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日本人がすっかり忘れている日本人による無差別テロ

  • Posted by: 中の人
  • 2011年8月 4日 20:11
  • 時評
110804.jpg 7月22日、ノルウェーの首都・オスロで、二つのテロ事件が連続して発生した。一つは中心部の政府庁舎などがある地域で起き、爆弾が爆発して8人が死亡し多数人々が傷ついた。もう一つは2時間後に郊外の島で起き、与党・労働党の青年集会が行われていたところに、銃を乱射する男が現れ、こちらは68人が死亡した。両方あわせると76人と言う、ヨーロッパでは珍しい、かなりの規模のテロ事件となった。

 今のところの情報では、二つの事件とも一人の男の犯行らしい。男はキリスト教原理主義者で、政府の移民受入政策に反対で、とくにイスラム教徒の流入に危機感を持っていたようである。とすれば文明史的に考えれば、イスラム教の成立以来ずっと続いてきた、キリスト教とイスラム教の抗争の一環と捉えることができる。キリスト教とイスラム教は、その元であるユダヤ教も含めて、一神教として極めて類似した宗教であるが、近親憎悪と言うように、近いほど仲が悪いのである。
 それはともかく、今回の中心部における爆弾テロの写真を見て、私がパット思い出したのは、東京・丸の内で起きた爆弾テロ事件である。それは37年前、1974年8月30日に起きたことであった。東京駅の近くだから都心も都心、丸の内の仲通に面した三菱重工の玄関に、強力な時限爆弾が仕掛けられて、昼休みの時間に爆発した。そのために8人が死亡し、385人が重軽傷を負った。死亡者のほかに多くの負傷者が出たのは、ビルの窓ガラスが割れて、それが雨のように降り注いだからである。
 その後の捕まった犯人は、「東アジア反日武装戦線」と名乗るグループで、言うまでもなく極左勢力である。当時、60年代の学生運動が、大学紛争を通じてどんどん過激化してゆき、70年には日本最初のハイジャック事件である「よど号事件」を、72年には同志虐殺の連合赤軍事件を起こしていたが、直接的な無差別テロをやり出したわけである。三菱重工が標的となった理由は、日本最大の軍需産業であるからと言うものであった。しかし爆弾が仕掛けられたのが玄関前で、しかも昼休みであったから、犠牲になったのは殆ど三菱重工と無関係の人々であった。その後これほどの規模のものはなかったが、極左勢力による無差別テロは何回も繰り返されて、殺された人が何人も出た。
 これは爆弾によるテロであるが、ノルウェーのテロのもう一つの類型、銃撃によるテロの方も、日本の極左勢力はやっていた。ただしこれは日本国内ではなく、外国で行われたもので、時期も三菱重工より前である。それは1972年5月30日に起き、当時はイスラエルの首都であったテルアビブのロッド空港で、日本赤軍の3人が自動小銃を乱射して、26人を殺害した。今度のノルウェーの事件もそうだが、人を殺すためならば、爆弾より銃の乱射のほうが効率的なようである。その目的はアラブ支援のためであった。犯人の中で唯一生き残った岡本公三は、その後囚われの身となったが、アラブでは英雄視された。
 戦後日本にもそれなりにテロの歴史はあるが、右翼によるテロと左翼によるテロとでは、顕著な相違があることが分かる。右翼の場合は伝統的な一人一殺主義で、1960年の山口二矢による浅沼稲次郎暗殺が最も有名な例であろう。それに対して左翼は、無関係な一般人を巻き込む、ハイジャック事件や爆弾テロを平気で行ってきた。しかし左翼によるおぞましいテロの歴史は、現在殆ど忘れられている。若い人々の聞いてみると、全然知らないと異口同音にいう。それは忘れているというより、積極的に忘れさせられているからである。つまりマスコミがこれら重大事件を全く回顧しないのである。
 では何故回顧しないのか。マスコミが左翼勢力とグルだったからである。朝日新聞などは大学紛争当時、極左学生の最大の応援団であったと言ってよい。それは今でも大学紛争や成田紛争を、「大学闘争」「成田闘争」と表現することからも分かる。つまり身内である極左学生や自分自身の悪行を隠し続けているのである。大学紛争で散々暴力を振るいまくった人間や、その暴力を容認していたマスコミが、武力否定の憲法九条を守れと主張したところで、何の説得力もあるわけがない。

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