- 2012年2月14日 23:47
- 時評
この記事には、2006年から20010年まで5年間の、国土交通省林野庁調べによる、「外国人・外国法人による森林取得」の表が付いていて、北海道・山梨県・神奈川県・長野県・兵庫県の5道県で40件の事例が確認されており、合計面積は620ヘクタールとなっている。このうち圧倒的に多いのは北海道で、他の4県の分は各1件、合わせても15,6ヘクタールに過ぎない。ただしこの調査は、どれだけ実態を反映しているのか、はなはだ疑問なのである。
この埼玉県の条例制定については、読売新聞の同日の埼玉版にも記事があり、その目的と限界について、もっと詳しく説明している。「県が制定を目指す水源地域保全条例は、首都圏の飲み水に貢献する水源地域を、外国資本が買収に乗り出してきた場合にどう守るかという懸念に対し、地方が警鐘を鳴らすものだ。背景には、安全保障上、『国の弱点をさらけ出したままでいいのか』という危機感がある。課題はトラブルに発展しそうな買収を抑止する実効性だ」。つまり国がやらないから、地方がやらざるを得ないというのである。
しかし県にできることは限られていて、「現在、国の法制度は、外資による土地取引を無条件に禁じていない。このため、今回、許可制の導入は見送らざるをえなかった。県レベルの取り組みとしては、事前届出制が限界だ」とある。
この外国人とくにシナ人の土地買収については、2月3日の産経新聞にも関連する記事があった。それは湯浅博記者によるコラム「くにのあとさき」欄で、タイトルは「気がつけば土地セールス」である。その中に、「この問題では、日本の水源林が外国資本に買収され、離島で森林が伐採されている実態から自民党議員らが法改正に動いた。菅直人前内閣は昨年4月ようやく、すべての森林について所有権移転で事後の届け出を義務付ける法改正をおこなった」とある。
つまり先の林野庁の調査は、この法改正の以前だから、実態を全く反映していないのである。埼玉県は、事後の届出では不十分だと判断いているのであり、許可制は無理としても、事前の届出制にしようとしているわけである。条例の対象地域は、先の読売の埼玉版によれば、秩父市など4市、毛呂山町など13町、それに東秩父村の森林地域である。
先の湯浅記者の記事は、外国人による土地所有について、日本以外の外国の例を色々教えてくれて貴重である。「つい最近も、外国資本が在日米軍基地や自衛隊基地周辺の不動産所有を進めており、安全保障を脅かす事態が出てきた。事後の届け出では後の祭りなのだ。国際規範は安全保障に関わる外国資本による土地取得の制限を認めている。米国や韓国のように許可制にしなければ、やがて手に負えなくなるだろう。国土が荒らされる前に再改正することを望む」と指摘する。規制の対象や範囲がもう一つ明確ではないが、アメリカや韓国では、許可制であることが分かる。
そもそも湯浅記者の記事は、その冒頭に谷垣自民党総裁の、外国人による土地所有に関する発言を取り上げ、それを批判することによって展開されている。その谷垣総裁発言とは、『人民日報・海外版』の日本語版第四号に載ったもので、同誌の編集長のインタビューに対して、次のように発言しているという。「以前、貿易黒字が続いていた頃、日本企業はアメリカのロックフェローセンターを購入しました。その時も、アメリカ人は日本に反感を抱き、抗議しました。忘れてはいけないことは、日本の市場で売買は自由です。中国の投資家が日本で不動産の取引をしても決して違法行為ではないのです」
湯浅記者はこれを、「中国資本に日本国内の土地買収を推奨しているような印象を与える」と評しているが、湯浅氏が指摘する谷垣発言の最大の問題点は、相互主義について全く盲目な点であろう。「日本企業が米国の不動産を買うことができるように、米国企業も日本で土地が自由に買える互恵の関係にある。ところが、中国は外国資本に限らず土地買収を認めていないから、あちらでは借りるしかない」
湯浅記者はその具体例として、日中の公館の場合を取り上げている。中共では「日本大使館をはじめ各領事館の土地はいわば賃貸である。一方の中国は、日本国内にある7カ所の公館のうち、大使館を含む4ケ所を所有している。相互主義に基づけば、中国の在日公館の土地はすべて賃貸でなければ公平性を欠く。米国はその立場から中国公館の土地所有は認めていないから、日本はいかにもおめでたい」。アメリカは相互主義を貫いているのに、日本はそれができていない。日本が一方的に不利な、不平等関係である。
中共公館の土地は中共の領土と同じだから、我が国は明確に領土を侵略されているわけである。公館による完全な土地所有に対してすら、これだけ鈍感なのであるから、一般のシナ人による土地買収を警戒する意識が、国にも政治家にも全くないことは、けだし当然なのかもしれない。しかもマスコミでも、それが問題視されることは殆どない。アメリカでは、日本のロックフェラーセンター買収にマスコミが大騒ぎし、結局大幅な安値で買い戻された。まさに日本はシナ人にとって、侵略対象として、これ以上のない絶好のカモである。
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