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中共によるテロを野放しにする米国

『月刊日本』2011年6月号 羅針盤 2011年5月22日

110523.jpg9・11同時多発テロの首謀者とされるオサマ・ビンラディンが、アメリカによって暗殺された。マスコミはこの暗殺を、頻りに「殺害」と表現しているが、暗殺といったらアメリカのご機嫌を損ねることになるのだろうか。アメリカはビンラディンの暗号名を、「ジェロニモ」と呼んだが、ここに侵略者・征服者としての、アメリカ人のメンタリティーが、極めて良く現れている。またそれは、「黒人」大統領・オバマであっても、「白人」と少しも異ならないことも証明して見せた。二年半前オバマ大統領の出現に、アメリカは変わったと喝采した世界の人々は、完全に間違っていたのである。

 幾ら三千人のテロ犠牲者が出たとしても、ビンラディン一人を殺して、「正義が成し遂げられた」と叫ぶアメリカ大統領の単純さには、ほとほとあきれてしまうが、私が今回の事件で最も奇異に感じたのは、それに対する世界の反応の方である。つまり世界の指導者たちが、アメリカの行動に対して、揃って賞賛の声を上げていることである。アメリカの属国である日本は言うまでもないが、先進国といわれる欧米諸国も、そして国連の幹部たちまで、同様の態度を示している。私はここに、現代世界の甚だしい偽善・退廃を感じないわけにはいかない。
 私は9・11テロ以来、アメリカが世界の解決すべき課題として、テロの撲滅を設定したことに、大きな疑問を抱いてきた。それは9・11テロが、アメリカの自作自演であるか否かに拘わらず、テロ撲滅を最大の世界的課題とすることによって、真の解決すべき課題が、見失われたと考えてきたからである。では現代世界が抱えている、解決すべき最大の課題とは何なのか。それは高校の世界史教科書程度の知識に基づいて、歴史の流れを謙虚に見つめれば、おのずと明らかになる。
 歴史の進歩によって実現すべき価値として、自由と平等がある。歴史上の具体的な動向としては、それは民主化と民族独立である。個人は専制政治に支配されるのではなく、個々の意思で議員を選出し、議員が構成する議会で法律を作り、社会を運営する。個人と同様に、固有の性格を持つ人間集団である民族も、他の民族に支配されることなく、独自の意思で国家を運営するべきである。これが民主化と民族独立の原理である。
 世界の近代史はこの流れに沿って発展してきた。民主化では、日本は明治維新の五箇条のご誓文で、「万機公論に決すべし」とし、明治二十年代の初頭に、議会政治を開始した。現在、中東諸国において真の民主化が叫ばれているのは、周知の如くである。民族独立は第一次世界大戦の結果、ヨーロッパの四大帝国が滅亡し、東ヨーロッパに一挙に八つの独立国が出現した。第二次大戦後には、数百年来の世界の植民地体制が崩壊して、アジア・アフリカに多数の独立国が誕生した。
 ただし第二次大戦後も、民主化と民族独立が実現していない二大地域が存在した。それはヨーロッパのソ連と東欧諸国、それに中共・北朝鮮・北ベトナムなど、戦後に共産化した東アジア地域である。とくにソ連と中共はその内部に、多くの民族を抑圧支配する「民族の牢獄」であった。それは歴史的に言って、ソ連はロシア帝国の後身であり、中共は清帝国を再建したものだったからである。つまりこの二地域の民主化と民族独立は、第二次大戦後の世界史の最大の課題であった。
 ところが約二十年前、一九八〇年代の末から九〇年代の初めにかけて、東欧諸国が次々と民主化し、更にソ連自身が民主化すると共に十五の民族国家に分裂した。民族独立は更に、チェコとスロバキアの分離、ユーゴースラビアの解体にまで至っている。この世界史的に重要な変化は、ソ連に含まれていた中央アジアにまでは及んでいるが、東アジアは基本的に変化のないままである。したがって現在の世界が抱えている、解決しなければならない最大の課題とは、東アジアの共産主義諸国の民主化と、侵略国家・中共の解体による、民族独立であることは、世界史の流れから言って、余りにも明らかであると言わなければならない。
 すなわち、レーガン大統領はソ連を「悪の帝国」と呼んだが、ソ連より更に凶悪な悪の帝国である中共を打倒することこそ、世界の警察官たるアメリカの当然の責務である。しかしアメリカその責務を果たさず、テロ撲滅を最大課題に掲げてしまった。しかもウイグル人の独立運動をテロと認定したことは、アメリカが犯した大罪であると言ってよい。そのために侵略国家・中共が大手を振って罷り通り、ロシアや中央アジアの旧ソ連諸国と上海協力機構を結成し、テロへの警戒を名目に軍事演習を繰り返している。
 テロと言うならば、侵略こそ最高・最大のテロである。9・11テロの犠牲者は三千人であるが、シナ人の侵略によって、チベットだけでも百二十万人の命が奪われている。アメリカは、シナ人による侵略の巨悪を野放しにしながら、小者のテロリストを暗殺して得意になっている。しかも世界の大勢がそれに同調している。世界の歴史は明らかに逆流して、正義が無茶苦茶に踏みにじられる、暗黒の世の中になってしまっているのである。

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