- 2011年5月18日 11:46
- 時評
それは大震災が発生した際、女川町の水産加工会社で働いていた中共からの研修生を、日本の経営者が急いで避難させ、しかし自らは津波の犠牲者になってしまったからである。この人物については、その後、中共のマスコミでも大きく報道されて、その行動が賞賛されているという。つまり温首相としては、女川町を訪れてこの人物を称えることによって、昨年の尖閣事件で傷ついた両国の関係を、一挙に修復しようとする目的があるに違いない。
しかし温首相の宮城訪問の目的は、そればかりではないであろう。東北地方の水産業の実状を、自分の目で確かめることもあるのではないか。水産業は東北地方の主要産業であり、岩手・宮城・福島三県の漁業生産額は、2009年で約1350億円であるという。(朝日3月23日)その水産業は今回の大地震による津波によって、文字通り壊滅的な被害を蒙った。復興に当たって、それを援助するという名目で、中共が東北地方の水産業を手に入れようと、乗り出してくるはずである。前に紹介したように、高い技術力を持つ中小企業の買収については、中共のマスコミが公言しているが、それは水産業にも当てはまるだろう。しかも女川町の研修生の例に見られるように、中共と水産業者との間には、既に濃密なコネクションができている。
では中共は何故日本の水産業に目をつけているのだろうか。それは中共の食料事情と当然関係がある。中共は急激な経済成長を遂げたが、そこには深刻な貧富の差も生み出した。そのような貧富の格差を、幾ら共産党独裁政権であっても、何時までも放置しておくわけには行かない。金持ち階級は食べ物でも、金に飽かせて贅沢三昧をするようになっている。世に「食べ物の恨みは恐ろしい」と言うから、貧困層の食事も改善しなければならない。とくに動物蛋白においてそれは必要とされるのであるが、牛・豚・鶏などの家畜で賄うには、大きな問題がある。生産される肉の重量の何倍もの、飼料を食べさせなければならないからである。
したがって、基本的に飼料がかからない水産物が、大いに注目されることになる。現に中共の水産業は急速に発展し、漁獲量もうなぎ登りであるようだ。日本のマスコミは、中共に遠慮して余り報道しないが、不当な操業もあって、最近のテレビで一瞬報道されたところでは、中共船がカツオを大量に乱獲しているという。今後中共の水産業が、被災し失業した日本人船員を雇用して、技術を修得することも考えられるが、私の予想では東北の水産業の再建そのものに、中共が積極的に関与すると思われる。またそこには、すでに研修生として働いていたように、シナ人の従業員が大量に雇われることになるだろう。被災した地域ではすでに震災以前に、「留学生研修生など3万人規模の中国人が滞在しており、外国人の中でとりわけ多い」(朝日3月14日)という状況であった。
つまり今後中共が直接関与するようになった、東北地方の水産業の収穫物は、かなり中共に向けて供給されるだろう。ただし日本人にもある程度は供給されるだろう。しかしそれは、日本の食が中共によって支配されると言うことを意味している。例えば、戦後のアメリカによる食の支配のことを考えてみると良い。日本人は学校給食でパン食に慣らされ、肉食を奨励され、小麦や牛肉を大量に輸入するようになった。ただし日本の食は、その地理的環境から言っても、まだまだ水産物に頼っている。いわゆる「日本食」とは、明らかに水産物を中心として成り立っている。そこにまで中共の支配が、及んでくるわけである。
これは私が従来から主張している、シナ人による日本侵略の第二段階、人口侵略・経済侵略そのものであるが、それを警戒する日本人は、殆どいないようである。
- 次の記事: 中共によるテロを野放しにする米国
- 前の記事: アメリカによる日本裏切りの象徴・アザデガン油田