- 2012年8月21日 20:21
- 時評
最近、日本を巡る領土問題が急速に悪化している。しかも注目すべき点は、中共・ロシア・韓国といった関係国が、まさに申し合わせたように、足並みを揃えて対日攻勢をかけてきていることである。もう一つ重要なことは、それは領土問題だけではなく、日本を意識的に貶める歴史問題とリンクしていることである。中共・韓国との歴史問題は今に始まったことではなく、30年前、1982年の第一次教科書事件から始まっているが、ロシアの場合も、日本に対して数年前からしきりに歴史問題を言い出していたことは、殆ど注意されていなかった。それはまさに、領土問題で攻勢をかけるための準備であったのだ。このあたりが現在の日本人の、驚くほど鈍感な点である。
ロシアといえばその前身のソ連こそ、日本に対して極めて巨大な戦争犯罪を犯した国である。不可侵条約を踏み破り、大量の強姦と言いう戦時性暴力を振るい、日本軍人をシベリアに抑留して、何万もの人間を死に追いやったからである。
ただし中・ロ・韓の北東アジアにおける連携のうち、最も重要なのは中共と韓国の連携である。ロシアは現在、急速に極東開発に力を入れようとしているが、長期的に見た場合、ロシアは基本的にヨーロッパの国であり、アジアにおいて強固な存在とはなりえないからである。
朝鮮戦争でお互いに殺しあった、中共と韓国との連携・結託といえば、80年代の第一次・第二次教科書事件がある。このときはまだ、中共と韓国とは国交が無かったが、日本に対する歴史問題について共同歩調をとった。今から20年前、1992年に中共と韓国の国交が成立したが、95年に日本の江藤発言を切っ掛けに、江沢民と金泳三は歴史問題で共同して日本を叩くことを宣言する。この重要な事実も、忘れっぽい日本人は、すっかり忘れてしまっているだろう。
韓国の動向を見ていると、近年における中共の急速な膨張に対する危惧の念は、殆ど感じられない。日本に対する警戒心とまるで逆である。これは日本人よりアメリカの衰退を敏感に感じ取り、中共と結ぼうと考えているからであろう。そしてそれはまた、近代以前の歴史において、朝鮮が一貫して中華帝国の藩属国家であった事実が、強力に反映されているのであろう。
もう一つ、韓国が中共に対して従属しなければならない要素がある。それこそ韓国と同一民族の国家である北朝鮮の存在である。北朝鮮は完全に中共の衛星国であり、北朝問題を何らかの形においてでも解決するためには、絶対に中共の意向に逆らうことはできない。
それでは、今後の北東アジアの歴史はどのように展開するのであろうか。基本的動向は、アメリカの衰退と中共の台頭となるだろう。その過程で、中共・シナ人は、日本に対する侵略・併合を実行するだろう。そもそも中共はその成立時から、周辺民族の土地を侵略・併合して出来上がった、本質的な侵略国家である。したがって更なる侵略に乗り出すのは、全く当たり前のことである。それを警戒しないとしたら、警戒しないほうが底なしの馬鹿なのだ。現に尖閣を核心的利益だと言い出して、日本領土への侵略を開始しているが、それはさらに沖縄、そして日本本土に拡大するだろう。
ただし中共は日本国土への侵略に乗り出す遥かに以前から、日本人の精神を歴史問題によって侵略し続けてきた。それは戦時中の日本人捕虜への教育から始まり、実に長い歴史がある。その中に40年前、日中国交成立時の日中共同声明があり、先述した80年代の第一次・第二次教科書事件や靖国参拝問題がある。その結果、日本人は歴史問題によってすっかり洗脳され精神の奴隷になった。日本人が戦後すぐにアメリカの東京裁判史観によって完全に洗脳されたというのは、はっきり言って正しくない。日本罪悪史観の淵源は、東京裁判にあるにしても、それが一般に日本人に広く普及・定着するのは、80年代の教科書事件以後である。この時点で東京裁判史観は、強固に再構築されたのである。
その歴史問題による日本叩きの中でも、韓国・朝鮮人が主役を演じたのが、例の慰安婦問題である。朝日を中心とする虐日マスコミがでっち上げたウソが、自民党政府の亡国的対応で事実化してしまい、さらに国連も利用されて世界中に流布されるに至った。お人よしで間抜けな日本人が、基金など作って良心的に対処したが、それが却って政府が正式な謝罪も補償もしていないと宣伝され、07年にはアメリカ議会や欧州議会で、改善要求決議がされるまでになってしまった。
慰安婦問題は、韓国にとって日本に対する最大の脅迫カードになっている。韓国がしきりに言うのは、ドイツ人は過去を反省・謝罪しているが、日本人はしていないという言い草である。それに関連して出てきたのが、最近のイ・ミョンバク大統領の、天皇陛下に対する土下座要求である。ドイツのブラント首相はかつて、ナチスのユダヤ人虐殺を謝罪して、ひざまずいたことがあるが、それになぞらえているのである。従来の慰安婦問題は、単なる売春を組織的な強姦であるとしていたのであるが、更に進んで売春を虐殺と同等の犯罪だと決め付けるまでに至ったのである。日本人は韓国人によって、世界歴史に全く類を見ない、とんでもない冤罪を着せられている。
今のところ、尖閣問題による中共の日本領土に対する直接侵略が、クローズ・アップされているが、現段階で最も注意しなければならないのは、中共による経済侵略と一体化した人口侵略である。私は以前から、シナ人による日本侵略の三段階論を主張している。すなわち、精神侵略・人口侵略・軍事侵略の三段階である。精神侵略は歴史問題の利用によってほぼ完成した。この精神侵略において、中共と韓国は完全な協力関係にあった。次なる人口侵略でも、それは同じである。
今は鳴りを潜めているが、少し前まで外国人参政権問題が話題になっていたのを、忘れてはいけない。この外国人参政権は、もっぱら韓国の民団が熱心であったが、最もその恩恵にあずかるのは、急速に在日人口を増加させているシナ人である。したがって、韓国と中共は共同して、日本における外国人参政権の実現に邁進するに違いない。そして経済力をつけてきた中共と韓国は、弱体化した日本への経済侵略を、どんどん推し進めるであろう。またこの段階では、北朝鮮が中共化して一定の自由化をとげれば、北朝鮮から日本に対する人口侵略も急速に進むに違いない。
更にアメリカの衰退が一層進行して、アメリカ軍が自分から日本列島を出てゆくとき、中共による対日軍事侵略が開始される。その場合、中共は単独に侵略しないで、韓国・北朝鮮の朝鮮人を、協力者として誘うのではないだろうか。九州を朝鮮人にあげるから、一緒に侵略しようと言うわけである。最低でも、対馬くらいはあげることになるだろう。それによって、歴史問題で蓄積された日本に対する怨念が晴らせると、朝鮮人は喜んでシナ人の誘いに乗るであろう。
ただし北東アジアにおけるシナ人の侵略は、日本侵略で終わらないで、その対象は朝鮮半島それ自体に及ぶことは、完全に間違いない。シナのことわざに、「狡兎死して、走狗煮らる」という有名なことわざがある。悪賢い兎が死んでしまえば、猟犬は煮て食べられてしまうというのである。日本が滅んでしまえば、次は朝鮮がシナ人に侵略されるのである。ただし、この極めて単純・明快な理屈を理解できるほど、朝鮮人は利口ではないであろう。
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