋蔵量約260億バーレルの中東最大級の油田で、日本の国際石油開発帝石(INPEX)が75パーセントの権益を有していた。しかしアメリカがイランへの投資に強く反対したため、2006年に権益を10パーセントにまで縮小した。ところが2009年に、中共が全体の70パーセントを取得し、反対に日本は2010年10月に、残っていた10パーセントすら放棄したのである。その理由は「日本政府が撤退を決めたのは、米国内で昨年7月にイラン包括制裁法が発効、アザデガン油田に権益を持っていたINPEXが制裁対象とされる恐れがあったためだ」という。
 しかもその裏には「実際、スタインバーグ国務副長官は藤崎一郎駐米大使にINPEXの撤退を数回にわたり強く要請、撤退しなければ制裁対象にすると圧力をかけていた。制裁対象になれば米金融機関との取引が禁止され、大きなダメージとなる」という状況があった。これが昨年のことだが、今回の事態については、日本も黙っていられなかったようで、「日本政府は国務省の発表後、中国が制裁対象に含まれていない理由の説明を求めているが、スタインバーグ氏は『イランで新しい事業を始めているわけではないから、制裁対象にする必要はない』などと釈明している」という。まことにふざけた話である。
 私がこの記事にとくに注目するのは、産経新聞の記事だからである。冒頭の部分での佐々木記者によるこの記事の要約は、「核開発疑惑の持たれているイランへの制裁をめぐり、米政府のダブルスタンダード(二重基準)が鮮明になってきた。日本など同盟国にイランのアザガデン油田から撤退させる一方、中国企業は制裁対象とせず経済活動を容認しているためだ。国連安全保障理事会での対リビア決議などで『中国の協力をとりつけるための取引』(日本外交筋)との見方が強い。日本の中長期のエネルギー政策が中国に気兼ねする米政府の思惑に振り回された形で、日米間に禍根を残しそうだ」とある。日本のマスコミにおいて、親米派の代表である産経新聞すら、このように報道しているのである。
 ただし私はこの産経の報道振りは、まだまだ真実を突いていないと考える。第一に、アメリカの態度は、二重基準などといった生ぬるいものでは全くない。民主主義国家であり、軍事同盟国である日本の、まさに虎の子の石油権益を巻き上げておいて、日本を敵視する共産主義の軍事大国・中共の手に入れさせているのだから、日本に対する完全な裏切り行為である。第二に、このアメリカの行為は、リビア問題に対する取引などといった、短期的な理由によるのではなく、アメリカの基本的戦略に則ったものである。それはこの二三十年間の、日米経済関係と米中経済関係を、冷静に比較対照して考えてみれば、容易に理解できるはずある。この間、アメリカは日本経済を叩きに叩き、反対に中共経済を育てに育てた。
 今の日本人に、アメリカの明々白々な裏切り行為が理解できないとしたら、右から左まで朝野を挙げて、日本人はアメリカの完璧な精神奴隷になってしまっているからである。

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